料理における3つの働きを知ろう!

スパイスやハーブは料理において、「香りづけ」、「辛みづけ」、「色づけ(彩り)」のいずれかの働きをします。中でも、「香りづけ」は、ほとんど全てのスパイス・ハーブが共通して持つ働きです。日本ではスパイスというと辛いものと考えられがちですが、一番の特徴は香りであるという点を理解することが、スパイス&ハーブを上手に使いこなす第一歩です。

スパイス&ハーブ3つの作用 スパイス&ハーブを使いこなすためのポイント/香りをつけたり、においを消したり。「香り」をつける。ほとんどのスパイスやハーブに共通する最大の特徴。食欲をそそるおいしそうな香りをつけたり、魚や肉など素材の臭みを抑えてくれるなどの効果があり、上手に利用することで料理のおいしさがグンとアップします。/食卓をおいしい色で彩る。「色」をつける。香りとともに、料理においしそうな色をつけてくれるスパイス。目で食べるという言葉もあるように、色合いは料理の大切な要素です。ターメリック、サフラン、パプリカ、くちなしの実など/ピリリ、ヒリヒリ、ツーン。「辛み」をつける。舌が焼けるようなヒリヒリした辛み、ピリッと刺激的な辛み、鼻に抜けるツンとした辛みなど、さまざまな辛みがあります。唐辛子、ジンジャー、山椒、マスタードなど

香りづけ

スパイスやハーブは、料理に食欲をそそるおいしそうな香りをつけたり、魚や肉などの素材の臭みを抑えてくれたりし、上手に利用することでおいしさがグンとアップします。
スパイス、ハーブに含まれる香りの正体は、精油(エッセンシャルオイル)といわれる揮発性の成分です。この精油成分は、植物中の組織や細胞に蓄えられており、それが破壊されると鮮烈な芳香を発生させます。使うときには、この原理を考慮して香りを引き出しましょう。

辛みづけ

辛みをもつスパイス、ハーブは、料理の味を引き締めたり、食欲を増進させたりします。ただし、分量を間違えると料理を台無しにしてしまうこともありますので、少しずつ味をみながら加えるようにしましょう。
また、一言で「辛み」といっても、舌が焼けるようなホットなからみ、ピリッとしたシャープな辛み、鼻に抜けるツンとした辛みなど、様々なものがあります。辛みを持つスパイス(ハーブ)の成分、性質を知り、特性を料理に活かしましょう。

色づけ(彩り)

赤、黄、緑など鮮やかな色の演出には、スパイス&ハーブの色づけ・彩りの作用が欠かせません。料理は目でも味わうといわれるように、色合いは料理の大切な要素で、食欲にも影響します。


香りを引き出すポイントは?

香り(精油成分)が閉じ込められている組織・細胞を壊して香りを引き出すには、以下のような方法が効果的です。


使うタイミングを知ろう

スパイス&ハーブを使っておいしい料理をつくるには、やはり使うタイミングが大切です。より効率的に使うのも、そんなに難しいことではありません。
基本はとっても簡単、タイミングは3つです。

1下ごしらえ 調理前の段階で

下ごしらえの段階では、主に素材の臭みをとったり、スパイス&ハーブの香り・辛み・色をしっかりつける目的で使用されます。

目的
  • 素材の臭みとり。
  • 香りをしっかり付ける
  • 色を出しておく
    (あらかじめ色素成分を出しておく必要のあるもの)
使い方(例)
  • 素材にまぶす。
  • 素材とともに漬け込む。
  • 下ゆでに使う。
おすすめのタイプ
  • まんべんなくまぶしやすい、パウダータイプが適しています。
  • マリネ漬けなど液状のものと一緒に漬け込んで素材の臭みをとるような場合には、ホールなど粒度の大きいものがおすすめ。

2調理中 調理のはじめや途中で

スパイス&ハーブが持つ香り・辛み・色などの個性を加えたり、しっかり引き出したりすることで。料理をおいしく仕上げていきます。

目的
  • 香り/辛み/色をじっくり引き出して料理に加える。
使い方(例)
  • 炒め油に香りを移す。
  • 焼く前にふる。
  • 素材とともに焼く
    (のせる、刺す、素材に挟む、一緒にホイルで包むなど)。
  • 煮込むときや炊くときに加える。
  • 炒め物の最初や途中で加える。
おすすめのタイプ
  • 加熱する中で徐々に香りや辛みを引き出すので、粒度の大きいホールタイプが適しています。
  • 乾燥方法による違いの選択では、煮込み料理など加熱する料理には、どちらかというと香りが凝縮されているエアードライタイプがおすすめ。
  • フレッシュハーブでは、香りの強いものがおすすめ
    (例:ローズマリー、ローレル、タイム、セージ、オレガノなど)。

3仕上げ 調理の最後や食卓で

仕上げに使うことで、瞬時に香り・辛み・色などを加えていきます。また、スパイス&ハーブの彩り、形で料理を華やかに演出します。

目的
  • 香り/辛み/色を瞬時に加える。
  • スパイスやハーブの彩り、形で華やかな演出をする。
使い方(例)
  • 調理の最後に混ぜる。
  • 出来上がった料理にふりかける。
  • 出来上がった料理に飾り付ける。
おすすめのタイプ
  • 瞬時に香りが広がるよう、粒度の小さいパウダータイプを使用することが多いです。
  • 彩りにドライハーブを散らす場合は、色がよりきれいなフリーズドライタイプのものを使用するのがおすすめ。
  • フレッシュハーブでは、葉が柔らかく、香りがマイルドなものがおすすめ
    (例:ディル、チャービル、チャイブ、パセリなど)。

スパイス&ハーブ別に見る使い方のコツ

使う量に気をつけよう

使う量は料理により異なりますが、まずは、少量から始めるということが大切です。スパイスやハーブを使った料理でよくある失敗は、スパイスやハーブの加えすぎ(=オーバースパイス)です。
まずは、ごく少量から使うということを心がけましょう。そして味を自分の舌で試しては、少しずつ量を増やしていきます。これを繰り返して適量を見つけるのです。料理レシピを参考にする場合でも、この原則を適用してみるとよいでしょう。

なお、同じレシピであれば、フレッシュハーブの使用量は、ドライの場合の3 倍量が目安です。水分が抜けたことでかさが減ったドライハーブは、フレッシュハーブの体積量に比べて1/3程度で十分なのです。
ただし、乾燥によって体積があまり変化しないハーブ(ローズマリーやタイムなど)は、ドライの場合とほぼ同量か、少し多いくらいの量にとどめるようにしましょう。

素材との相性を知ろう

スパイスとハーブと素材(肉、魚、野菜など)との相性を、少しずつ覚えましょう。 ポイントは、料理メニューとの相性を覚えるのではなく、素材との相性を覚えること。これでメニューバリエーションが広がります。
たとえばハンバーグにナツメッグは欠かせませんが、『ナツメッグといえばハンバーグ』という覚え方では、それ以上レパートリーはひろがりません。ですが、ナツメッグはひき肉料理と相性がよいというように、スパイスと素材を関連付けて覚えると、ひき肉を使うロールキャベツやミートボールにも応用がきき、レパートリーがグンと広がります。
こういった基本を覚えたら、さまざまな創意・工夫・冒険の中で新しい組み合わせやメニューを創造してみましょう。


フレッシュハーブを使いこなすテクニック

フレッシュのスパイス&ハーブは、野菜のように食べたり、香りや彩り、辛みを添える素材となったり、わさびやしょうがのような薬味として使われたりと、用途はさまざまです。フレッシュならではの形や鮮やかな色はお皿の演出、飾りつけにも大活躍します。ここでは、フレッシュハーブを使いこなすためのポイントをご紹介します。

下準備では…

フレッシュハーブは野菜と同じように鮮度が大切です。鮮度を保つため、洗わずに販売されていることがほとんどですので、調理前に水洗いが必要です。やわらかい葉のもの、ベビーリーフやチャービル、ミントなどは特にやさしく洗いましょう。そして、洗ったものは、しっかり水を切ることが鉄則です。キッチンペーパーなどで水気をよく除きます。水気を含んだ状態で置いておくと傷みやすくなってしまいますので、使用する分だけを洗って使うようにすることがポイントです。
刻む時は…

金気(かなけ)のある包丁を使うと、ハーブが変色してしまうことがあります。手でちぎったり、ステンレス製やセラミック製の包丁を使用したりすることをおすすめします。また、包丁で刻む時は、まな板の上にペーパータオルを敷くと便利です。ペーパータオルが水気を吸い取ってくれますし、まな板に色や香りが残りません。

使い切れずに余ってしまったフレッシュハーブの活用法

フレッシュのハーブが使い切れずに余ったり、庭やベランダで育ててるハーブが収穫できるようになったら、是非作りたいのがハーブペーストやハーブオイルなどのオリジナル調味料です。お好みのハーブを組み合わせて、オリジナルの香りを楽しみましょう。

使い切れずに余ってしまったフレッシュハーブの活用法