地球環境保全への取組み

エスビー食品グループでは、地球環境保全への取組みとして環境負荷の低減を「エスビー食品ミッション」の一つとして掲げています。特に気候変動や生物多様性は、「地の恵み スパイス&ハーブ」を核とする事業に重大な影響を与える問題と捉えており、脱炭素活動や環境保全活動に取り組んでいきます。
気候変動に対してはTCFD※1の提言に基づき「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指針と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進していきます。
また、今後TNFD※2提言に基づく情報開示なども視野に入れ、生物多様性への取組みも推進していきます。

TCFD提言に基づく4項目についての情報開示

項目 内容
ガバナンス
  • 災害リスクを含む気候変動に関するリスクと機会は、サステナビリティ委員会およびリスクマネジメント委員会で議論しており、取締役会の直轄組織として設置しています。両委員会のメンバーは取締役を中心に構成され、代表取締役社長が委員長を担い、気候変動に関する課題の最終責任を負っています。
  • 取締役会は、気候変動や災害リスクに関する活動をリスクマネジメント委員会より年2回進捗確認し、経営判断および管理・監督を行っています。また、サステナビリティ委員会より報告された非財務目標を決議し、持続可能な調達に関するコミットメントやCO2排出量削減目標を発表しています。
戦略
  • エスビー食品は、気候変動のリスクと機会による事業インパクト、対応策の検討に向けて、2050年の世界観に基づいてシナリオ分析を実施しています。その結果、将来の炭素税導入によるコストの増加や、香辛料の調達コストの増大および収量・品質への影響、異常気象の激甚化による洪水被害などについて、事業への影響が大きくなることがわかりました。これに対して、自社のCO2排出量の削減に努めるとともに、香辛料産地の分散化や新規産地の開拓を進めていきます。また、嗜好の変化を取り入れエシカル消費に対応した製品の開発が、機会の創出になると考えています。なお、シナリオは国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)および国際エネルギー機関(IEA)の情報を参照し、2℃/1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つのシナリオを選択しました。
    ※【2℃/1.5℃シナリオ】産業革命前からの全世界の平均気温の上昇を21世紀末において2℃/1.5℃未満におさえるシナリオ
    【4℃シナリオ】石油や石炭など化石燃料に依存した経済活動を続けた場合、21世紀末に約4℃上昇するシナリオ
リスク管理
  • 代表取締役社長を委員長としたリスクマネジメント委員会を設置し、業績への影響が大きいリスクを重要度分析により「全社共通リスク」と「オペレーショナルリスク」に分けて管理しています。全社共通リスクの中には、気候変動による災害リスクが含まれています。また、四半期毎の委員長への活動報告および年2回の取締役会での状況報告により、リスクの管理・監督を行っています。

〈気候変動に関するリスク対応の例〉

地域や事業内容に応じたBCPを策定し、自然災害や感染症に対する初期対応・報告方法・各対策本部の設置と役割を明確にしています。

指標と目標

エスビー食品グループは、2050年までにカーボンニュートラルを目指します。
2030年の目標は以下になります。

  • CO2排出量50%の削減(2019年度比 スコープ1、2)
  • サプライチェーンCO2排出量30%の削減(2019年度比 スコープ3)

※1TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
TCFDは、気候変動の現状を改善するべく、企業や投資家に向けて気候変動への取組みを促すことを目的とし、2015年にG20からの要請をきっかけに、金融安定理事会(FSB)を中心に設置された機関です。また、TCFD内で気候変動情報を開示するための基準に関する議論が行われ、2017年6月に開示を行う上での基準をまとめた最終報告書をTCFD提言といいます。このTCFD提言に基づいて、世界各国の企業は気候変動に関する情報の開示を進めています。

※2TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)
TNFDとは“Taskforce on Nature-related Financial Disclosures”の略で、企業の事業活動が自然環境や生物多様性とどのように関連していて、どのようなリスクや機会を与えるかを評価・報告することを推奨している企業の財務情報を開示する際のフレームワークの一つです。

気候変動リスク・機会の影響評価

分類 項目 リスク/機会 事業への影響 時期※3 影響度 主な対策
既存の取組み 今後の取組み
移行リスクと機会 炭素税 リスク

〈2℃上昇までにおさえる対策実施時〉
炭素税の導入
再エネ投資など、追加費用の発生

中期~長期
  • 工場へ太陽光発電導入
  • 社用車のEV・HVへのシフト
  • 輸配送の効率化の取組み
  • 食品廃棄物の削減とリサ イクルの促進
  • CO2吸収量の測定研究などを含む持続可能な森林づくりに関するプロジェクトへの参画
  • 石油由来プラスチック製パッケージの削減(第3次中期経営計画非財務目標)
  • 食品残渣の有機肥料活用

〈2℃上昇までにおさえる対策未対応時〉
2023年と同等のCO2排出活動量の炭素税

中期
長期

電力価格 リスク カーボンニュートラル時の電力コストの増加
(政府 参考電源構成時)
長期
  • 非化石証書の購入など
    カーボンオフセットの実施
  • 再生可能エネルギーの調達(太陽光/水力/風力)
嗜好の変化 機会 加熱調理軽減のニーズの高まり 長期
  • 時短調理製品の拡充
  • 家庭用レトルト製品のレンジ対応化(第3次中期経営計画非財務目標)
物理リスクと機会 香辛料関連 リスク 香辛料の調達コストの増大および
収量・品質への影響
中期~長期
  • 2030年度を目標とした主要香辛料の安全・人権・環境・コンプライアンスに配慮した持続可能な調達
  • フェアトレード・有機認証 香辛料の調達や契約栽培の拡大
  • 香辛料産地の分散化/契約栽培
  • 香辛料産地の新規開拓
  • 香辛料栽培技術の研究推進
機会 香辛料の新規産地拡大 長期
外気温の上昇 リスク 高温条件下に対応した製品の品質管理 中期
  • 夏場の保管条件の変更
  • 気候変動に適合した製品設計の検討
異常気象の激甚化 リスク 洪水による生産工場の操業停止 中期~長期
  • 防災訓練やBCPの作成およびさらなるBCMの拡充
  • 水害リスクに対する事業所のハザードマップの確認と防災対策

※3中期:2030年頃、長期:2050年頃

持続可能な調達と生物多様性への取組み

エスビー食品では、基幹原料である「香辛料」とともに、環境・生態系などの課題を抱える「パーム油」や「紙」を、持続可能な調達における重要原材料と捉え、コミットメントを定めて取組みを進めています。パーム油については2017年にRSPOに加盟、2023年度を目標としていた全製品に使用しているパーム油の100%RSPO認証油切り替えを完了しました。また、パッケージに使用している紙のFSC認証紙への切り替えに関する2023年度目標も達成し、次なる目標に向け取組みを進めてまいります。

また、エスビー食品は、事業所・工場近隣の環境保全による地域貢献、および生物多様性に対する取組みの一つとして、上田工場がある長野県上田地域の認証森林における「にぎやかな森プロジェクト」に2023年より参画しています。2年目となる2024年においても、プロジェクトの一環として昨年に引き続き行われた植樹活動には工場、営業所の従業員が参加し、取組みの重要性をあらためて体感しました。