スパイスの歴史に関するお話

ロマンあふれるスパイスの歴史をご紹介します。

スパイスは世界に数百あると言われ、ハーブになると万という数になるという説もあるほどです。

そしてそれぞれに歴史やエピソードを持ち、全体としても数々の歴史エピソードが残っています。ここでは、人とスパイス&ハーブの関わり、時には歴史を動かす原動力にもなったことのあるスパイス&ハーブの歩みをひも解いてみましょう。スパイス&ハーブから見る世界史・日本史で、新しい歴史を発見できるかもしれません。

世界とスパイス&ハーブ

人はいつのころからか、日本でもインドでも中国、ヨーロッパでも、つまり洋の東西を問わず人々は身の周りにある香りの草花をさまざなま経験にもとづく知恵を活かして、ある時は食用に、ある時は薬草として、さらには生活を飾るクラフトにしてみたり、ガーデニングという楽しみ方も見出してきました。
これがハーブ(香草)と言われてきたものです。人が共通に持つ植物との関わり方かもしれませんね。

また日本や中国の漢方、欧米のアロマテラピー、インドのアーユルヴェーダなどは、スパイスやハーブを医学に応用した共通の例といえます。

一方、広い世界では、その土地ならではの事情でスパイスやハーブが使われてきた歴史を発見できます。 ヨーロッパでは、広い国土の中で食料を遠くまで運ぶ必要や、冬に食物を確保する必要、つまり腐敗を防ぐ“保存”のためにスパイスが使われてきました。また強い臭みの肉類の臭み消しや香り付けの食文化が発達し、そこからスパイスやハーブに関心が向いていきました。
また、暑さの厳しいインドや東南アジア諸国では、暑さのため減退しがちな食欲を増進する必要があり、様々な香りや抗菌作用のある辛味のスパイスに目が向き、多くの種類が大量に消費されてきました。

日本では海の幸、山の幸が豊富で、刺身や寿司に代表されるように、狭い地域の中で新鮮なまま、素材本来の持ち味を活かす食べ方をしてきました。そのため日本では、スパイスを用いるとしても、新鮮で味が比較的淡泊な素材にアクセントをつける程度に、ごく少量を添えるような使い方、つまり“薬味”的な使われ方が主流でした。

日本とスパイス&ハーブ

「スパイス」という言葉は英語のSpiceに由来し、日本では「香辛料」と訳されて通用しています。しかしつい最近、1970年代半ばまでは馴染みが薄く家庭はおろか、商品も店頭にはあまり並んでいませんでした。古くからスパイスを使いこなしてきたヨーロッパやインドなどとは事情が異なるようです。

日本では、湿潤で豊かな自然に囲まれ、新鮮な海の幸や山の幸を比較的容易に入手することができました。そのため、必ずしも保存や強い香り付け、消臭効果を求める必要がなく、比較的素材本来の持ち味をそのまま活かすような調理法が主流でした。従って日本料理では、スパイスは、新鮮で味が比較的淡泊な素材にアクセントをつける程度に少量を添えるような使い方、つまり“薬味”的な使われ方が主流でした。

このため日本のスパイス特徴として、第1に日本のスパイスの多くが辛さを伴っています。
第2にそれほど多くの種類のスパイスを必要とせず、何種類かのスパイスを組み合わせて使うということも比較的少なかったようです。
第3に魚にまつわるものが多いことです。海で囲まれ川が流れる日本では古くから魚介類に親しんできました。しかも新鮮故に、素材の味わいを大切にした刺身や寿司文化も発達し、そのため魚の生臭さを消し、淡白な味わいを引き締めるために、スパイスの“薬味”的な使い方を一層促進してきました。
そんな中で使われてきた代表的な和風スパイスとしてあげられるのが、しょうが、山椒、わさび、にんにくなどです。

一方、たで、大葉、ねぎ、よもぎなどは、身近にある植物を経験的に生活の知恵を発揮して使ってきた歴史があり、日本のハーブと言えるでしょう。

そんな事情で日本では古くから「スパイスとは辛いものである」と意識されてきましたが、世界で数多く使われているスパイスで辛さを伴っているものはわずかです。「スパイスとは辛いもの」という先入観を捨て、「スパイスは、すべて香りを持っている」と理解しましょう。

ロマンあふれるスパイス&ハーブの歴史

スパイス&ハーブの世界史 スパイス&ハーブの日本史
古代

エジプト
ピラミッド建築にガーリック使用
ミイラにシナモン、クローブ使用

漢(中国)
宮廷官吏の口臭剤にクローブ使用
寺院・教会で空気を清める香煙。
香酒、香飯として使用

医学の誕生

奈良・平安時代(8~10世紀)
古事記などに「山椒、生姜、大蒜、胡麻、山葵、辛子、乾生姜」などが記載

8世紀 正倉院の御物のなかに「胡椒、丁字、肉桂」などが登場

11世紀 源氏物語に「にんにく」が風邪薬として用いられていると記述

中世

シルクロード発達

東西の交易が盛んに行われる。
1299マルコ・ポーロ「東方見聞録」東洋の絹織物、中国やモルッカ諸島のスパイス、ジパング(日本)の金の宮殿の話などを紹介

大航海時代

西洋に東洋への探求心を刺激
時代は大航海時代へ

新大陸発見
コロンブス(スペイン)
1492~1504年にかけて4回の航海へ出たコロンブスは、1回目の1492~1493年に新大陸を発見した

喜望峰航路発見
バスコ・ダ・ガマ(ポルトガル)
1498 アフリカ大陸を西に周回し、インド西海岸(マラバル海岸)のカリカットまでの航路を開拓、スパイスを安価に入手する道を拓く

ハーブと魔女狩り伝説

世界一周
マゼラン(ポルトガル)
1520 後のマゼラン海峡を発見し、太平洋の横断に成功。マゼランはフィリピンのセブ島で戦死したが、香料諸島に到達し、人類初の世界周航を果たす

スパイス戦争
シルクロードに代わるスパイスロードともいうべき貿易航路が開拓されると、スパイス入手を目的にスパイス産地を独占すべく争奪戦争が繰り広げられた

ルネッサンス
アジア貿易の流れが地中海から西欧に移り、繁栄をきわめた諸都市の貴族は、古代ギリシア・ローマの文化を参考にしながら、神中心の中世的なあり方から自我を主張する近代的な生き方への転換が、文学・芸術・思想の諸文化活動を舞台に展開

修道院とハーブ
ハーブ療法の復活

スパイス戦争と日本
15世紀 薬用として「ナツメッグ、ターメリック、リカリス」などが使われる。

16世紀 ポルトガル船の漂着により唐辛子が伝来
ポルトガルと日本
17世紀 鎖国時代には、オランダ人、ポルトガル人等の外国人により、各種洋風スパイスと料理が伝来。
オランダと日本

天正の少年使節とスパイス

近代・現代

1747 ディジョンマスタード最古のブランド、MAILLE誕生(フランス)

18世紀末 イギリスのクロス・アンド・ブラックウェル(C&B)社が世界で初めてカレー粉を商品化

1886 FAUCHON誕生(フランス)。スパイスと紅茶に情熱注ぐ

1990 デザイナーフーズプロジェクトとスパイス&ハーブ

統合療法へ-ハーブが医療で注目される

1867 明治維新
カレーが伝わる

1923 カレー粉の国産化に成功(エスビー食品)

1950 「赤缶カレー粉」発売(エスビー食品)

1952 家庭用「コショー」発売(エスビー食品)

1953 家庭用洋風スパイス20種類発売(エスビー食品)

1970 チューブ入り香辛料発売 (エスビー食品)

21世紀 スパイス&ハーブの現在・未来