スパイスの歴史に関するお話奈良・平安時代

すでに聖武天皇の代(724~749年)の日本には、こしょうなどのスパイスが上陸していたのです。正倉院の御物の中に、こしょうの他、クローブ、シナモンなどが収められており、いずれも貴重な薬として日本に渡来していたようです。この聖武帝の時代(701年~756年)には、4回も遣唐使が中国を訪れ、唐と修交を深め、また在位中の736年にはインドのバラモン僧や唐僧も来朝しています。この遣唐使が持ち帰ったものか、あるいは僧が献上したものかは不明ですが、スパイス類が貴重な薬として聖武帝の手許におかれていたのです。

ところで、日本のもっとも古い歴史書である「古事記」(712年)にはしょうが、またはさんしょうを指す「ハジカミ」や蒜(にんにく)、「東大寺正倉院文書」の中の正税帳(734年)には、胡麻子(ごま)、「延喜式」(927年)には干薑(乾しょうが)や芥子(からし)、「本草和名」(918年)には山葵(わさび)などの名が出てきます。古くから栽培されていたのでしょうね。