その後水産系の大学へ進学したことが魚に集中することになったきっかけです。
小さなころからハゼやテナガエビなどを釣っては水槽で飼育したり、中高生のころはバス釣りに熱中していました。その時点でもかなり釣り好き・魚好きだったと思いますが、その後偏った大学で偏った人たちの中、釣りサークルを通じて様々な新しい釣りにも出会い、より釣りと魚の深みにハマっていきました。
大学が運河と隣接していたので、講義の後や合間にもとにかくスズキを釣り、時には大きな網をもって電車に乗り込みお隣のお台場等に出かけて行ってはまたスズキを釣る日々でした。スズキという同じ魚でも、季節や時間帯、食べている餌の種類などによって効果的な狙い方が変わり、何年続けてもまた新たに見えてくる世界があって無限に楽しめるのが自然相手の趣味の良さだと思っています。
「ポリプテルス」という、アフリカの淡水に棲む古代魚を小学生の頃から飼育し続けています。たくさん並んだ背びれやシーラカンスのような「腕」のある胸びれが特徴的で、浮袋が変化した肺までもっており、たまに水面に上がって息継ぎしている変わったお魚です。
エスビー食品に入社し名古屋に配属された際も、東京の実家から水槽と魚を運んで一緒に引越ししました。その後も大阪⇒東京と転勤しましたが、そのたびに水槽の大移動を行って今も家族の一員です。現在一番長く飼育している個体は今年で15年になります。
最近では子育てに加えてコロナもあり本気の釣りができていない中で、家でできる趣味につい力が入ってしまい、これまで手を出してこなかった水草水槽にもハマり家族のひんしゅくを買っています。
魚を釣ること、釣った魚を美味しくいただくこと、魚を飼育したり水辺の自然を科学することで、全方位から魚を知り何倍も楽しめるようになると思っています。
釣りをしている際には水中のイメージが頭の中にあるのですが、やりこんだ釣りやよく知っている魚ほど明確なイメージができ、イメージ通りのタイミングで狙って釣ることができたりします。このイメージは、釣りという側面から仮説を立て実際に試した結果だけでなく、飼育や観察を通じて魚の水中での動きを実際に目にしていることが結びつき、さらに餌になる生物の生態や川の流れ・潮汐のメカニズムといった知識も組み合わさって形づくられるのかなと思います。
また食についても、只々おいしい魚を味わわせて頂くだけでも十分に幸せなのですが、その個体ごとのコンディション、締め方の違い、獲れた場所・時期、食べていた餌などの情報と、脂の乗りや旨みの違いなどを結び付けられるのは自分で釣って捌いた魚ならではの楽しみです。
※内容・社員の所属は取材当時のものです