Qエスニック料理のレシピで、「クミンシードを炒める」とありましたが、あのような細かいスパイスをどうやって炒めるのですか?具材と一緒に炒め始めてはいけませんか?
A
エスニック、特にインド料理では、調理の最初(材料を炒める前)にホールスパイスを油で炒め、その香りをしっかり引き出してから、その他の具材を炒めるという調理手法がよく取られます。ご覧になったレシピも、この手法をとっているようですね。
多めの油を使用しますので、レシピによっては「炒める」というより「油の中で熱する」といった感覚のものもあるかと思います。
ここで使われるスパイスを「スタータースパイス」と呼びます。
クミンシードはその代表で、エスニックな香りと香ばしさを加えることができます。
具材と一緒に炒めることもできますが、予めスパイスの香りを油にしっかりと移して調理することで、香り高い料理に仕上げていきましょう。
スタータースパイスとして代表的なものを、使い方とともに以下にご紹介致します。
特別なインド料理に限らず、いつものカレーを作るときに、具材の炒め始めに使うのもおすすめです。その他、野菜いためやチャーハンなどにも応用ができますよ。 ホールを使用し、1種類でも数種類組み合わせて使っても構いません。
香りと香ばしさをプラスするスパイス
クミンシード チキン・野菜にぴったり!
これだけでカレーを思わせるエスニックな香り。
インド料理には欠かせない、スタータースパイスの代表格です。
アフリカ、中近東、中南米、アジアなど世界各地で肉、野菜料理、パン、チーズなど幅広く用いられています。
カレー4人前に対する使用目安:小さじ1/2程度
コリアンダーシード 野菜・豆にぴったり!
甘くさわやかで、ほのかにスパイシーな香り。
クミンと並んで、インド料理に欠かせないスパイスです。
ホールのまま使うことで、香りと歯ごたえを楽しめます。
ちなみに葉の部分は「香菜」「パクチー」と呼ばれるハーブ。
シードとは異なった個性的な香りで親しまれています。
カレー4人前に対する使用目安:小さじ1/3~1/2程度
マスタードシード 肉、魚、野菜にぴったり!
独特の香りと辛み、食感が魅力。
炒めると深みのある風味に。
インドの中では、特に南方の地域で炒めて使用されているほか、欧米ではピクルスやマリネにそのまま漬け込んで使われます。
日本ではパウダーやペースト状の「からし」としておなじみです。
カレー4人前に対する使用目安:小さじ1/3~1/2程度
クミンシード、コリアンダーシード、マスタードシードの使い方
- 1.鍋に油を入れて加熱します。
- 2.ひとつまみ加えてみて、クミン・コリアンダーは、シューっと細かい泡がでるようになったのを目安に、マスタードシードはプツプツとしてくるのを目安に、残りのスパイスを入れて良く炒めます。
- 3.スパイスの香りがたってきたら(マスタードシードはパチパチと大きくはじけだしたら)、具材を入れて炒めます。
※マスタードシードは特に、高温の油の中ではじけて跳ねやすいので注意しましょう。
※クミンシード、コリアンダーシード、マスタードシードは取り除く必要はありません。
プチプチとした食感と噛んだ時の香り立ちも楽しみましょう。
クミンシードの使い方はこちらで動画でもご覧いただけます。
辛みと香りをプラスするスパイス
チリーペッパー(唐辛子/鷹の爪) どんな素材にも!
チリーペッパーの使い方
熱い油に入れると焦げやすいので、クミン、コリアンダー、マスタードとともに使用する場合は、先にクミンなどを炒めたあと、具材を炒める直前に加えるのがおすすめです。他のスパイスを使わない場合は、油が冷たいうちに加えてじっくり炒めます。
※ヘタの部分を切って、種を取り除いてから使うと辛みが出すぎません。
※食べる前に取り除きましょう。
上記4種類のほかには、にんにくやしょうが、クローブやシナモンなども油に香りづけをする調理法が取られることがあります。
どのスパイスも、焦がさないように弱火で丁寧に炒めて使用しましょう。
もう少し詳しく
下記に、「スタータースパイス」を活用したレシピをご紹介致します。
(メニュー名の「サブジ」はインド料理の野菜の炒め煮や蒸し煮のことです。
ちょっとしたごはんのおかずとしても、気軽にお作り頂けます。)
ぜひ「スタータースパイス」を生かした香り高い、本格感あふれる風味をお楽しみ下さい!
- いつものカレーにクミン(クミンシード使用)
- 野菜たっぷり★彩りサブジ(クミンシード・マスタードシード使用)
- モロヘイヤとキャベツのサブジ(クミンシード・チリーぺッパー使用)
- ブロッコリーとタコのアーリオオーリオ(コリアンダーシード・チリーペッパー(あらびき)使用)
- ゴーヤと砂肝のカレー風味炒め(チリーペッパー使用)
今回ご紹介したスパイス&ハーブの詳しい情報は、こちらをご覧ください。
知る・学ぶ
この記事を作成・監修したスパイス&ハーブマスター
磯部 友美
スパイス&ハーブサポートデスク
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