忍野試験農場では栽培技術や品種に関する研究を行い、この成果を原料産地に応用することを目的として様々な種類のスパイスやハーブを試験栽培しています。
今回は香菜(パクチー)の栽培の後編です。
香菜(パクチー)栽培日誌
前回は香菜(パクチー)の子供時代を紹介しました。
そこから生長した香菜(パクチー)が大人になり、花・果実を付ける様子をご紹介します。
(前回の分はこちらをご覧ください)。
④収穫時期
種まきからおよそ2ヶ月で一人前に生長します。
非常に強い独特の香りがしますが、カメムシの匂いと似ている事から、日本では昔、「カメムシソウ」と呼ばれていたとか。
スーパーマーケットなどで売られている香菜(パクチー)は、20~40cm丈まで生長したものです。
葉や茎がエスニック料理に添えてあるのを、レストランや料理雑誌でよく見かけますよね。
⑤トウ立ち
花や果実を作る頃には、姿かたちがすっかり変わります。
花がつく少し前から「トウ立ち」(花のつく茎が伸びること)が始まり、だんだんと葉が細長くなっていきます。
蕾をつける頃になると、すっかり見た目が変わり香菜(パクチー)とはわからないほどです。
香りも、カメムシのような強い匂いが弱まり、甘い香りも感じられるようになります。
トウの立った香菜(パクチー)
細くなった葉
⑥開花・結実
香菜(パクチー)は小さくて白い可愛らしい花を咲かせます。
花が咲いた後に果実(種子)がつき、これを乾燥させたものをコリアンダーシードと呼びます。 カレー、ビリヤニなどのスパイシーな料理だけではなく、クッキーやカステラなどのお菓子やリキュール、ビールなどお酒の香り付けにも使います。 植物体は3~4ヶ月で寿命を終えます。
しっかり乾燥した果実(種子)は、また土にまけば次の栽培を楽しむことができます。
花
未熟な果実
乾燥後の果実
生まれてから、次から次へと姿が変わる香菜(パクチー)の生態について紹介しました。 色々な顔が見られ大変興味深い植物ですね。 エスニック料理のイメージが強いパクチーですが、中国やヨーロッパ、中南米でもお料理に欠かせないメジャーな香辛野菜です。 種や根の部分もお料理に使え、捨てるところがありません。
皆さんも香菜(パクチー)を育てて、色々なお料理に使ってみてはいかがでしょうか。