おいしさを科学する具材とカレーライスの味な関係(2)

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玉ねぎの炒め方の違いによるカレーの味の変化をみじん切りにした玉ねぎで見てみましょう。

炒め方による違い

みじん切り(約3mm角)にした玉ねぎを弱火でじっくり炒めていくと、徐々に水分が蒸発し、15分程度では、玉ねぎのシャリシャリした感じがありますが、40分経つとそれがなくなり、 パラパラしていた玉ねぎがしっとりひとつにまとまるようになります。
色も、玉ねぎの淡い緑色から薄い肌色、薄茶色、透明感のあるきつね色へ変化します。
以下のような炒め時間が違う4種類のみじん切り玉ねぎで比較してみました。

〈炒め時間0分〉〈炒め時間15分〉〈炒め時間30分〉〈炒め時間40分〉短い 炒め時間(弱火) 長い

炒め方による味や香りの違いを比べてみると…

以下は、それぞれの炒め時間による試食評価の結果です。

玉ねぎの炒め時間による試食評価のグラフグラフ4

炒め時間が長くなるほど、甘味、旨み、ロースト感を強く感じるようになり、 反対に、辛みの感じ方は弱くなりました。
次のグラフは、本来は複合的に感じる玉ねぎの香りについて、 炒め時間の違いによって感じる代表的な香りの変化を表したイメージ図です。

炒め時間の違いによる香りの変化のイメージグラフ5

グラフは匂い嗅ぎGC()による分析値を基に作成。

ガスクロマトグラフィーで分離した各匂い成分を人の鼻で検知し、同定するシステムです。
成分の量だけでなく、嗅覚による官能情報(例:質・強さ)を加味することができます。

グラフ4とグラフ5から、炒めることで生玉ねぎ独特の香りが減少し、 香ばしく甘い香りを感じるようになることがわかります。

お好みのカレーソースを作ってみましょう

玉ねぎの切り方や炒め時間の違いで、味や香りの感じ方が異なり、カレーソースへ影響することがわかりました。
お使いになる即席カレールウの風味の特徴や、ご家族のお好みに応じて、 玉ねぎの切り方や炒め方を使い分けてみてはいかがでしょう。
たとえば、ひき肉を使ったカレーの定番「キーマカレー」は、みじん切りの玉ねぎを使うのが一般的です。
玉ねぎのしゃきしゃきした食感や辛みを活かしたい場合は、炒め時間を短くし、ソースにコクを加えてまろやかにしたい場合は、きつね色になるまでしっかり炒めてみてください。

また、当社の「ディナーカレー」は『フォンドボーとオニオンのコクが効いた高級感のあるカレー』です。玉ねぎをみじん切りして40分炒めることで、甘味、旨味、コク、ロースト感が生まれ、カレーソースをよりいっそうおいしく引き立てます。まさに究極のカレーソースのできあがり!
もちろん、「ディナーカレー」のルウそのものにソテードオニオンとオニオンペーストを含んでいるので、玉ねぎがひと口大サイズでも、40分炒める時間がなくても、バランスの良い玉ねぎの旨味とコクをお楽しみいただけます。
ディナーカレーのパッケージの裏面には、一般的な調理方法のほかに、玉ねぎをみじん切りにしてきつね色になるまで炒めて作る「究極のレシピ」を掲載しています。
この「きつね色になるまで炒める」というのが、〈炒め時間40分〉に相当します。
ぜひ、参考に調理してみてくださいね。