「香りを科学する」ではこれまで、香りによる味の変化を感じる実験として、「その9」ではカレーの風味について、「その10」ではハーブの香りでトマトの味に変化が起きることを紹介しました。
味の決め手に大きな影響を与える香りですが、スパイスやハーブは、エスニックや洋風の料理・飲み物だけでなく、和風の味わいにもおもしろい変化をもたらします。
今回は身近な和風の味わいとして、緑茶(煎茶)に注目してみましょう。
甘味から苦味、渋みを感じるものまでさまざまですが、独特の風味を持っていますよね。
そこで、今回は苦味に着目し、フランス料理などで用いられるハーブ「タラゴン」の香りを使って、どう変化するか実験をしてみたいと思います。
タラゴンは、甘く爽やかな香りが特徴です。
タラゴンの香りを加えることで、どのような風味になるのでしょうか。
実験ハーブの香りで緑茶の味を変えてみましょう
用意するもの
- 緑茶(煎茶)…カップ2杯分
- タラゴン香り水
- 1.乾燥タラゴン…ひとつまみ
- 2.熱湯…100ml程度
- カップまたは湯飲み茶碗(熱湯に耐えられるもの)…3つ(緑茶用×2、香り水用×1)
- スプーン…2本
- タラゴン
- すらりとした葉を持ち、甘く爽やかな香りを持つハーブです。
主にフランス料理で、各種ソースの香りづけや飾りに使われます。
特にタラゴンビネガーは、ハーブビネガーの定番とされています。
手順1香り水を用意する
乾燥タラゴンの葉ひとつまみを、香り水作成用に用意したカップに入れた後に、熱湯を注いで3分ほど放置します。
タラゴン香り水のできあがりです。
※ハーブティーを作る要領で行います。
※タラゴン香り水は、冷めてからでも利用できます。
乾燥タラゴンの葉(ひとつまみ)
手順2実験サンプルを作る
- 1)緑茶用に用意した2つのカップに緑茶を注いでください。
ティーバッグを使用する場合は、あらかじめ別の容器で緑茶を入れてから2つのカップに注いでください。※それぞれのカップに同じ濃さのものを用意してください。
- 2)緑茶を注いだカップの一方に水を(A)、もう一方に香り水を(B)一滴づつ入れ、スプーンで各々よく混ぜます。
※緑茶が薄まったことによる味の差が出ないよう、Bと同量の水をAにも加えています。
A. 水を1滴入れる
B. タラゴン香り水を1滴入れる
手順3飲み比べてみましょう
A、Bの順で飲み比べてみてください。
AよりBのほうがマイルドな味に感じたのではないでしょうか。
これは、タラゴンの持つ香気成分が緑茶の味に影響したことから感じる現象なのです。
香りはまだまだ不思議な力を秘めています。
皆さんも自由な発想で香りと味の組み合わせを試してみてくださいね。
※今回は、エスビー食品(株)が特許出願した内容の一部を紹介しました。