みなさんは、ものを食べるとき何を感じるでしょう?
「おいしい」「もっと食べたい」「苦手かも」「まずい」という感覚的な判断とともに、甘味・塩味・苦味・酸味・うま味・辛味・えぐ味などを舌で味として感じていませんか?
美味しさの表現としては、もうひとつ"風味"があります。
では、"味"とどう違うのでしょうか?
今回はみなさんにもお馴染みのカレールウ、『ゴールデンカレー』を使ってその違いを体感してみましょう。
実験カレーの香りで不思議な体験をしてみましょう
用意するもの
- ゴールデンカレー(カレールウ)
- 野菜と肉を煮込んだ煮汁
- 紙コップなど、少量の煮汁を入れられるもの…2個
- 実験に協力してくれる人
手順1煮汁を用意する
- 1)パッケージ裏面「おいしい作り方」の①から②までを調理します。
- 2)煮汁を少量取り分けて室温で冷ましておきます。(やけど防止のため)
手順2実験用サンプルを作る
- 1)紙コップを用意します。
1つの紙コップは何もせずそのままにしておきます。(A)
もう一方の紙コップは外側上部、1カ所に『ゴールデンカレー』のルウを少量こすりつけます。(B)※カレーのルウがコップの中に入らないように注意してください。
- 2)冷ましておいた煮汁を、A、B それぞれのコップに10ml程度(目安)注いでください。
これで、実験の準備は整いました。
手順3試飲をしてもらいましょう
実験に協力してくれる方に試飲をしてもらいます。
- 1)A(ルウ無し)の煮汁を試飲してもらいます。どんな味、風味を感じたかを聞いてみましょう。
- 2)次に、B(ルウ付き)の煮汁をカレールウがついてない部分から試飲してもらいます。
(カレールウがついていることに気がつかれないようにします)
どんな味、風味を感じたかを聞いてみましょう。
AとBでは、違う風味を感じたのではないでしょうか?
A、Bの煮汁は同じですから、味と風味は同じです。
異なるのは、Bに付けられたカレールウの香りを鼻で嗅いだことだけです。
そして、Aで感じなかったのに、Bで感じたカレーの香りが"風味"と呼ばれるものです。
"味"と"風味"の違いには諸説ありますが、今回の結果から"風味"とは"香り"≒"風"と"味"を一度に合わせて感じる感覚のことだと言えます。
解説
どうしてそう感じるのか?
私たちが食べ物を食べる時には、鼻に抜ける香り(レトロネイザルアロマ)と鼻から入ってくる香り(オルソネイザルアロマ)を感じていると言われています。今回は同じ煮汁を使っているので、口を経由して鼻に抜ける香りは同じです。一つだけ異なるのは、紙コップの外側についたカレールウの香りが、無意識のうちに鼻から入っていることです。この違いが、2つの煮汁を違った味と感じさせるのです。風邪をひいて鼻が詰まると、「おいしく感じない」、「味を感じない」と思うことがありますよね。
参考 実験結果(エスビー食品調べ n=35)
Q1AとBに風味の差を感じましたか?
97.1%の人がサンプルAとBに差を感じました。
Q2それぞれを試飲して感じた印象(抜粋)
Aを試飲して感じた味や風味
- 何の旨味も感じない。野菜の汁。
- 野菜汁、肉臭い。
- 野菜スープの味。
- 少し苦みのあるスープ。水っぽい。とげがある。
- 玉ねぎ臭い、肉臭い、風味の後引きが弱くまとまりがない。
- 旨味、甘みを感じた。
- 肉と野菜の煮汁。
- 生臭い、畜肉臭。口に含んでみたら、匂いほど気にならなかった。
Bを試飲して感じた味や風味
- カレーの香りがした。味も少し美味しく感じた。
- 野菜と肉の風味はあるがマイルドな味。
- プーケガルニと一緒に煮込んだ野菜スープの味。
- 甘味があってまろやかなスープ。
- 風味に伸び・後引きがある。まとまりがある。
- Aに加え、口中、のどに刺激を少し感じた。
- カレーの風味を強く感じ、全体的に美味しく感じた。
- 香草の香り。セロリ臭。味も香草がきいた味。
いかがでしたか?
"香り"は、知らないうちに私たちを楽しませてくれていることを体感していただけましたか。
実際の食場面では、意識して"香り"と"味"を区別する機会は少なく、ピンとこないかもしれませんが、食べ物にとって香りは、美味しさを演出する大切な要素のひとつです。
今夜はカレーにして、みなさんも是非体験してみませんか?