前回までは、『香り』というものに視点をおいて、ハーブを科学してきました。
今回は今までとは少し違った視点で植物の"からだ"をのぞいてみようと思います。
Qこれは何でしょう?
正解は…
ローズマリーの葉をX線-CT※という装置で撮影された、とても珍しい画像です。
※X線-CT:X-ray computede tomography
非破壊で葉や茎の内部を観察できる装置です。
CT画像で見るローズマリーの葉と茎
ローズマリーの葉
ローズマリーの茎
(協力:島津製作所 SMX-100CT-SV3使用)
CT画像の説明
画像Vは、X線-CTの撮像を基に作られた3D画像です。
そして、画像I~IVは、画像Vを基にして、コンピュータで任意の場所で切った断面の画像です。
- 画像I:③の断面
- 画像II:①の断面
- 画像III:②の断面
- 画像IV:④の断面
ローズマリーなど、シソ科のハーブには、香りの成分を蓄える腺毛(せんもう)という組織が、葉や茎に存在しています。
その時の画像を、今回のX線-CTという装置で撮影した画像と比較してみてみましょう。
参考までに、それぞれの場所にある腺毛(せんもう)に蓄えられている香り成分はどのようになっているかご紹介します。
それぞれ、異なったバランスで香り成分が蓄えられていることがわかります。
各腺毛に含まれる香気成分比率
(※ トータルイオンカレントクロマトグラムのピーク面積比を比較)
色も香りも鮮やかなハーブですが、モノクロの不思議な世界も感じていただけたでしょうか?
※この内容は、以下の論文で報告されています。
Takehito Sagawa, Hidaka Ikeda, Tatsuyuki Hiraoka, Kazuichi Hayakawa
Study of Rosemary peltate glandular trichomes using combined morphological and chemical approach
Food Science and Technology Research 19 (3), 491-495 (2013)