日本の食文化とスパイス&ハーブカレー粉

カレー粉

海外から伝わった料理でありながら、日本の食文化の中で独自の発展を遂げた例としてカレーが挙げられます。
日本で広く親しまれ、「国民食」ともいわれるカレーが伝わったのは明治時代とされています。その後、日本人の味覚や食生活に合わせて変化し、幅広い世代に親しまれる料理へと発展しました。

日本におけるカレーの歴史

インド生まれのカレーが日本へ

カレー料理はもともとインド料理ですが、1600年にイギリスが英国東インド会社を設立したことに端を発し、イギリス本国へ高級インド料理として伝えられました。
カレー粉は18世紀末イギリスで生まれたといわれ、明治の文明開化の頃、日本へ西洋料理として紹介されました。西洋料理でありながらも、日本人の主食であるごはんと一緒に組み合わせて食べられることも日本で広まっていった理由のひとつと考えられます。

日本でのカレーの広がり

最初にカレーを食べた日本人として記録されているのは、会津藩白虎隊の一員だった山川健次郎という、当時16歳の少年でした。明治4年に渡米した際、船中食で、カレーライスなるものに接し、ライスのみを食べていたとも言われています。そして翌年の明治5年に出版された『西洋料理指南』にカレーの作り方が紹介されており、200年余りも続いた鎖国から解放された明治時代は、国をあげて欧米文化を積極的に取り入れていきました。

「Boys be ambitious!」の名言で有名なクラーク博士が、生徒たちの体格の貧弱さを憂えて米飯偏重の食事からパン食・肉食への転換を提唱し「生徒は米飯を食すべからず。但し、ライスカレーはその限りに非ず」として推奨したといわれています。
しかし当時のカレーライスはかなりの高級料理で、ごく一部の人たちの物でした。明治10年頃の銀座風月堂では、当時もりそばが1銭という時代に、その8倍の8銭という金額だったにも関わらずかなりの人気を呼んでいたそうです。明治末期にはライスカレー、カレーうどん、カレーそばが大衆食堂のメニューに登場してきましたが、この頃使われていたカレー粉は、イギリスから輸入されたもので、高価な食材であることに変わりはありませんでした。
やがて、国産カレーの誕生へと発展していきます。

日本独自のカレー文化

ヒドリ印カレー粉日本で初めての家庭用カレー粉「ヒドリ印カレー粉」

大正時代になると、玉ねぎ、にんじん、じゃがいもを使った日本式カレーが誕生します。この料理は、栄養バランスのよさや調理のしやすさから軍隊の食事にも採用され、集団給食に適したメニューとしても評価されました。こうした背景が、カレーの普及を後押ししたと考えられています。

国産のカレー粉第一号は1923年(大正12年)に発売されます。今でこそカレー粉は数十種のスパイスを混合してつくるものだということを知っていますが、当時はまったくわかりませんでした。
カレー粉を国産化しようという志を立てて研究に取り組んだのが、山崎峯次郎(エスビー食品株式会社創業者)です。文字通り試行錯誤を繰り返し、悪戦苦闘の末にようやく誕生しました。それから改良を重ね、家庭向けのカレー粉が1930年(昭和5年)に発売されました。