アニス/Anise

二千年以上前から伝わる、甘い香り。

科名 セリ科
原産地 地中海東部沿岸、エジプト
利用部位 種子(植物学上は果実にあたる)
別名 遏泥子(あにす) アニスシード

特徴

こんなスパイス&ハーブです。

個性的な甘い香味が特徴ですが、これは香りの主成分アネトールによるものです。

形状

長さ約4mm、色は明るい灰緑色、種子は三日月形で、2個向かい合った卵形をしています。種皮には淡黄色の縦筋があり、フェンネル(茴香)に似た芳香と甘味に特徴があります。

語源・別名

茴芹(ういきん)

エピソード

ウェディングケーキのルーツになったお菓子

アニスは、かなり古い時代から、ヨーロッパ各地で栽培されていました。シナモンが輸入される以前の紀元前4千年頃の古代エジプトでは、ミイラの防腐保存剤として主にアニスやクミンが使用されていました。
古代ローマ時代、監察官だったカトー(前234~149年)は、質実剛健を愛し、将軍たちの贅沢な生活を非難し、これを規制する法律を作ったり、衣装や宴会が東洋風の華美なものになることを禁止しました。そんな彼の著書「農業」には、アニスとクミンで香りづけをした甘いワインケーキの調理法が掲載されています。贅沢な東洋産のスパイスを使わなくても、手近なものでおいしいものを作ることができるという一つの見本を示したのです。このアニスを使ったワインケーキは、祝宴での豪華な食事のあと、客人たちの胃腸の消化を助けるために提供されたと言われており、後世にまで引き継がれて、様々な祝宴、宴会、結婚式などで客人をもてなすケーキとして流行しました。これがウェディングケーキのルーツになっていると言われています。

ロンドン橋の資金源はアニスの通行税

13世紀頃からアニスの栽培が始まったイギリスでは、最初は修道院でしか栽培されていなかったため、希少価値が高く、ほとんどを輸入に頼っていました。ときの王、エドワード1世が、1305年にロンドン橋を通過するアニスに特別税をかけ、ロンドン橋の修理費をこの税でまかなったとか。

適した料理

リキュール、スープ、シチューなどのほか、チーズ、果物の砂糖づけ、クッキーやケーキなどの菓子類などに。

スペイン料理のスープ、シチュー、魚のブイヨン。スカンジナビア半島では、アップルソース、甜菜サラダ、スープ類に使われるほか、チーズ、フレンチドレッシング、果物の砂糖づけ、プリン、パン、ケーキ、クッキーなどの菓子類などの香りづけに広く用いられます。また、アニス油は、キュラソー、ベネディクティン、キュンメル、アブサンほかのアルコール飲料の香料にもなっています。

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