かつては主食だった、七味唐辛子用スパイス。
科名 | クワ科 |
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原産地 | 中央アジア |
利用部位 | 種子 |
別名 | 大麻(おおあさ)、麻(あさ)、ヘンプシード |
特徴
こんなスパイス&ハーブです。
麻の実は古くは五穀の一つとして食用に供されました。今日では七味唐辛子などに欠かせないスパイスの一です。
形状
灰白色、扁球形(長径5mm前後)の硬い殻に覆われた種子で、殻の表面は滑らかでやや光沢があり、実は軟らかく、油分を多く含みます。生のままでは、ほとんど香味を感じませんが、火で焙った種子は、咬み砕く時、温和な芳香を発します。
語源・別名
ヘンプシード
エピソード
大切な五穀の一つだった麻の実
今でこそ料理やお菓子のスパイスとして使われる麻の実も、中国では太古の昔から五穀の一つに数えられていました。ふつう五穀といえば、米、麦、粟、豆、黍(もちきび)または稗(ひえ)を指しますが、古代中国では麻、黍、稷(たかきび)、麦、菽(まめ)または稲を五穀としていたのです。今の皇帝にあたる天子が季節に合わせて食べた主食と副食についての記述書「禮記(らいき)」の中で、「孟秋の月(旧暦7月)、主として麻の実と犬の肉を食べる」と記され、麻の実が主食で、犬の肉が副食となっていたことがわかります。ちなみに他の季節における主食と副食の組み合わせは、春が「麦と羊肉」、夏は「菽と鶏」、土用は「稷と牛肉」、冬は「黍と子豚」となっています。この書は、紀元前3世紀に「周書」(紀元前3~12世紀の周時代の史官の記録)に基づいて著されたものですから、周時代の初期には麻の実が五穀の一つとなっていたことがわかります。一方、西ヨーロッパに達したのは紀元500年頃で、麻の実はヨーロッパでも中世まで食料とされていました。
適した料理
七味唐辛子などに欠かせないスパイスの一つ。
古くは五穀の一つとして食用に供されたりしてきましたが、今日では、七味唐辛子などに欠かせないスパイスの一つとして、食卓にのぼっています。また、各種料理や菓子に、風味づけのアクセントとしても用いられています。
麻の実から絞った油は、麻の実油(ゆ)またはおのみ油(あぶら)と呼ばれ、食用・灯用にされるほか、ペンキ・ワニス・石けん原料にも用いられます。