こしょうの栽培の様子

日本でもすっかりおなじみのこしょうですが、その栽培風景を目にする機会はほとんどありません。そのため、どのような植物でどのように栽培されているのか、実際にはご存知ない方も多いのではないでしょうか?そこで、ここではこしょうの栽培、収穫、乾燥の工程をご案内していきます。

まずはじめにこしょうの簡単な紹介をします。
こしょうはインドのマラバル地方の原産といわれ、熱帯地方の海岸地帯から1200メートル位の高地で育ちます。(雨が平均して降る平担な土地やゆるやかな傾斜地によく成長します。)
多年性のつる性植物でそのつるは長さが9メートルを超えることもあります。そのつるになった実を乾燥させたものが皆さんよくご存知のこしょうです。

それでは、詳しく見ていきましょう。

こしょうの栽培

1挿し木を植えます

一般にこしょう栽培には挿し木を用います。
強くて、病気のない、若いつるの先端を選んでこれを切り取り、苗床で3~4カ月育てたものを移植します。
傍には支柱または生木を一緒に植えておきます。

2支柱にそわせます

こしょうは多年生でつる性の植物です。
つるが成長してきたら、ひもなどで支柱にくくり付け支柱または生木にそわせるようにします。

3定植したこしょう

同じ高さの支柱が一定の間隔で並んでいます。
支柱には木の杭などを利用し、その高さや植える間隔は国によって異なります。

4成長したこしょう

支柱いっぱいにつるが巻き付いています。
挿し木を植え付けてから約3年で実をつけるようになります。
7、8年目で最も多く収穫出来るようになり、その後15~20年位まで実を収穫することが出来ます。

5こしょうの花

こしょうの花が咲いています。
花は小さくて白っぽいです。
10~20cm位の吊り下がった穂の様です。

6たわわに実ったこしょう

つるから出る枝に、まるでぶどうの房のような形の穂に実がなります。
穂はより正確には穂状花序(ほじょうかじょ)といいます。
一つの穂には50~60個の実がつきます。
葉は大きく、卵型または平たく細長くとがっています。
つやがあり、表面は深緑色です。

こしょうの収穫

7こしょうの収穫

こしょうを収穫しています。
穂ごとにつるから摘み取ります。

十分に成長した1本のつるからは
乾燥後の重量で2kg前後の実が収穫出来ます。

8収穫された穂

収穫したこしょうの穂です。

  • 黒こしょう・・・緑色の未熟果を摘み取ります。
  • 白こしょう・・・完熟した赤色の実を摘み取ります。

こしょうの乾燥

9乾燥

穂からはずした実を乾燥させます。

10乾燥後の実

乾燥後の黒こしょう(左)と白こしょう(右)です。

以上、簡単にこしょうの栽培、収穫、乾燥風景をご案内しました。

普段何気なく食べているこしょうですが、「こしょう畑の風景」を思い出しながら食べてみると、 いつもとは違った味に感じられるかも知れませんね。