活性酸素に関するお話

活性酸素とは?

酸素分子を構成している電子の状態が変化して不安定となり、さらに安定を取り戻そうとして他の物質と反応しやすくなった物質のことです。人は一日に2500リットル以上の空気を体内に取り込みますが、入った酸素のうち数%が活性酸素に変化すると言われています。

この活性酸素は体内に侵入してきた病原菌やウィルスを退治したり、必要なホルモンの合成に関係する、あるいはエネルギーの獲得に必要など、身体にとってプラスの働きをします。しかし一方で、過剰に生成された活性酸素は様々な悪影響を及ぼします。活性酸素はガンなどの生活習慣病を始め、老化や数多くの病気と関係していると言われているのです。

活性酸素には4つのタイプがあり、それぞれの構造と働き(影響)をご紹介しておきます。

活性酸素の4種類

酸素分子は三重項酸素と言われ、フリーラジカルながら例外的に安定した物質ですが、ここから生成した活性酸素は大変不安定で、電子を取り込んで安定しようと、他の物質と激しく反応しやすいという性質があります。

  • 酸素
  • 酸素の原子核
  • 水素の原子核
  • 電子
名前 模式図  
スーパーオキシド 右の電子が一つで不安定
生体内でも大量に発生。反応性は低いが、他の活性酸素生成のイニシエーターとなる
ヒロドキシラジカル 右の電子が一つで不安定
生体内でも大量に発生。反応性は低いが、他の活性酸素生成のイニシエーターとなる
過酸化水素 自身の酸化力は大きくないが、ヒロドキシラジカルを生成しやすい。この物質の3%水溶液をオキシフルと呼び、消毒などに使用する
一重項酸素 右の電子が二つとも無く、反応力強い。
特に悪質な性格と言われています

活性酸素と生活習慣病

酸素は赤血球によって身体の様々な部分に運ばれ活性酸素を発生させています。
既に述べたように、活性酸素は身体にとってプラスの働きもしていますが、反面身体の様々な部分を攻撃し悪影響を及ぼしています。脂質を攻撃して酸化させ、タンパク質を攻撃して変性させ、酵素を攻撃して働きを失わせ(失活)、DNAを攻撃して損傷・また誤複製させます。これらが総合的に働いて生活習慣病を引き起こし、また老化を早めるのです(下図参照)。

脂質 タンパク質 酵素 DNA 活性酵素 過酸化 変性 失活 損傷・誤複製 細胞膜・リポタンパクの障害 心筋梗塞・脳卒中・動脈硬化 ガン 老化