香りを使いこなすヒント

スパイス&ハーブの香りを使いこなすには、

  • 香りの正体は精油であること
  • 精油の含まれる場所を知ること
  • 熱には弱いハーブがあること
  • 熱によって変化するのを利用する
  • 熱によって香りを引き出すスパイスもある
  • 微妙な香りの違いを知る
  • 香りを移して楽しむ

以上を踏まえることです。

スパイス&ハーブのまず第一の作用は、香りと説明しましたが、香りを使いこなすには香りの性質や働きをよく知ることが必要です。

香りの正体-精油

まず、スパイス&ハーブの香りの正体は精油と呼ばれる揮発性の成分です。英語ではエッセンシャルオイルと呼ばれます。
料理をおいしくしてくれる、各々のスパイス&ハーブが持つ特有の馥郁(ふくいく)たる香りは、成分として含まれる多くの精油によるものなのです。また最近話題になることが多い、スパイス&ハーブの効果効能もこの精油によるところが大きいのです。
この精油の性質を知ることで、スパイス&ハーブをうまく使いこなすヒントが幾つか見つかります。

精油がよく含まれる場所を知ること

まず、精油が含まれている場所を知っておきましょう。スパイスは歴史的に使う場所を決めながら使われてきた歴史がありますので、使っている場所が即ち多くの精油が含まれる場所ということになります。
知っておきたいのは、ハーブです。ハーブは葉や茎を使う場合が多いのですが、精油成分は、植物の腺毛、油腺、油細胞、油道など、特殊な組織や細胞に蓄えられています。
そしてそれが破壊された時、芳香が発生するのです。

したがって、フレッシュのハーブを使うときは、ちぎったり、叩いたりして、精油を蓄えている組織を破壊し、芳香が立ちやすくしてやることが、ハーブを使いこなす一つのコツということになります。
また、ドライのローレルも、ホールを煮込み料理に使う時、切込みを入れるか、ちぎって使うのが効果的です。

熱には弱いハーブがある

精油成分は熱に強いもの、弱いものがありますが、一般に熱に弱いものが多いのです。特に、チャービル、チャイブ、タラゴン、パセリ、バジルなど葉が柔らかく、香りの穏やかなハーブは、あまり熱のダメージを受けない、仕上げに使った方がより効果的に香りを引き出せます。熱の影響を受けにくくする調理のテクニックを使ってもいいのです。
特にフレッシュのハーブは、〈素材にはさむ〉〈巻き込む〉という料理のテクニックを使うといいでしょう。 また、魚や肉の臭み消しにスパイス&ハーブを使うときは、下ごしらえの段階で、加えます。

熱によって香りの全体量や感じ方が変化するのを利用する

それに対して、熱に強いハーブやスパイス類は、熱のかけ方や、調理中に入れるタイミングで香りをコントロールしたり、熱によってロースト感を出したりするというテクニックが使えます。 例えば、ハーブでも香りの強いローズマリー、セージ、タイムなどはうまく熱をかけて香りを和らげるのがよいでしょう。

熱によって香りを引き出すスパイスもある

日本ではおなじみの七味唐辛子に含まれている素材の幾つかは、熱をかけて香ばしさを出しています。例えば唐辛子ですが、辛味の成分だけでなく、香りの成分も含まれています。しかし、唐辛子に含まれている香りの成分は不揮発性のものが多く、通常の状態では香りはあまりしません。そこで熱をかけていない唐辛子に、煎ること(焙煎)によって香ばしさを出した唐辛子を混ぜて作る場合があります。その他のごま、麻の実、けしの実も不揮発性の香り成分が多いので、焙煎をして香ばしさを出しています。