
お店の看板メニュー
特製ビーフシチュー
大ぶりの牛肉は、厳選したバラ肉を使用し、スプーンでホロリとほどけるやわらかさ。約3週間じっくり煮込んで完成する秘伝のデミグラスソースをベースにワインで仕上げるソースは、ビターで奥深いコクが特徴。
2000年のオープン以来、
洋食激戦区である
上野広小路で輝きを
放ち続ける屈指の名店。
知人がつけた「厳選洋食」の名が、
店を育ててくれました

料理長 / 長谷山光則 さん
厳選洋食さくらいの監修で生まれた
レトルト商品
特製ビーフシチュー
赤ワインで煮込んだやわらかビーフと皮付きポテトに、奥行きのある深い味わいのソースが絡み合う逸品。

限られた価格帯のなかで
食材と製法をつきつめる

厳選洋食さくらいは2000年に開店しました。“大人っぽい味”が、うちの特徴の一つです。デミグラスソース一つをとっても、ビターな味わいにしています。とはいえ、お店自体はかしこまることなく、カジュアルでモダンな雰囲気を大切にしています。メニューによってはハーフサイズもご用意していたりと、そうしたバランス感や使い勝手の良さみたいなところをお客さまにご支持いただき、これまで続けてこられたのかもしれません。客層は20代から70代までと幅広く、最近はデミグラスソースをのせたオムライスを食べに来てくださる若い男性も多いです。

店名に付く「厳選洋食」のことをよく聞かれますが、実はこの名前、知人につけていただいたんです。名は体を表すではないですが、名前に負けないように、少しでもそこに近づけるようにと、スタッフ一同努めてきました。食材はいろいろな所から探してきた、より良いものを使っています。またすべての料理は、デミグラスソースからホワイトソース、べシャメルソース、ケチャップにいたるまで、一から手作りしています。このように開店以来、リーズナブルなお値段のなかで厳選された食材と味をご提供することをモットーにやってきました。

そしてもう一つ、その味を守り続けることも大切にしています。何度も足を運んでくださる方や久しぶりに来てくださるお客さまをがっかりさせることなく、その期待にお応えしたい。だからこそ、10年ぶりに来られたお客さまに「前と変わらずおいしかったです」と言っていただけるのは、何よりうれしいです。その点、限られた時間と予算で、手を抜くことなく味を維持し続けてくれるスタッフには、頭が上がりません。
厳選洋食さくらいの監修で生まれた
レトルト商品
特製ビーフシチュー

まさにレトルト開発のプロ
味の“読解力”に驚かされた

エスビー食品さんから、ビーフシチューのレトルト化のお話をいただいたのは、2020年のことでした。コロナ禍が起こり、まさにイートイン以外の展開を考えていたところだったので、「これはもしかすると、みんなが今までがんばってくれたご褒美かも…」なんて思いながら(笑)、ありがたくお受けしました。
そこから担当者の方に開発を進めていただいたのですが、さすがは食品開発のプロと思わされることが多々ありました。たとえば、まず最初に担当者の方に厨房に入って実際にお店の調理を見ていただいたり、試作途中に、よりリアルな味に近づけるためにその場で「これに赤ワインを使うとこうなりますよ」など実演した際にも、瞬時に私たちの伝えたいことを理解して、レトルトの製法で的確にお店の味を具現化してくださいました。

開発にあたってこだわった一つが、お肉のやわらかさです。最初の試作段階では少し固さを感じましたが、ほどよく脂身の入ったお肉に変えていただいたことで、しっかりやわらかくなりました。また、お肉と一緒に皮付きのじゃがいもが入るんですが、いろんなところから食材を探していただいたおかげで、最終的にはとてもホクホクしたものになりました。正直、じゃがいものおいしさにびっくりしましたね。そんなふうにして何度か試作と改善を重ねていただいた末に、商品は完成しました。
レトルトを食べたことをきっかけに、お店にも行ってみようと思っていただきたい。またお店で食べた方にも、自分用やプレゼント用に、レトルトをご利用いただきたい。開発前にそんな商品になればと考えていたことが、お店の味をしっかり再現いただいたことで、実現したと感じています。
気軽に手に入れられる
本格ビーフシチューの
“指標”

この先もお店では、“おいしい”を実直に追求していきたいです。そして、その味をブラさずに続けていきたい。食材の高騰や人手不足などで難しい時代になっていますが、だからこそ変わらないことへの価値も増しているのかもしれません。スタッフみんなで、なんとか乗り切って続けていきたいです。

このレトルト商品に関しては、ご家庭でビーフシチューを調理される際の、一つの味の指標としてご活用いただくのもいいなと思います。たとえば、「この味を目指して自作してみよう」とか、あるいは「この味をベースにアレンジしてオリジナルのビーフシチューを作ってみよう」など。ビーフシチューはお店で食べるとどうしてもそれなりにお値段がしてしまうので、わざわざお店に行かずとも、レトルトで手軽に買える意味は大きいと思います。
アレンジと言えば、オムライスにこのビーフシチューをかけるのもおすすめです。同じオムライスでも、ソースが本格的だと、グッと気分が上がります。ビーフシチューをかけることで湯気がわーっと出て、一段と豪華で温かい雰囲気のディナーになりますよ。
写真:三村健二
取材執筆:田嶋章博
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