甘い！辛い！の
無限ループが
食欲を刺激する
進化系欧風カレー店

甘辛欧風カレーで
ビジネスマンの
胃袋をつかむ行列店

白銀亭は2007年にオープンした辛口カレー専門の店です。オフィス街という立地を活かして店内はカウンター席のみ。スピーディーにご提供できるのでビジネスマンのお客さまにも多くご来店いただいています。

実はこの店をオープンするまでは和食の料理人をしていました。そんなある日、カレー店を営む方に出会い、話を聞いているうちに「カレーはそのひと皿で勝負する究極の一品料理」だと思うようになり、カレーの道へ進むことを決めました。もし自分がカレー専門店を開くなら、万人から愛される欧風カレーの店にしようと決めていて。ただ、普通においしい欧風カレーを作ってもおもしろくないし、 大阪らしい甘辛カレーにすることに。そこから独自のスタイルを研究し続けて今の味に辿り着きました。

白銀亭は辛口カレー専門と謳っているだけあってしっかりと辛いです。ただ、「辛い」という印象のみが残ってしまうカレーではなく、「辛いけど、おいしかったな」と感じてもらえる絶妙な辛さに仕上げています。一口食べるとまず甘さを感じて、その後に辛さが追いかけてくる。その甘辛さに複雑味を持たせているのもポイントです。例えば、甘みは砂糖を加えただけの直接的な甘さではなく、果物の自然な甘みを大切にしています。辛さも、カイエンペッパーやブラックペッパーなど、13種類の香辛料をブレンドし、風味豊かな辛さを出しています。ベースには国産牛や玉ねぎの旨みがしっかりと効いているので、甘辛さがより引き立ちます。

店の看板メニューはトンカツカレー。カレーにのせるトンカツは脂部分をカットしたほぼ赤身のみの豚ロースを生パン粉の薄い衣で揚げています。サクサクに揚がったら、一口で食べやすいように細めにカット。短い休憩時間を使って足を運んでくれるビジネスマンにとってランチタイムは至福の時。しっかりとボリュームはありつつもサッと食べられて胸焼けしないトンカツカレーが当店ならではの特徴ですね。もちろんビジネスマン以外にも、遠方からわざわざ食べに来てくださるお客さまもいて、本当にうれしい限りです。

フルーツの甘みや
牛肉の旨み、
スパイスの辛みが広がる

最初にレトルトカレーのお話をいただいた時は、正直悩みました。レシピは教えたくないし、本当にうちの味に近づけるのかも不安で。それでも担当者の方が何度も店に通ってくれて、その誠意に心を打たれてご一緒することに決めました。

試作段階では、うちのカレーの特徴である甘辛さと旨みを出すために何度もやり直してもらいました。エスビー食品さんの協力もあり、スパイスの使い方や小麦の炒り方など、調理法にも細部までこだわって納得のいく商品が完成しました。肉もホロホロ崩れるくらいに柔らかい。フルーティーな甘さもうまく再現されています。

カレーを作る時に、煮込む時間の長さでおいしくするという方も多いですが、白銀亭のカレーは長くは煮込まず、火を止めてから2晩ほど冷蔵庫で寝かせることで熟成させるんです。レトルト商品でもそんな熟成感のある味の深みまでしっかり感じられます。

いつでも変わらぬ
おいしさを
大切に守り続けていく

これからも創業時から変わらぬスタイルで、カレーを作っていきたいと思っています。現在、本店のほかにイトゥビル店もありますが、そちらの店舗で提供するルウも私が作って店に届けています。カレーは作る鍋が変わるだけでも味が変わると言われる料理。ましてや作る人が変われば、同じレシピでも味に違いが出てしまいます。

ありがたいことに次の出店のお話もいただくんですが、私1人で作れるカレーの量は今で精一杯なので、この2店舗を大切に守っていきたいと思います。いつ来ても変わらない、創業から続く白銀亭の味をぜひ食べに来てください。

写真：宇津木健司
取材執筆：天野準子