
お店の看板メニュー
グリーンカレー
一口目から感じる爽やかなハーブの香りとコクで、味に奥行きを出したグリーンカレー。濃厚でありながらもスッキリとした味わいの絶妙なバランスで、食通や料理人も支持するひと皿です。パンチの効いた味わいは、ジャスミンライスとも相性抜群。
タイ料理にひたむきな
新進気鋭の名店。
15年の修業を経て、
満を持して独立。
計算し尽くした味や香り、
質感の絶妙なバランスが
こだわりです

店主 / 宮尾祐平 さん
ミャオミャオの監修で生まれた
レトルト商品
グリーンカレー
ココナッツミルクとナンプラーの濃厚なコクに、レモングラスやスィートバジルが爽やかに香る一皿。

何気なく始めたタイ料理店での
アルバイトで、生活がタイ一色に

タイ料理と出会ったのは、21歳の頃。東京・三軒茶屋のタイ料理店でアルバイトを始めたのがきっかけでした。それまでタイ料理を食べたことがなくて、最初はその独特な甘い、酸っぱい、辛い、しょっぱいといった複雑な味のバランスに戸惑いました。それが気付けば、すっかりその不思議な味の虜に。タイ人スタッフばかりの環境で過ごすうちに、料理はもちろん、タイの文化やおおらかな人柄にもどんどん惹かれていきました。タイ語も一生懸命勉強したし、タイ全土を巡り、現地で出家の体験までしました(笑)。アルバイトを始めてから、私の生活はタイ一色に染まりましたね。
同店では10年間マネージャーとして勤務しながら、タイ人シェフからタイ料理を学びました。その後、別のタイ料理店で2~3年ほどキッチン業務を経験。タイ料理の基本をしっかりと学びながら、深く掘り下げていきました。

そのあと、当時のオーナーの勧めもあって独立し、東京・幡ヶ谷に「ミャオミャオ」をオープンしたのが2022年のこと。実は物件を内見したのはこの場所だけで、最初に見てスパっと決めてしまったんです。ビルの2階で目立たない場所ですが、なんとなく直感がはたらいて。急に人気になるよりは、徐々にクチコミで広がり、長く愛されるお店を目指したいという考えもありました。
「ミャオミャオ」では、タイの人でも「おいしい」と頷くような本場の味を大切にしています。それでいて「日本人の口に合う」と言ってもらえるのは、現地のダイナミックなおいしさに、日本人の繊細な感覚が自然と融合しているからかもしれません。特にこだわっているのが、味のバランス。辛さ、酸味、甘み、旨み、コクといった要素を頭のなかで設計図のように描き、それぞれの料理がベストなバランスになるように追求を重ねています。
甘み、塩味、辛さ、コクの
バランスが
唯一無二の
グリーンカレー

一般的なグリーンカレーは、独特なハーブ感が特徴ですが、ミャオミャオのグリーンカレーはそれに加えて、しっかりとコクのある濃厚な味わいと、仕上げにたっぷりと加えるフレッシュなホラパー(タイのスィートバジル)の清涼感のある香りが魅力です。コクや旨みが引き立つよう甘みを多めに加えていますが、“ただ甘いカレー”にならないように、辛さや塩味、ハーブを組み合わせて絶妙なバランスに調整しています。これが私の好きなグリーンカレーの味です。
この味のバランスはすごく繊細で、そのときの鶏肉の水分量や煮詰める時間がほんの少し異なるだけで甘みが強く出すぎてしまうことも。そのため、火入れのタイミングや調理時間を細かく決めて微調整しています。また、ルウと油は乳化しすぎると味が丸くなってキレがなくなるし、逆に多すぎるとしつこくなってしまう。この細やかな加減もこだわっているポイントです。

グリーンカレーは、私が10年以上作り続けてきたメニューの一つです。長年、大まかな味の枠組みはあったものの、お店をオープンするまでは「これが完成形だ」と言えるレシピにはたどり着けていなかったんです。カレーって、年齢によって食べたい味が変わってくるんですよね。年を重ねながらその都度進化させ、ミャオミャオを開店する際にようやく自分のなかでベストな味に仕上げることができました。10年前の自分には出せなかった、今だからこそ作れる味だと思います。
ミャオミャオの監修で生まれた
レトルト商品
グリーンカレー

商品の監修で
最後までこだわったのは
味のボリューム感と力強さ

最初にレトルト商品の開発の話を聞いたときは、「本当にうちのグリーンカレーをレトルトに!?」と半信半疑でした。そして今、実際に商品を試食してみて、その完成度の高さに感動しています。
開発には約半年間。最初に試食させてもらったときは、香りも弱く、味ももっとぼやけていてうちのグリーンカレーらしさが少ないかなと。キレのある味を生むために重要な要素である「油浮き」もなく、ルウも乳化してしまっていました。実際、レトルト商品で油浮きさせるのは技術的にとても難しいそうでして。それが実現できたのも、エスビー食品さんの高い技術力と探究心の賜物だと思います。
また何より、香りの再現度には驚かされました。基本的にグリーンカレーはハーブの香りがポイントになっているのですが、うちのグリーンカレーはフレッシュなホラパーの香りが特徴的。ベースにはレモングラスやガランガルという生姜に似た刺激的な風味を、ミドルには柑橘系の香りを持つこぶみかんの葉であるバイマックルー、さらにトップにはフレッシュなホラパーの奥行きのある香りを投入し設計しています。これをレトルトで再現するのはすごいなと思いました。

今回、最後までこだわったポイントは「味のボリューム感と力強さ」。開発担当の方と相談しながら、ナンプラーやハーブの量を調整し、バランスをとりながら何度も調整を重ねました。ふだん感覚的に設計している味のバランスを言語化して伝えるのはとても難しかったのですが、担当者の方がうまく汲み取って言語化してくれ、あらためて自分の作る味を再確認できた気がします。
ほぼ味が決まった段階で、あと一歩お店の味に近づけるためにほんの少し酸味を足したいと相談したところ、最終的に採用されたのがレモン果汁。ほかにもいろいろ候補を出し合っていたのですが、レモン果汁を加えることで全体的に軽やかな仕上がりに。自分のなかでも新しい発見でした。日本米はもちろん、ジャスミンライスと合わせることで、より一層このグリーンカレーを楽しんでいただけると思います。
タイ料理のコアな魅力を
もっと表現していきたい

タイ料理の世界にどっぷりと浸かって約15年。振り返ってみても、なぜこんなにタイを好きになったのか思い出せないくらい、タイは私の「日常」になりました。もう自分もタイ人の気分ですし(笑)、まさに第二の故郷のような場所です。今でも年に1度は現地を訪れ、街で食べ歩きをして新しいメニューのアイデアをインプットしたり、海沿いのローカルエリアで休養したりしています。

ミャオミャオをオープンして2025年で早3年。キッチンが私1人ということもあって、今はベーシックなメニューが中心ですが、もう少し余力ができたらチャレンジしたいと思い描いているメニューがいろいろあるんです。タイにはカレーだけでなく、さまざまなハーブを使ったスープなどまだまだおいしいメニューがたくさんあります。もっとコアなメニューも取り入れて、深みと新鮮さを出していきたいですね。
今後新しい店を出すことも模索中だし、一緒に頑張ってくれる仲間を増やしていきたいとも考えていて。料理だけでなくお店全体をもっと進化させながら、これからもタイの魅力を表現していけたらと思っています。
SHOP DATA
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ミャオミャオ
- 住所
- 東京都渋谷区幡ヶ谷2-1-4
ACN 渋谷幡ヶ谷ビル2F
- 電話
- 03-6383-3222