
お店の看板メニュー
牛バラ肉カレーご飯
とろとろの牛バラ肉を八角で香りづけ、上湯スープを効かせた中華仕立てのカレー。濃厚さと酸味、とろみが絶妙なバランスのカレーソースは、中華カレーの真髄。甘さとスパイスの辛さがじんわり追いかける、あと引くおいしさが魅力。
八角の香りをまとわせて、
ほどける食感に仕上げた
牛バラ肉がたっぷり。
欧風カレーをイメージしつつ、
中華料理の技法で
仕上げています

店主 / 偉強 さん
中国料理 保昌の監修で生まれた
レトルト商品
やわらか
牛バラカレー
鶏や香味野菜をじっくり煮出した中華スープの旨みと、中国醤油やオイスターソースのコクを楽しむ一皿。

甘辛のバランスが
クセになる。
中華カレーの真骨頂

牛バラ肉カレーご飯が注目されるようになったのは、10数年前に新聞のカレー特集で紹介されたことがきっかけでした。今では「保昌といえば、カレー」と言われるほど、看板メニューになっています。これはもともと、まかないとして作っていたんです。私は欧風カレーが好きでよく食べ歩いていて、それをイメージしながらまかないとして家族やスタッフに出したら、好評で。裏メニューとして常連客に出すようになり、気付けば30年になります。

具材は、じっくり煮込んだ牛バラ肉とほどよく食感を残した玉ねぎのみ。主役の牛バラ肉は、紹興酒、ネギ、生姜、中国醤油などでしっかり下味をつけて6〜8時間ほどトロ火で煮込みます。この際欠かせないのが、八角。苦手な人も多いのであくまで“香る程度”ですが、八角が肉の臭みを消して旨みを引き出してくれます。カレーソースは、豚ガラと親鶏でとった自家製上湯スープをベースに、醤油、オイスターソース、豆板醤などを加えて整えます。カレー粉の量も重要で、香りをしっかり立たせるためにも惜しまず、やや多めに。この塩梅も風味や味を左右します。

そして、“見た目”もこだわりのひとつ。料理は、まず目で食べるものですから、最初のインパクトも大事にしています。ポイントは、色味や香り、とろみ。赤みがかった濃い茶色のカレーソースをケチャップで調整し、最後に水溶き片栗粉で、中華ならではのとろみをしっかりつけて。仕上げにひと回しの油で艶を出します。これは中華料理ならではの技法。照りと艶が出て、見た目から食欲をそそります。この艶がないと、うちのカレーじゃない。とろみも、中華丼のようにやや強めにしているんです。

お客さまからは、「クセになる」「中毒性がある」とよく言っていただけます。辛すぎず甘すぎず、じんわり辛味があとから追ってくる“甘辛”のバランスがちょうどいいんでしょうね。ランチでもディナーでも人気ですが、飲んだあとの〆にカレーという人も多いんですよ。
中国料理 保昌の監修で生まれた
レトルト商品
やわらか
牛バラカレー

完成までに1年以上。
「うちの味」と
言える一品に

今回レトルト化の話をいただいたときは、「とうとう来たか」という気持ちでした(笑)。というのも、もともと「噂の名店」シリーズもよく知っていて、食べたこともあったんです。だから声をかけてもらえたのは素直にうれしかったですね。
そこから開発がスタートし、発売まで1年以上かかりました。でも、最初のサンプルを食べたときから「お、けっこういい線きてるな」と感じていて。そこからは細かな調整を繰り返して、10回くらい試食させてもらったと思います。肉の柔らかさ、とろみの具合、カレーの色、玉ねぎの切り方まで、いろいろ注文しましたが、開発担当の方がとにかく熱心で。何度も足を運んでくれて真剣に向き合ってくれたのが、印象に残っています。

特に苦労したのは八角の加減。絶妙な塩梅なので難しかったと思います。いい感じに味の調整が進んでいたのに、あるとき急に八角の風味が強すぎて驚いたことも、今では懐かしいです(笑)。そこもしっかりと修正してくれて、最終的にはバランスのいい仕上がりになって満足しています。
試食は毎回家族でしていました。妻はお店のカレーをよく食べるので、辛さについて意見をもらってそれも参考にしたり。カレーソースは照りのある赤茶色の見た目で、肉にもしっかりと味がついている。細かいところまで再現されていて文句なしの仕上がりです。レトルトで再現するのが難しいポイントも多かったようですが、最終的には「うちの味」と言える一品になったと思います。
守りながら進化する、
受け継がれる
中華カレーの味と技

中国料理 保昌は、私の父が1969年に立ち上げました。料理人だった父は東京や名古屋で修行を重ねた後、ここ中華街に店を構えました。私は2代目としてここまで続けていますが、そろそろ世代交代のタイミングかなとも思っていて。今は息子も厨房に立ち、私とほとんど変わらないカレーの味を出せるようになっています。

私のレシピは体に染みついた目分量ですから、息子はそれをしっかり数値に残して再現してくれています。ときどき「とろみがちょっと強かったな」なんて微調整は必要ですけど、そういうのも含めて経験ですから。
いつか息子に「親父のカレー、もう古いよ」って言ってもらえる日が来るのを楽しみにしてるんです(笑)。味を守るだけじゃなくて、彼なりの“進化”もきっと見せてくれるはずだと期待していて。これからもこの味を大切にしながら、ときには新しい風も入れつつ、保昌のカレーが次の世代にも愛され続けていけたら何よりうれしいですね。
写真:三村健二
取材執筆:高野瞳
SHOP DATA
-
中国料理 保昌
- 住所
- 神奈川県横浜市中区山下町138
- 電話
- 045-681-4437