五感で満喫! 南インドの旅

2010年11月末から12月にかけて、初夏の南インドを訪れました。スパイスやハーブに所縁の深い地を巡る中で出会った、心に残る風景や料理をご紹介します。

2010/11/30

スパイスの町、ティッカディーへ! ~ティッカディー~

■快晴!

今朝は何と、鳥のさえずりで早朝に目覚めました!せっかくなのでそのまま起きて、ホテルの敷地内を散歩してみます。普段はあまり朝に強くないのですが、日本との時差が-3時間30分のインドでは体内時計が日本にいるときのままリセットされていないのか、夜は早くに眠くなるのですが、朝は楽に起きることができます(単に眠りが深いだけかも?)。

昇ったばかりの太陽がキラキラと輝き、とても気持ちの良い朝です。

昨日夕陽がきれいだった湖の方を見ると、幻想的な朝もやが一面に・・・。思わず吸い込まれそうになりました。
早起きのおかけで素敵な光景を見ることができて、ちょっと得した気分です。

■イドゥリーとワダに初挑戦!

散歩のあとは、毎朝の楽しみ・朝食です。

ガイドブックで見て出発前から気になっていた“イドゥリー”をまだ食べていなかったことを思い出し、今朝はまずイドゥリーに挑戦してみます。
南インドの朝ごはんの代表的メニューのひとつで、UFOを思わせる円盤状の形がユニークなイドゥリー。お米と豆の粉で作る生地(セモリナ粉が使われる場合もあり)を発酵させ、イドゥリー専用型に流し入れて蒸して作るのだそう。

見事なまでの均一な円盤形は、専用型のおかげなんだな~と納得。
大きさは直径10cmよりちょっと大きいくらい、触ってみるとふわふわしたスポンジケーキのような触感です。

どんな味かなぁとワクワクしながら口に運ぶと、予想外に酸味が!
発酵させたことによる自然の酸味だそうですが、同じような発酵生地を香ばしく焼き上げた“ドーサ”のほんのりした酸味よりも、より酸っぱく感じる気がします。
独特の酸味や香りは好き嫌いが分かれるかもしれないな~と思いましたが、現地ならではの個性的な味わいなので、南インドに行かれる方は、ぜひ一度トライしてみて下さいね!

ちなみに、真白いプレーンタイプの他に、カレーリーフが使われているものもありました。南インド料理での、この“カレーリーフ”の登場頻度には最初驚きましたが、数日の滞在で、「ないと寂しい」と感じてしまうくらいお馴染みの存在に・・・。香ばしいような何ともいえない独特の香りに、すっかりトリコです。

また、揚げたての“ワダ”が大人気で、揚がるたびに人垣ができていたので、私もひとつ頂きました。サンバル(サラッとしたカレー)と一緒に食べるとおいしいそうですが、今回はシンプルにワダだけで食べてみました♪
ワダは、豆粉で作った生地を揚げたもので、見た目はまるでドーナツのよう!食べてみると、ドーナツと違って甘くはなく、軽食といった感じ。しっかり・ずっしりとした食感と、アクセント的に使われているクミンシードの香りがたまりません!

他にも、ごはんとカレーなどを食べて腹ごしらえし、出発の準備はOKです!

■一路、ティッカディーへ!

今日は一路、ティッカディーの町に向かいます。
ティッカディーは標高の高い場所にあるため、ひたすら曲がりくねった山道を登っていきます。

この辺りはゴムの生産が盛んな地域で、車中から外を見ると、ラバープランテーションが右に左に広がっています。ラバー(ゴム)の採取は、木の幹に傷をつけ、その下の位置にビニール袋や半分に割ったココナッツの殻などの受け皿をセットし、傷から出てくる樹液をためるのだそうです。

途中立ち寄った売店では、いかにもインドらしい、Lay'sポテトチップの“マジックマサラ味”というものを発見!ガイドさんが『これ、おいしいよ。』といいながら袋をビリッと破ってくれます。『え、会計前なのに大丈夫!?』とあたふたドギマギする私の横で、どうぞと勧めてくれるガイドさん・・・。『インドでは、こうやって開けたら、「よし売れた!」と思ってお店の人は喜ぶんですよ!』とのこと。国が変われば常識も変わるんですね~。

さてさてお味の方ですが、パッケージに描かれているスパイスで、「辛いんだろうな~」となんとなく想像はついたのですが、食べてみると期待以上のスパイシーさ!辛い中にも、スパイスの混じり合った複雑で強烈な香りが漂い、クセになる味わいです。
すっかり気に入り、持って帰るのは大変だろうな~と思いつつ、お土産用にいくつか購入してしまいました。
(結局、スーツケース内での気圧差による袋の破裂や圧迫による潰れが心配で、機内持ち込み手荷物に入れて大切に大切に持ち帰りました!)

ランチは、「HIMARANI」という道中のレストランへ。この旅初となる“北インドスタイル”のお料理を頂きました。調理法や使われる食材・スパイスなど、南インド料理とはまた違った味わいで、こちらもまた美味☆

食事の最後には、お口直しとして、砂糖衣のついたフェンネルがテーブルに。ヒンディー語では「ソゥンフ(スンフ)」というそうです。
口に含んで噛むと甘みと優しい香りが広がり、スパイシーな味わいになっていた口の中をリセットしてくれる感じがします。フェンネルには消化を助ける働きがあるといわれ、こうして食後にテーブルに出されることがよくありますが、味わいの面からも、期待される効能の面からも、とても理にかなっていていいな~と思いました。

食事のあと、さらに山道を登っていきます。
窓の外を眺めていると、紅茶とペッパーが一緒に栽培されているプランテーションが目に飛び込んできました。広大な敷地に整然と立ち並ぶペッパーの様子は、爽快な眺めです。
プランテーションの様子を車中から撮影しましたので、よろしければ動画でご覧下さい。映像がガタガタしているのは、手ぶれではなくて車のゆれのためです(恐らく・・・)!

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ペッパーはつる性の植物で、支柱となる別の木などに巻きついて上に向かって成長します。紅茶の木(低木)の間で育てることができるから、敷地が効率的に利用できるのですね~

■自然に囲まれたティッカディー

そして・・・ 長―い山道を経て、ついにティッカディーに!ティッカディー・クミリー地区は、スパイスの一大産地であり、野生動物保護区もあるような、自然豊かなエリアです。
車を降りると肌寒くてびっくり。厚手の長そでを羽織ってないと、鳥肌が立ちそうです。
本日から2泊するのは、「スパイス ヴィレッジ」という、全室コテージタイプのお部屋のホテル。到着すると、ロビーでウエルカムティーを出してくれました。

温かいティーが嬉しくてさっそく口元にはこぶと、ふんわーりとスパイスの香りが。
『うわ~、いい香り!』と嬉しそうにしていると、ホテルのスタッフの方が『カルダモンティーです。体がとても温まりますよ。』と説明して下さいました。
スパイス使いの中に、おもてなし心・気遣いが自然に表現されているのはさすがインドだな~と感心!

ティーで温まった後、お部屋にご案内頂いたのですが、ロビーを抜けた先のガーデンにはたくさんの植物が。
“スパイスヴィレッジ”というホテル名だけあって、スパイスやハーブもたくさん育っています。
そんな木々の間に、かわいらしいコテージが点在しており、お部屋の中も、木が基調の家具であたたかい雰囲気です。

お部屋で少しゆっくりしてから、ホテルの随所にあるスパイスの木をめぐってみることに。
ペッパーシナモンカルダモンターメリックなど日本でもよく知られているスパイスから、タマリンドコクムカレーリーフなどこちらならではのスパイスまで、いろんな種類のものを目にすることができました!

ペッパー、ターメリック、タマリンド、カレーリーフ

■クッキングデモでお勉強

夕食の前に、ホテルのシェフによる30分間のクッキングデモンストレーションが開催されると伺い、参加してみることに。宿泊者なら誰でも参加(見学)することができます。

本日のデモンストレーションのメニューは“バナナのマサラココナッツ挟み焼き”!
まずオリジナルブレンドのマサラを作り、そのマサラとココナッツファイン、砂糖を混ぜ合わせたものをカットしたバナナに挟んで焼くというもの。

まずはオリジナルブレンドのマサラづくりから。いろんな料理に使えるので、まとめてたっぷり作ります。
カルダモン(30g)、クローブ(30g)、ブラックペッパー(30g)、ジンジャー(20g)、シナモン(20g)、ローレル(2.5g)の6種類のホールスパイスを用意し、焦がさないようにかきまぜながら10分ほどローストします(たまに火から外したりしながら・・・)。

石のミル

ローストしたホールスパイスは、粉砕してパウダー状にします。
デモでは時間が限られているためミルサーを使って粉砕しましたが、伝統的な方法では石のミルを使うそうです。その方がより良い香りに仕上がるのだとか。

続いて、ココナッツファイン1/2カップに、砂糖を小さじ2、オリジナルマサラ(先ほど作ったもの)を小さじ1加えて混ぜあわせます。
バナナは、皮がついたまま1cmくらいの厚さの斜め切りにし、さらに、その半分の厚さ(5mmの位置)に、ココナッツを挟むための切りこみを入れます。(半分くらいまで切り込みが入り、半分くらいはつながっている感じ)
そして皮の部分を除き、その切り込み(シェフは“ポケット”と表現していました)に、ココナッツを詰め込みます。同様にして、いくつも作ります。

フライパンに油とギー(精製バターの一種)を入れて熱し、バナナを両面焼きます。仕上げに、オリジナルマサラ少々を混ぜたハチミツをかけたら出来上がり!

一緒に写っているカップの中身は、紅茶にオリジナルマサラで風味づけしたマサラティーです

最後に一人ずつ、試食させてくれます。
写真がうまく撮れなかったのですが、味は、バナナの甘みをオリジナルマサラが引き立てつつ、引き締めてくれていて、とってもバランス良くおいしい!ギーはなかなか日本だと手に入りませんが、バターで手軽に代用すれば、簡単に作れそうです。

バナナソテーに胃を刺激されたところで、ちょうど夕飯の時間です。
こちらのホテルのレストランの料理は評判がいいと聞いていたのですが、評判通り、何を食べても味わい深くおいしいものばかり!すっかり慣れ親しんできた数々の南インド料理を頬張ります。

ビュッフェ台の端の方にはズラリとピクルス類が並んでいました!見た目にも心惹かれます。

その中に、ひときわ気になるものを発見!!

写真がイマイチなので分かりづらいですが、実はコレ、ペッパーのピクルス!!緑の未熟果を房状のままピクルスにしたもののようです。
早速食べてみると、からーい!!!ピリッピリッとした味わいがどんどん口の中に広がってきます。でも、辛みだけでなくさわやかな香りもすごい!料理の合間の箸休めというか、口内のリフレッシュによさそうだなと思いました。

お腹がいっぱいになると、さっそく眠気が襲ってきます・・・。部屋に戻ろうと外に出ると、夜になって涼しさが増したのか一段と肌寒く感じ、小走りで戻りました。部屋に入り、ベッドにふと目をやると・・・ふとんの間に何か赤いものが挟まっています。

近づいてよくよく見ると・・・・

な、なんと、湯たんぽでした!インドにも湯たんぽがあるんだ~という驚きと、家庭的な温かい気遣いへの感動で、急に眠気が覚め、写真まで撮ってしまいました。

この湯たんぽのおかげであたたかく快適に寝付くことができました!

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ハーブが香る 南欧の旅