こしょう/Pepper

世界中で愛されている、スパイスの王様。

科名 コショウ科
原産地 インド
利用部位 果実
別名 ペッパー、胡椒(こしょう)

特徴

こんなスパイス&ハーブです。

こしょうの果実を原料として、収穫時期や製法の違いにより、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、グリーンペッパーの3種の風味の異なるこしょうが作られます。その他にペッパーと名前がついているものとしてピンクペッパーがありますが、日本ではこしょうと異なる植物から採られた果実を乾燥させたものが一般的です。こしょうの熟した果実を乾燥したものがピンクペッパーとして流通していることもあります。

形状

口内に広がる爽快な香りと口腔を刺激する強い辛味があります。辛さは、唐辛子がヒリヒリするホットな辛みであるのに対し、こしょうはピリリと刺すような刺激的な辛みです。ブラックペッパーは、しわのある黒色の果皮に覆われ、直径5~6mm大の球形です。ホワイトペッパーは、表面が滑らかな灰白色、大きさは5~6mm大の球形です。グリーンペッパーは加工によって見た目は異なりますが、緑色の直径5~6mm大の球形状が共通した特徴です。

語源・別名

ペッパー、胡椒(こしょう)

エピソード

一握りのこしょう=牛一頭!?

中世ヨーロッパで、防腐剤や臭み消しに利用されるようになったこしょうは、遠くインドから長い年月と労力をかけて運ばれていたため、ヨーロッパに到着するころには大変な貴重品でした。一握りのこしょうの価値は、牛一頭分に相当するほどでした。

一つの料理に3度登場する人気者

数あるスパイスの中でも一番ポピュラーなものと言えば、「こしょう(ペッパー)」の右に出るものはありません。材料の下ごしらえの段階で、調味した材料を料理する段階で、そして、でき上がった料理を食べる人が好みに合わせて味をととのえる段階でと、同じ料理に3度使用されるなど、世界中の料理に幅広く使われることから「スパイスの王様」とも呼ばれています。

ヒトを魅了し続けて2500年

ペッパーという言葉は、もともとインドの古語であるサンスクリット語(梵語)の「ピッパリー(長こしょう・ロングペッパーを意味する)」に由来しますが、インドでは今から約2500年前の紀元前500年代には人々の食生活に取り込まれていたようです。ペルシャ人やアラビア人の手によって地中海沿岸各国へ運ばれたこしょうは、古代ギリシャでは医薬品として、またローマ帝国では金銀とならぶ貴重な貨幣の一つとして使われていました。

こしょうを求め東方を目指した冒険者

あの有名なマルコ・ポーロの「東方見聞録」にも、中国・杭州で大量のこしょうが消費されていたこと、ジャワが高価なスパイス類の宝庫であることが記されています。その影響から、東洋進出を目指す冒険者たちによる大航海時代が始まります。一方、日本にこしょうが伝えられた事実として最も古いものは、聖武天皇の御遺物が献納されている「正倉院御物」に残っています。薬としてシナモン、クローブ、甘草、じゃ香などとともに、こしょうが含まれており、少なくとも西暦749年以前には日本に伝来していたようです。

貴重な貨幣として通用

中世ヨーロッパでは法貨の一つとして通用していたため、ドイツでは役人の給料をこしょうで支払い、イギリスでは地主たちが小作料や地代をこしょうで支払うよう要求したため、「こしょうの実(み)地代」(Peppercorn rent)という言葉が残っているほどです。

適した料理

下ごしらえ、料理中、仕上げに、世界中の料理に使われています。

肉料理、魚料理、野菜料理、スープなどに使うほか、ソース、ケチャップなど調味料の主要原材料にもなります。このほかハム・ソーセージやハンバーグなど、あらゆる食品の味つけにも欠かせません。様々な形態で利用され、ホール(原形の粒の状態)、あらびき、パウダー(粉末状)などが市販されています。

    関連商品はこちら