五感で満喫! 南インドの旅

2010年11月末から12月にかけて、初夏の南インドを訪れました。スパイスやハーブに所縁の深い地を巡る中で出会った、心に残る風景や料理をご紹介します。

2010/11/29

五感でミールスを堪能&チャイ作りレッスン ~クマールコン~

■今朝の朝食

今朝も南インド料理三昧。
日本の南インド料理店で食べて以来大好きな、“ドーサ”を目の前で焼いてもらいます。
ビデオで撮影していると、スタッフのお兄さん、張り切ってくれたのか、いつもとは違う成形をしてくれたようです!ドーサを焼いてくれているお兄さんの華麗な手つきを動画でご紹介したいと思います。

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ドーサとは、米と豆を挽いた粉を水と混ぜて発酵させた生地をうすく焼き上げる料理で、朝食の定番だとか。この焼き上げたドーサに香味ポテトを巻いた“マサラドーサ”もとても人気があり、私もこちらも大好きです。
ドーサには、南インドならではのココナッツの味わいが効いたチャトニがよく合います。下の左の写真のドーサに添えられているカラフルな3色のものが、チャトニです。オレンジ色がトマトチャトニ、緑色がグリーンチャトニ(ミントと香菜でグリーンになっています)、白色がココナッツチャトニ。今回いただいたものには、どのチャトニにもココナッツが使われていて、ほのかに甘い風味があり、やや酸味のあるドーサの生地と抜群の相性です。

普段の形撮影した時のもの

■“手”で、いただきます!

朝食をたっぷりいただいたあとは、次の宿泊先・クマールコンへ向けて出発!
ランチは道中のローカルレストラン「KALPAKAVADI」で、伝統的なスタイルの“ミールス”を頂きます。
ミールスとは、バナナの葉の上に各種おかずとごはんが並んだ、南インド風定食のこと(バナナの葉を使うのが伝統的ですが、使わない場合もあります)。給仕さんが、バナナの葉の上に1種類1種類おかずを並べ、最後にご飯を盛り、カレーをかけてくれます。

ご飯は、ケララでとれるお米を炊いたもの。普通のお米より丸っこくて大きく、ほんのりピンクのような色をしています。このご飯は、盛るときにざっくり3等分にしてくれました。それぞれの山に、違う種類のカレーをかけるためだそうです。

カレーを食べるのにも順番があって、まずは薄黄色でほとんど辛くない豆のカレー“ダール”、続いてサラリとして辛みの強い野菜カレー“サンバル”、そして、おかずやデザートをすべて食べ終わったあとに、残ったご飯のひと山に、“ラッサム”という酸味のあるスープ状のカレーをかけてくれます。このカレーは消化に非常によいため、一番最後に食べるのだそうです。普段の食事を通じて健康管理をする、インド流の“医食同源”の考え方に少しふれたような気がしました。

ミールスの盛りつけ完了!

今回は、手で食べることに初挑戦!慣れない私にとって、最初の一歩(ひとつかみ)は少し勇気が要りましたが、手でごはんとカレーを混ぜていると伝わってくる感触や、顔に近づけたときに漂う香りが何ともいえません。右手だけで、しかもポロポロするお米を口に運ぶのは難しいかなと思っていましたが、やってみると思いのほか大丈夫でした(美しく食べるにはもっと修行が必要ですが・・・)。カレーも、様々な種類のおかずも、味のバランスがよく大満足!五感をフル稼働しての食事となり、「手で食べた方がおいしい」といわれるのは、こういうことだったのかなと感じました。

食べ終わったら、お皿として使った葉は半分にたたむのだそうです。
ごちそうさまでした!

■チャイの作り方レッスン

食事のあと、レストランのお母さんのご自宅におじゃまして、マサラチャイ(スパイスを効かせたチャイ)の作り方を教わりました。

マサラチャイに使うスパイスに決まりはなく、好みやその日の気候・体調などで選んだり、量を調整したりしますが、今回使ったスパイスは5種類。ジンジャーカルダモンクローブシナモンフェンネルです。

~お母さん流、マサラチャイの作り方(4人分)~

1.使用するスパイスを、粗めに粉砕します(今回は電動ミルを使用)。

2.鍋に同量の水と牛乳(300mlずつほど)を入れて火にかけ、1のスパイスをティースプーン1杯ほど加えて煮立たせます。

3.ぐらぐらとに煮立ったら、紅茶葉(細かいもの)をティースプーン2杯ほど加えて鍋をゆすって茶葉をなじませ、再び煮立ったら火を止めます。

4.紅茶を茶こしでこして別の容器(大きめの計量カップなど)に移します。続いて、その注ぎいれた容器から、元の鍋に紅茶を戻し入れます(高い位置から)。再び鍋から容器へ、容器から鍋へ・・・と何度か紅茶を移す撹拌作業を繰り返したら出来上がり。(この作業は動画でご覧いただけます。)
お砂糖は、お好みの量加えますが、たっぷり目がおすすめ。

紅茶を濾したあとの撹拌作業の様子

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レクチャーのあとは、お楽しみの試飲タイム!

スパイスがフワッと香り、まろやかな味わいで美味~!癒されます。チャイのいれ方(茶葉を入れるタイミングや牛乳を加えるタイミングなど)は、家庭によって様々だそうですが、こちらのお母さんのいれ方はとても手軽に感じたので、日本に帰ってからもやってみたいと思います。(牛乳を最初から入れると茶葉が開かない・・・という話も聞くので、好みで牛乳は茶葉が開いたタイミングで加えるとよいと思います。)

■お庭を拝見!

さらにクマールコンへと進む道中で、通り道沿いのお宅の庭を見せて頂きました。広い庭には、ペッパーシナモンなどがあり、スパイスが生活に身近な様子が感じられます。ペッパーの実は、生のまま使ったり、天日に干して乾燥させ、ブラックペッパーにしたりしているそう。ふと庭の奥を見ると、かわいい子牛と目が合いました。乳牛だそうで、大きくなったらたっぷりのミルクを提供してくれることでしょう。チャイに使われたりするのかな~。

■クマールコンの美しい夕陽

夕刻近くに、クマールコンの湖沿いにある素敵なホテル「クマラコムレイクリゾート」に到着!こちらのホテルのガーデンでは宿泊客向けにティーサービスがあるということで、早速頂くことに。

チャイをお願いすると、チャイレッスンでもお母さんがやっていた、2つの容器を使った撹拌を、見事な手つきで披露してくれました。こうして2つの容器を行き来させてチャイを撹拌することで、均一でまろやかな味わいになるのだそうです。

そして、インドのティータイムにはスナックがつきもの。「お好きなものをどうぞ」とお皿を差し出され・・・ボンダという、丸い形のスナックを手にとりました。ぱっと見、沖縄のサーターアンダギーのような雰囲気です。割ってみると、中には香味ポテトが!こちらの衣も、カニャークマリで食べた“バジ”のように、豆粉と米粉で作られているそうです。味わいとしては、スパイスの効いたポテトコロッケといった感じで、とてもおいしかったです。

チャイとボンダを味わっているうちに、日が暮れてきました。湖を眺めていると、湖面がだんだんと茜色に変化していきます。
心奪われるこの美しい夕景、一生忘れないと思います。

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01 癒しのアーユルヴェーダ&コモリン岬へ~コヴァラム、カニャークマリ~
02 ミールスを堪能&チャイ作りレッスン~クマールコン~
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ハーブが香る 南欧の旅