五感で満喫! 南インドの旅

2010年11月末から12月にかけて、初夏の南インドを訪れました。スパイスやハーブに所縁の深い地を巡る中で出会った、心に残る風景や料理をご紹介します。

2010/11/28

癒しのアーユルヴェーダ&聖地コモリン岬へ ~コヴァラム、カニャークマリ~

■朝から南インド料理を満喫

昨夜はホテルへの到着が深夜となり、ヘトヘトで寝付いたのですが、朝起きてみるとお腹はペコペコ!
朝食はビュッフェ形式で、数々の南インド料理がズラリと並んでいます。初めて見る、味の想像もつかないような料理ばかりで、ワクワク度が一気に高まります!
まずは、“ウプマ”と“ポンガル”という料理を盛り、アルーパラタ、温野菜を添えます。

ウプマを口に運ぶと、プチプチするような舌触りに、ほどよい塩味、カレーリーフ、マスタードシードといったスパイス&ハーブの香り、みじん切りの玉ねぎやナッツの食感が加わり、絶妙な味わいです!早速お気に入りに。主原料がクスクスっぽいなと思ったのですが、調べてみると、ウプマはセモリナの炒り煮だそうで、納得です。
続いて、ポンガル。こちらはお米と豆(緑豆)を柔らかく煮たもので、とっても優しい味わい。朝食にもぴったりです。日本でいうと、おかゆにとても似ていると思うのですが、汁けが多いサラサラした感じではなく、ポッテリとしています。
また、アルーパラタは、小麦を練った生地に、じゃがいも(アルー)のマッシュを織り込んで平らにして焼き上げたパンで、ふんわり系ではない硬めの食感が味わい深く感じました。

続いては、南インド料理のレシピ本で見かけて以来食べてみたかった“アッパム”にトライ!
アッパムは、お米の粉やココナッツミルクなどで作った生地をうすく焼き上げたもので、インド風パンケーキと称されることもあるのだとか。

焼いてくれたスタッフさんに、“ベジタブルシチュー”とともに食べることをすすめられました。「ベストコンビネーション」だそうです!まずは、ちぎってそのまま頂くと、ふんわりとココナッツの甘い香りが口に広がり、幸せ気分に。さらに、ちぎったアッパムをベジタブルシチューにつけて頂くと・・・まさに、ベストコンビネーション!日本のクリームシチューのような色ですが、こちらはココナッツミルクで煮込んだもの。慣れ親しんだシチューとはひと味違いますが、こちらのシチューも大好きになりました。

■至福のアーユルヴェーダマッサージ体験!

古い歴史を持つ、インドの伝承医学“アーユルヴェーダ”。その発祥は、南インドだといわれています。
コヴァラムで宿泊したホテルのスパで、アーユルヴェーダを体験してみました。
ドクターによると、治療目的であれば最低5日以上必要ということで、今回は、リラックス目的の全身オイルマッサージ“アビヤンガ”を受けることにします。

スパの入口には、一枚の絵が。体のそれぞれの場所に宿っている神様を表しているとか?なかなかインパクトのある絵だったので思わずカメラにおさめてしまいました。

施術室は落ち着いた雰囲気です。洋服はすべて脱ぎ、事前に渡された紙製の下着だけを身につけて、施術師の方を待ちます。

まず、頭部を入念にマッサージしてもらってから、施術台にうつ伏せになると、背中に温かく香りのよいオイルがタラーッとたらされたのを感じます。それから背面のマッサージが始まりました。手のひら全体を使って、オイルをしみこませるかのように、円を描いていきます。あまりの気持ちよさに、途中で意識が遠のきます。
そして、仰向けになり、同じようにハーブオイルをたっぷり使ってマッサージ。

1時間という時間があまりにもあっという間で、もっともっとオイルにまみれていたかったのですが、施術室内のシャワーで全身を洗い、終了です。
そんなに強い力でマッサージされたわけでもないのに、体がスッと軽くなったような、すっきりとした感じを受けます。前日の長距離フライトの疲れが、すっかり癒されました。

マッサージを終えてホテル内の道を歩いていると、きらびやかな装飾をまとったゾウに会いました。つぶらな瞳がとってもキュート!お話を伺うと、これから行われる結婚式で活躍するのだとか。
ちなみに、ゾウの鼻がグッと上にあがっているところ(trunk up)をみることができると「ラッキーなことがある、運気が上昇する」とされているそうです。日本でいうと、茶柱が立った・・・という感覚に近いのでしょうか。各国のこうした“いわれ”って面白いなぁと思いました。

■カニャークマリへ…

午後は、コヴァラムからバスで2時間半ほどのところにあるカニャークマリへ。カニャークマリにあるコモリン岬は、3つの海が交わる聖なる場所として知られていて、ここに沈む夕日の美しさは評判です!

道中は、ほとんど信号がなく、片側一車線の田舎道といった感じ。道にデコボコがあるときは、運転手さんがさりげなく減速してなるべくよけて通ってくれます。
そうして道を進んでいるうちに、カニャークマリに近づいてきました。

到着前に、お茶をしに、シンガールホテルのレストランに立ち寄ります。メニューからマサラチャイ(インド式スパイスミルクティー)と、少し小腹が減っていたので、軽食のパコラバジも頼みました。インドでは、こういった夕方のティータイムにはチャイのような甘いドリンクと、辛みや塩気などのあるスナック類を一緒に食べるのが定番だとか。

出てきたチャイにはジンジャーがたっぷり!普段、紅茶やコーヒーにはあまりたくさんの砂糖を入れない私ですが、この強めにジンジャーの効いたチャイは甘くした方がおいしいはずと、スプーンに山盛りの砂糖を入れて頂きました。外は雨が降り出して気温が下がり、少し肌寒く感じていたのですが、体がポカポカ温まり、スパイスのちからを実感しました。

ベジタブルパコラは、インド風かき揚げなどと称されることもあるように、揚げ物なのですが、サクッ・カリッとクリスピーで軽い食感で、ついつい箸が進みます。シェフによると、材料には、豆粉、米粉、キャベツ、にんじん、フェンネル、クミン、チリ、アサフェティダなどを使っているのだとか。
パコラはインド全土で食べられているそうですが、このようなクリスピータイプのものだけでなく、様々なタイプがあるということでした。

また、インド風フリッターなどとも言われる“バジ(Bhaji)”も、ところによってタイプが違うようなのですが、こちらで頂いたのはナスなどの野菜に、豆粉と米粉で作った衣をつけて揚げた一品。カレー味の具が入ったミニドーナツを食べているようで、とても口にあいました。

チャイで温まり、腹ごしらえもしたところでいよいよコモリン岬へ。
インドの最南端に立って3つの海(ベンガル湾、インド洋、アラビア海)が交わる場所を眺めていると思うと、大変神聖な気持ちになりました。
お天気に恵まれず、サンセットを拝むことができなかったのは残念ですが、海の様子やガンジー記念堂、のんびりとした町の雰囲気もなかなかでした。なにより、この地に立てたという事実に、とても感慨深いものがありました!
今回サンセットを見られなかったのは、きっと「またここに戻っておいで」という、インドからのメッセージだと思い、“いつかまたこの地に立ってサンセットを見よう”と心に誓いました。

カニャークマリの町の様子。奥に見える薄茶色のきれいな建物がガンジー記念堂日没後、町から見たヴィヴェーカナンダ岩記念堂とティルヴァッルヴァル像

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