未来への研究を覗いてみよう

LABORATORY

スパイスやハーブに秘められた可能性や未来に向けた取組みをご紹介します。

食材の風味を引き出す「エンハンス効果」

スパイスやハーブには料理に香りや辛みを「足す」だけではなく、食材の臭みを消したり風味を増したりして食材そのもののおいしさを引き出す「エンハンス効果」があります。

例えば、ローレルには(1)臭みを軽減する効果、(2)塩味を増強する効果、(3)コクを増強する効果があることが研究の結果から確認されています。

この効果は減塩料理に活用することができます。健康的な食生活には過度に塩分を摂りすぎないことが大切ですが、薄味の減塩料理では物足りなさを感じることも。そんなときはスパイスやハーブで素材そのもののおいしさを引き出すことにより、少ない塩分でもおいしい食生活を送ることができると考えています。

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カラダを整える
スパイス&ハーブの機能

睡眠の質を変化させるサフランの成分

サフランの黄色の成分「クロシン」と香りの成分「サフラナール」には、睡眠の質が低いと感じている方において、睡眠の質(眠りの深さ、起床時の睡眠に対する満足感、すっきりとした目覚め)の向上に役立つ機能や、活動時の眠気を軽減させ物事をやり遂げるのに必要な意欲を維持させる機能があることが報告されています。

【サフラン成分摂取による、睡眠の質の変化】

起床時の眠気スコア、有意に改善
睡眠の満足度スコア、有意に改善

【方法】睡眠の質に不満をもつ健常な日本人成人52名を2群に分け、サフラン由来クロシン(0.66mg/日)とサフラン由来サフラナール(6.6μg/日)を含むタブレット、もしくはこの2成分を含まないタブレット(プラセボ)を4週間連続摂取。摂取前後で、脳波・筋電計測により「眠りの深さ」を評価。また、OSA睡眠調査票により主観的睡眠評価を実施した。

【結果】サフラン成分摂取群はプラセボ群に比べ、ノンレム睡眠の割合が有意に多く、起床時の眠気のスコアが有意に高く、起床時の睡眠に対する満足感(入眠と睡眠維持)のスコアが有意に高い結果となった。Takeda他、薬理と治療 vol.48 no.3 (2020) 497-504 を元に作図。研究レビューの採用文献が1報であったため、本データを掲載しました。

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血管やリンパ管の働きを整えるヒハツの成分

より低下した末梢血流を改善し、手の体温(皮膚表面温度)の低下を軽減する機能、および、女性の夕方の脚のむくみ(病的ではない一過性のむくみ)を軽減する機能があることが報告されています。

【ヒハツ成分摂取による作用】

冷えた手の温度の回復。10分後の手の体温が有意に上昇!
さらに手の冷えにも!手の冷えに悩む方にも!末梢血流をサポート。10分後に皮膚表面温度が高まる!

【方法】①ヒハツ由来ピペリン類120μgを含むカプセル、②ヒハツ由来ピペリン類を含まないカプセル(プラセボ)のいずれかを摂取して10分後、18°Cの冷水に1分間手をつけました(寒冷ストレス)。その後10分間、血流と体温を測定しました。健康な日本人女性30名を対象として①または②の試験後、1週間空けてもう一方の試験を行いました。

【結果】ヒハツ由来ピペリン類120μgを摂取すると、寒冷ストレス負荷後の手の末梢血流と皮膚表面温度がプラセボ群に比べて有意に高くなりました。出典:薬理と治療 vol.46 no.2 219-225 (2018) 研究レビューの採用文献が1報のため、当該文献から引用しました。

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COLUMN

コラム

インフルエンザウイルスの感染抑制効果も

インフルエンザウイルスの感染に対抗する手段としてワクチンや抗インフルエンザ薬が有効で、次々と新薬も開発されていますが、予防という観点から安全且つ日常的に摂取できる食品素材にも期待が集まっています。信州大学河原准教授とエスビー食品はスパイスとハーブによるウイルス感染抑制効果の研究に取り組んでおり、複数のスパイス・ハーブ抽出物にインフルエンザウイルスの感染を抑える効果を確認しています。

COLUMN

コラム

持続可能な調達を
目指して

世界の淡水の69%を農業で利用しているといわれていますが、国際連合の報告によると、今後世界の人口の増加に伴い2030年には人の生活に欠かせない水は必要量に対して40%不足すると予測されています。エスビー食品忍野試験農場では、そのような世界的な水資源の危機に際し、水分の少ない環境下で、植物が生きるために発生させるという「毛細根」の可能性に着目した超省資源型栽培の実証実験を、長年研究を続けている“わさび”で開始しています。

忍野試験農場について

忍野試験農場は、日本有数の湧水・富士山麓山梨県忍野八海で知られる忍野村に1993年に開設した試験用施設です。エスビー食品の原点であるスパイスやハーブの原料の栽培研究を行っています。