スパイス&ハーブ事典

世界中のスパイス&ハーブ料理とドリンク
さまざまな国で、さまざまな方法で。

古くからスパイス&ハーブと上手につきあってきた国々では、その土地ならではの気候や植生、さらにはその地に暮らす人々の宗教なども絡んでさまざまな食文化を発展させてきました。
ここでは地域ごとのスパイスやハーブの特徴的な料理や飲み物をかいつまんで紹介しましょう。
いつもの料理の参考にしてください。

アフリカ

北は地中海、西は大西洋、東はインド洋と黒海に面し、ユーラシア大陸に次ぐ広さを誇るアフリカ大陸。多くの国・地域が集まり、様々な人種が暮らすこの広大な地の食文化は、先住民の伝統的な食文化に加え、植民地時代に入ってきたヨーロッパ諸国や、インド洋を通じて入ってきたイスラム圏の食文化の影響をうけ、バラエティ豊かなものとなっています。
地域によって食文化の特徴は異なりますが、クミンやコリアンダー(シード)、唐辛子といったスパイスが共通して料理の風味づけによく使われています。

国・地域 メニュー 決め手になるスパイス&ハーブ
北アフリカ
(チュニジア・
モロッコ)
クスクス
クスクスという小粒のパスタに、肉や野菜などを煮込んだスープをかけて食べる料理。供される際には、ハリッサという唐辛子ペーストが添えられる。
クスクス
クミンなど

中近東

中近東は、北は地中海、南はアフリカ大陸、またインドなどの影響を受け、大変バライティーに富んだ料理多いのが特徴的です。食材としてはオリーブ油、ヨーグルト、トマト、豆類、羊肉がよく使われ、スパイス&ハーブでは、唐辛子、クミン、コリアンダー、ミント、ごまなどを使用します。

国・地域 メニュー 決め手になるスパイス&ハーブ
レバノン タッブーレ(タッブーリ)
大量のパセリを刻んだものをオリーブ油、レモン汁等で合えたサラダ
パセリ
中東地域
(エジプト含む)
デュカ(ダッカ)
ゴマやシードスパイス、ナッツ類を合わせたシーズニングスパイスで、オリーブ油に浸したパンにつけて食べる。
コリアンダー、クミン、ゴマなど

ヨーロッパ・ロシア

地域によって違いはありますが、多くの国に共通する特徴として、肉類とその加工品を主原料とする料理が多いことが挙げられます。かつて、新鮮な肉類が手に入りにくかったり、安定して手に入らなかったりした時代に、よりおいしく食べるため、より長く保存するための知恵として、香辛料や酒を使うといった工夫がされており、現在もこのような食文化が受け継がれています。
従って、肉類と相性の良い、ナツメッグ、オールスパイス、マスタード、ローズマリー、セージといったさまざまなスパイス&ハーブが多用されています。
また、地中海沿岸地域では、新鮮な魚介類がふんだんに獲れるため、魚との相性の良いサフランやタイム、フェンネルなどのスパイス&ハーブもよく使われます。

国・地域 メニュー 決め手になるスパイス&ハーブ
イタリア カプレーゼ
青の洞窟で有名なイタリアカプリ島のメニュー。トマト、バジルの葉、チーズで作るカラフルなサラダで、前菜として人気。
カプレーゼ
バジル
リゾット・アラ・ミラネーゼ(ミラノ風リゾット)
サフランやパルメザンチーズなどを使用した、黄金色が美しいリゾット。
リゾット・アラ・ミラネーゼ(ミラノ風リゾット)
サフラン
サルティンボッカ
子牛肉の薄切りに生ハム、セージをのせ、バターでソテーしたもの。「サルティンボッカ」とはイタリア語で「口に飛び込む」を意味する
サルティンボッカ
セージ
ジェノベーゼ
バジルに、パルメザンチーズ、にんにく、オリーブ油などを加えてペースト状にした、イタリアジェノバ地方生まれのソース。パスタをはじめ、肉や魚、魚介類にも多用される。
ジェノベーゼ
バジル
カルボナーラ
ローマ発祥の、ベーコンと卵を使ったパスタ。仕上げのアクセントとして、ブラックペッパーが欠かせない。
カルボナーラ
ブラックペッパー
ピッツァ・マルゲリータ
イタリアの国旗を思わせる緑(バジル)、白(チーズ)、トマト(赤)が色鮮やかに配置された定番中の定番ピザ。
バジル
フランス ブイヤベース
白身魚、カニ、エビ、貝などの魚介類を煮込み、トマトやサフランで色と香りをつけたスープ料理。南フランスの郷土料理として有名。
ブイヤベース
サフラン
スペイン パエリア
スペインバレンシア地方発祥。パエリアとはカタルーニャ語でフライパンの意味。専用の鍋で炊き上げる肉や魚介、野菜などがたっぷり入った米料理。風味づけ、色づけにサフランが使われる。
パエリア
サフラン
ハンガリー ハンガリアングーラッシュ
牛肉と野菜をじっくり煮込んだスープ料理。ハンガリー特産のパプリカがふんだんに使われ、鮮やかな赤色がおいしさを引き立てる。
ハンガリアングーラッシュ
パプリカ
ロシア ボルシチ
ロシアの代表的な料理で、牛肉とビーツなどの野菜を煮込んだ料理。ブラックペッパー、クローブ、ローレルなどを使う。サワークリームの酸味が特徴。
ボルシチ
クローブ、ローレルなど

アジア・オセアニア

広大なアジアの食文化は、国や気候や宗教文化などにより多様で、米を主食に魚を重要なたんぱく源とする地域、麦や家畜を主食とする地域などがあります。味つけでは、東アジアや東南アジアにおいて大豆が原料の味噌や醤油、魚介類が原料の魚醤といった発酵調味料が広く用いられているのが特徴です。東南アジア、南アジアはスパイス&ハーブの重要な産地であり、現地のスパイス&ハーブをふんだんに使った独自の食文化が発達しています。
また、オセアニアでは他地域の国の領地も多く、各国の食文化の影響を受けた多様な料理が見られます。

国・地域 メニュー 決め手になるスパイス&ハーブ
中国 トンポーロウ(豚の角煮)
豚の塊肉をじっくりと煮込んだ、上海料理(東方系)。風味づけに、スターアニスが欠かせない。他に、シナモン、クローブなどが併せて使われることも。
トンポーロウ(豚の角煮)
スターアニス(八角)
タイ トムヤムクン
唐辛子の辛み、ライムの酸味、レモングラスやカフェライムリーフなどのさわやかな香りが特徴のスープ料理。具材にはえびが使われ、仕上げに香菜が加えられる。
トムヤムクン
レモングラス、香菜など
ベトナム バインセオ
ターメリックを混ぜ込んだ米粉の生地を薄く焼き、もやし、えび、豚肉などの具材を挟んだ、ベトナム風お好み焼きとも称される料理。たっぷりのハーブが添えられる。
バインセオ
ターメリック

アメリカ

かつて「新大陸」と呼ばれたアメリカ大陸の食文化は、海や山を越えてさまざまな民族・人種が集まり形成されたもの。「ハンバーガー」や「コーラ」に象徴されるファストフードとともに、各地域では、独自の食文化が育まれてきました。移民大国ならではの風土が、フュージョン料理と呼ぶべき新たな食文化も生んできました。こうしたアメリカ大陸のさまざまな料理や食文化も、スパイスやハーブを通すとその特徴が見えてきます。

国・地域 メニュー 決め手になるスパイス&ハーブ
アメリカ ミントジュレップ
アメリカ南部バージニア州で1800年代初めにサマードリンクとして誕生した、バーボンウィスキーとミントで作られるカクテル。ケンタッキーダービーの公式飲料。
ミント
メキシコ ワカモーレ
メキシコ特産のアボカドで作るディップで、香菜などのハーブの風味が特徴。定番のサルサのひとつで、トルティーヤにはさんだり、のせたりしてタコスとして食される。
香菜、唐辛子

スパイスやハーブをきかせた世界のドリンク

世界では、その土地ならではの料理が産み出されたと同様に、さまざまな飲み物も発達してきました。
代表的なドリンクを紹介しましょう。

国・地域 メニュー 決め手になるスパイス&ハーブ
モロッコ モロッコティー(モロカンティー)
ガンパウダーと呼ばれる中国緑茶とミント、たっぷりの角砂糖をポットに入れ、熱湯を注いでいれるお茶。
ミント
サウジアラビア ガーワ(アラビアンコーヒー)
真鍮製のコーヒーポットの口に、割ったカルダモンを数粒詰めてコーヒーを注ぐ、カルダモンコーヒー。
ガーワ(アラビアンコーヒー)
カルダモン
アメリカ エッグノック
牛乳と卵で作られる濃厚な冬の定番ドリンク。風味づけにナツメッグなどのスパイスが使われる。
ナツメッグ
メキシコ カフェ・デ・オーヤ
鍋で煮出して作るコーヒーで、風味づけにシナモンが使われる。砂糖たっぷりの甘い味わい。
シナモン
キューバ モヒート
作家のヘミングウェイがこよなく愛したドリンクとして有名。ベースのラム酒にミントとライムで風味づけされる。
モヒート
ミント