栽培の現場ワサビ種採り物語 Vol.2

シリーズ「栽培の現場」では、当社スパイス&ハーブ原料の、栽培からお客様の手元にお届けする商品に至るまでの一貫した安全・安心生産体制として取り組んでいる、忍野試験農場の代表的な実施例を、『種採り物語』と題してご紹介したいと思います。

第一弾は、忍野の水(富士山の伏流水)と切っても切れない和の香辛料の代表格"ワサビ"。
当社は、長年の研究で培ってきた栽培技術をワサビ原料の供給地としてベトナムに導入し、良質で安全・安心な原料確保の体制を整えています。その根幹を支えているのが、忍野試験農場で行われているワサビの採種栽培です。
採種栽培の確立までには、まず品種の収集から始まり、その品種特性の確認及び採種技術と並行し、実際の産地で栽培検証・選抜といった、気の遠くなるような地道な作業が繰り返されています。そして、このような取組みは、当社が「より良いワサビ原料」そして、お客様に満足して頂ける「より良いワサビ商品」を開発してゆく為に、決して終わる事のない研究です。

ワサビ種採り物語

第2回は、まさに今、春を迎えワサビ開花の季節、種採りの様子、採った種がどのようにして管理されているか、そして種がベトナムへ旅立つまでをご紹介致します。
(第1回の種採り作業の前半はこちらをご覧下さい)

3~4月開花

ワサビが、白く可憐な花を咲かせます。
この季節、生鮮市場では、ワサビの花が季節ものとして売られますが、私たちの目的は種採り。しかし、風任せではチョット心配なので、たくさん種を実らせるために、蜂たちに手伝ってもらいます。

  • 花を咲かせたワサビ
  • ワサビの花と蜂

5月収穫(種採り)作業

たくさんの花軸(かじく)に種子の入った莢(さや)が、たわわに実っています。
ここまでは蜂たちに力を借りましたが、ここからは、私たち人間の手で収穫・選別です。

  • たわわに実った莢(さや)
  • 収穫のころの様子

5~10月種子の休眠

種子は袋に入れて水に浸けます

ワサビの種子は結構気難しくて、種子が莢(さや)の中で出来た後、自分の力で発芽できるようになるまで、しばらく休眠しています。
休眠期間中は、60年かかって湧き出てきたと言われるミネラルリッチな富士山の雪解け水(忍野の水)の中、VIP扱いでゆっくり眠って頂きます。

休眠期間中に、莢(さや)自体は溶けてしまい、約半年後には種子だけになっています。

10月旅立ち

旅立ちに向け正式な手続きと、大切な種子の養生を終え、さあ準備は万全「いざベトナム!」

10月新たな芽吹きへ

ベトナムにたどり着くまで、忍野試験農場の採種栽培(播種(はしゅ)~採種(さいしゅ))のスタートから約25か月かかりました。

ここからがいよいよ本番です。
しかし、ベトナムの地で種蒔き~栽培・収穫されるまでには、さらに約20か月、そして、商品としてお客様にお会いできるまで、まだまだ旅は続きます。