ハーブが香る 南欧の旅

2010年秋、ハーブのふるさと・南欧を訪れました。フランス・プロヴァンス地方に始まり、コルシカ島、コートダジュール、そしてイタリア・ジェノバへの旅路で出会った風景や料理をご紹介します。

2010/10/20

食と香りの世界を堪能! ~カシ、グラース~

昨日の日帰りコルシカ訪問で少し疲れを感じたものの、ぐっすり眠ってさわやかに目覚めた南欧4日目。
今日はカシの市内観光とグラースでの調香体験がメインです。

朝、マルセイユを出発し、まずカシに向かいました。
マルセイユから車で40分ほどのところにあるカシは、プロヴァンスの人々に愛される港町と言われ、町と同じ名前の白ワイン「カシ」が有名です。マルセイユに出稼ぎに来る人たちの居住地として徐々に住む人も増えてきたとか。

そのカシに向かう途中で、目に飛び込んできた景色は・・・まさにハーブのふるさとと呼べる絶景!

「地中海沿岸では石灰質の土地にハーブが自生している」という話を今まで聞いたり目にしたりしてきましたが、まさにそれを絵に描いたような、圧巻の眺め。思わず心を奪われました。

さてさて、車に揺られて40分、カシに到着!
小船が並ぶ素敵な港♪晴天の空の青さにも感動です。港からすぐ近くの海岸まで歩いていきました。

ここでも、本当に地中海の空と海の青さが素晴らしいです。晴れた日にこんな浜辺でぼーっとできたらいいなぁ・・・と思ってしまいました。

港から近くの広場の方に歩いていくと、マルシェが開かれていました!
小さいながらも活気があって、見ているだけでも楽しくなります。並んでいたハーブ苗は4ユーロ。意外と高い?!
季節外れだからかしら。でもしっかりと根付いて葉もツヤがありました。

ずら~っと並ぶチーズやハムも美味しそう♪
スパイス店では黄色いラベルがずらっと並んで印象的。
ペッパーやシナモン、クミン、コリアンダーといった単品のスパイスだけでなく、肉料理用、ブイヤベース用、バーベキュー用など、色々な料理用のミックススパイスも豊富でした。

マルシェの広場から少し離れた街並みは、とても静かで落ち着いた佇まいです。

さて、マルセイユからカシまで続く入り江はカランクと呼ばれ、その海岸線は美しいことで知られています。
ランチはその景色を楽しみながらお食事ができるレストラン「La Villa Madie」へ。

中に入ってテラスから海を見ると・・・

息を呑むような美しい海の眺めが広がっています!!

この景色でますますテンションも上がったところでランチがスタート。
まずは前菜の魚介の冷製タリアテッレ・タプナードクルトン添えアヴィニョンやサンレミドプロヴァンスでも見かけたオリーブのペースト、タプナードがここにも!

この旅で初めてパスタが登場。ちょっと嬉しい♪
さっぱりした味わいの中に、ディルやパセリの香りが効いていて、もっと食べたくなる美味しさです。上に乗っているタプナードクルトンが料理のアクセントになってワインも進んでしまいます(笑)。

メインは、鳩のソテー・オリーブ入りパニス添えパニスとは、ひよこ豆の粉とオリーブ油で作った生地を揚げたもの。
お肉もボリューム満点ですが、パニスもかなりの食べ応え!素朴な味わいがまた南仏らしくもあります。
もうこれだけでも十分お腹いっぱいに・・・。

最後はデザートのノルウェー風オムレツ

アイスをメレンゲで包み、上からブランデーをかけてフランベ(火をつけてアルコールを飛ばすこと)したもの。ボリューム満点のデザートを手際よく仕上げて盛りつけるお店の方の手さばきもお見事!

温まったふわふわメレンゲと中の冷たいアイスのコンビネーションが楽しいデザートです。
フランス料理では、冷たいものと温かいものをひとつのお皿の中で組み合わせるは、デザートに限らず料理でもよく使うのだそう。
「デザートは別腹」の言葉通り、ペロリと食べてしまいました。

晴れた日にまぶしく太陽の光を跳ね返す海を見ながらのランチは、それはもう格別のもの。

落ち着いた街並み、きれいな港、青い空、どこまでも美しく広がる海・・・。こういうカシの風景を見ていると、この街がプロヴァンスの人々に愛されるのがよく分かりました。

カシのランチを楽しんだ後は、香水で有名な街・グラースに向けて出発。
いよいよコート・ダジュール圏に入ります!

カシからグラースまでは車で2時間半ほどかかりました。
コート・ダジュール圏の中でも、山側にあるこの小さな町ではもともと革産業が盛んでした。16世紀に香り付きの皮手袋を売り出し、それが大人気になったことから、グラースでの香水作りが始まり、シャネルNo.5を始め、世界的に有名な香りを生み出してきました。

曲がりくねった細い道を進んでいくと、いくつか香水工場や博物館が見つかります。
今回は、グラースを代表する香水メーカーのひとつ・Fragonard(フラゴナール)社で、オーデコロンの調香体験をさせていただきました。

廊下沿いに、蒸留器の模型や、工場で調香している様子が見え、一気に香りの世界に来たなぁと実感。

本日教えてくださるのは、こちらのファビアンヌ先生です。
Bonjour!

まずはミニレクチャーから。
オーデコロンは18世紀初めにブルジョワ階級のマダムの間で流行り始め、20世紀には男性も使うようになり、今では男女問わず使われています。香りの濃度が7%程度と、オードトワレやパルファンよりも軽いつけ心地で、フレッシュな香りが楽しめます。」
と先生の解説。
香水作りのスペシャリストである調香師は
「ネ(フランス語で「鼻」の意味)」
と呼ばれ、1000種ほどの香りも嗅ぎ分けるそうです。すごいですね~。

さて、早速調香に挑戦!

今回のオーデコロン作りでは次の9種類の香りを使います。

  • 柑橘類(果皮から抽出された香り):
    レモン、オレンジ、ベルガモット、マンダリン
  • 柑橘類(果皮以外から抽出された香り):
    ネロリ(ビターオレンジの花)、プチグレン(ビターオレンジの葉・枝)
  • ハーブ類:
    ラベンダー、ローズマリー、ベルベーヌ(レモンバーベナ)

それぞれの精油は作業しやすいようにアルコールで希釈した状態で用意されていました。

まず、ムエットと呼ばれる細長い紙に一つずつ精油をつけて、それぞれの香りからどんなイメージが浮かぶか、好きか嫌いかなど、自分なりに言葉で書き留めます。
そしてどんな香りのコロンにしたいか、イメージをまとめていきます。

今回教わった香りの組み合わせ方は、
オレンジ・レモン・ベルガモット
  →それぞれ25~35%ずつ、
3つ合わせて85%
それ以外の6つ
  →それぞれ1~5%ずつ、合わせて15%
になるように香りを選びます。
計算がちょっとややこしいですが(笑)、ああでもない、こうでもないと思いめぐらすのは結構楽しい作業♪

私は、爽やかだけど深みのある香りにしたいなと考えて香りを選びました。
こっちの香りはちょっとイメージ違うから、要らないかしら・・・と考えていると、
「嫌いな香りであっても必ず少しは加えてください」
と先生のお言葉。そうすることでバランスのとれた香りに仕上がるとのこと。
何も聞かなければ、つい自分の好きな香りだけを選んでしまうところでした。香りの組み合わせって奥が深い!!

先生からもアドバイスをもらいながら香りを選びます。
私はオレンジやベルガモット、ネロリ、ラベンダーの割合を高めにして自分の香りを完成させました。

試しにちょっとシュッ。

・・・ん~~・・・イメージした香りより、さらに爽やかさが強いような印象・・・。
でも、今まで使ったことがないタイプの香りが出来上がったので、気持ちを切り替えたいときにピッタリかも!
世界にひとつしかない自分の香りが作れて、いい思い出になりました。
思った通りの香りに組み合わせるのは、とても難しかったです。一緒に体験した皆さんも、「いい香りができた!」という人と「思ったのと違う~」という人と反応は様々。

香りのスペシャリストたちは、厳しい修行と鍛錬を積んで、「ネ」となるのですね。
グラースでは、奥深い香りの世界を体験できました。

たっぷり香りに包まれた後は、今日の宿泊地ニースへ。
世界的に有名なリゾート地であり、美しい海岸線を持つニースは、コート・ダジュールを代表する都市のひとつ。そこではどんなハーブと出会えるのか、どんな体験が待っているのか・・・
胸を高鳴らせつつ、車に乗り込みいざ出発です!

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南仏グルメに舌鼓~ニース、エズ~

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ハーブが香る 南欧の旅
01 プロヴァンスハーブと食材を満喫!~アヴィニョン、サンレミドプロヴァンス~
02 ハーブクッキングレッスン~サンレミドプロヴァンス~
03 本場のブイヤベースを味わう!!~マルセイユ~
04 自然と野生のハーブにあふれる島へ~コルシカ~
05 食と香りの世界を堪能!~カシ、グラース~
06 南仏グルメに舌鼓~ニース、エズ~
07 バジルの香りに包まれる~ジェノバ~
08 本場ジェノバでジェノベーゼ♪~ジェノバ~
09 ハーブの旅、最後の一日~ジェノバ~
五感で満喫! 南インドの旅