ハーブが香る 南欧の旅

2010年秋、ハーブのふるさと・南欧を訪れました。フランス・プロヴァンス地方に始まり、コルシカ島、コートダジュール、そしてイタリア・ジェノバへの旅路で出会った風景や料理をご紹介します。

2010/10/18

本場のブイヤベースを味わう!!~マルセイユ~

サンレミドプロヴァンスでハーブクッキングレッスンを終えた後、途中休憩しながら車に乗って約2時間、マルセイユに到着!
紀元前600年頃から続く古い歴史を持つ港町であり、フランスではパリ、リヨンに次ぐ大都市です。

まず、標高154mの高台に立つノートルダム・ド・ラ・ギャルド バジリカ大聖堂に行きました。鐘楼のてっぺんには金色のマリア像が立ち、航海や街の安全を見守っています。
「ノートルダム」とは「私たちのマダム」、つまりマリア様のことだそうです。なるほど、だから「ノートルダム」と名のついた教会や聖堂をあちこちで見かけるのですね。

寺院の中に入ると、まぶしいほどの金色の天井画に迎えられます。
中央に置かれたマリア様の周りを美しいモザイクの壁が囲み、そこには船の絵も描かれ、巡礼者たちの忠誠や感謝の気持ちを表しているそうです。

この聖堂のもうひとつの見どころは、高台からの見晴らしです。
外に出て地中海を一望!

写真では少しかすんでしまっていますが、左奥にうっすら島が写っているのが見えますか?これが、かつて牢獄があり、小説「モンテ・クリスト伯」の舞台としても有名な「イフ島」です。この日もやっぱり強い風が吹き少し寒かったのですが、ずっと眺めていたい、そんな美しい見晴らしでした。
港が開かれたはるか昔から様々な物、文化、そして人々が行き交う街ならではのロマンを感じさせてくれました。
それにしても・・・地中海は本当に空も海も青く美しいなぁ。

そしてマルセイユに足を運んだら、ぜひ本場のアノ味を知っておきたい・・・
ということで、今日のディナーはブイヤベース!!
ブイヤベースは、もともと漁師たちが売れない魚を使って作ったスープが発祥と言われ、現在マルセイユでは伝統的なブイヤベースの作り方や使う魚の種類などを細かく規定した「ブイヤベース憲章」というものまであるとか!
市内にはその憲章に則ったブイヤベースが味わえるお店がいくつかあるのですが、今回足を運んだのは、オーフの谷と呼ばれる入江にある「Chez Fon Fon」です。
写真はお店の前から見た入江の景色。夕刻の風情ある景色も素敵・・・★

お店に入ると・・・魚介の香りがあふれ、もうこの香りだけで食欲が刺激されてしまいます。
本場のブイヤベースは一体どんな味なのでしょうか?!

さあ、運ばれてきました。

一人ずつお皿によそってくれます。

ん?ブイヤベースといえば、たっぷり魚介が入ったスープかと思いきや、スープだけ??
まずはひとくち・・・
うーん、魚介のうまみが詰まっていますね。
うんうん。美味しいです。

・・・と、ブイヤベースの美味しさはスープだけではありません。このスープをさらに美味しくするのがこちら!

一見、何の変哲もないパンに、マヨネーズのようなソース。これがブイヤベースには欠かせないものなのです。
右側の白っぽいソースは「アイヨリ」といって、南仏料理によく登場するにんにく入りマヨネーズ状ソース。
そして中央の後ろに見えるオレンジ色のソースは、「ルイユ」と呼ばれるもので、オリーブオイルや卵に唐辛子やサフラン、にんにくなどスパイスを加えた、こちらもマヨネーズ状のソースです。

パンにルイユやアイヨリを付けて、スープの上に浮かべます。欲張って、2種類いっぺんに入れてみました。

そのまま食べてしまいたくなりますが、少し待つとだんだんスープがパンにしみこんでふやけ、ソースもスープに溶けたところでいただきます♪

・・・・・・。

スープ単体でいただくのとは、まったく違う、コクがあってふくよかなお味に変身・・・!
特にこのルイユ!コクだけでなく、サフランやにんにくの風味がスープをより一層豊かなものにしています。これはもう、ヤミツキになりそう~!
ふと見ると、テーブルの奥でスープをおかわりしている人発見。魚介好きにはたまらない逸品ですね。

スープにばかり夢中になっていてはいけません。ほどなく具材の魚やじゃがいもが運ばれてきます。

この具に使われる魚も、ラスカス(かさご)やルージェという赤い魚、コングルという穴子の仲間など、ブイヤベース憲章で決められているのだとか。

ここで何か気付きませんか?
そう、本場のブイヤベースにはムール貝やあさり、いかなどは使われていません。これもブイヤベース憲章の決まりごとなんですって。
盛りだくさんの魚介類を入れて味わうスープも美味しいですが、やはりブイヤベースの美味しさはスープとルイユのコンビネーションにある!と感じる本場の味でした。
昼間にクッキングレッスンでお腹いっぱい美味しいお料理をいただいたというのに、夜はブイヤベースがスルスル入ってしまうこの食欲が恐ろしい・・・(笑)。
いえいえ、それだけ南仏の料理が美味しかったということです!
大満足のディナーで締めくくった南仏2日目でした。

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02 ハーブクッキングレッスン~サンレミドプロヴァンス~

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ハーブが香る 南欧の旅
01 プロヴァンスハーブと食材を満喫!~アヴィニョン、サンレミドプロヴァンス~
02 ハーブクッキングレッスン~サンレミドプロヴァンス~
03 本場のブイヤベースを味わう!!~マルセイユ~
04 自然と野生のハーブにあふれる島へ~コルシカ~
05 食と香りの世界を堪能!~カシ、グラース~
06 南仏グルメに舌鼓~ニース、エズ~
07 バジルの香りに包まれる~ジェノバ~
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09 ハーブの旅、最後の一日~ジェノバ~
五感で満喫! 南インドの旅