マスタード/からし/Mustard

さまざまな品種と形態で広く使われる辛みスパイス

科名 アブラナ科
原産地 地中海沿岸、インド、中国、ヨーロッパ、中近東
利用部位 種子、葉
別名 からし

特徴

こんなスパイス&ハーブです。

品種によって異なる独特の豊かな風味やツンとした辛みをもち、ホール、パウダー、ペーストといったさまざまな形態で幅広い料理に使われます。

形状

マスタードには代表的な種類として、白からし、和からし、黒からしがあり、見た目や風味が異なります。
どの品種もホールの種子や粉末の状態だと辛みはほとんど感じられません。和からしや黒からしでは、辛みのもととなる“シニグリン”という成分、白からしは“シナルビン”という成分を持っています。これらを、水やぬるま湯で練ると、共存しているミロシナーゼという酵素が働き、分解されて、シニグリンはアリル芥子油(アリルイソチオシアネート)、シナルビンはベンジル芥子油(パラハイドロオキシアリルイソチオシアネート)という辛み成分を生じます。こうしてはじめて、マスタード特有の辛みが感じられるようになります。アリル芥子油は揮発性(気体になりやすい性質)が高く、刺激的な辛みを感じさせます。ベンジル芥子油は比較的揮発性が弱いため、白からしの方がよりマイルドな辛みになります。

語源・別名

からし

エピソード

日本でも古くから利用

日本では、平安初期の宮中の年中儀式や制度などを記録した書物「延喜式」の中に、租税作物の一つとして芥子の名を見ることができます。また、天皇の食事にも、食料の一つとして芥子が記録されていることから、すでに調味料、薬味として使用されていたことがわかります。

マイルドなオールドタイプ

粒入りマスタードの中でも、オールドタイプマスタードと呼ばれるものは、種子を細かく粉砕せず、種皮も一緒に使用します。種皮には、辛味の元になる酵素がほとんど含まれていないため、その分風味のマイルドなマスタードになります。

ディジョンマスタードとは?

洋風の練りからしの中でも名高いディジョンマスタードは、ブルゴーニュ地方のディジョンの伝統的な製法で作られたマスタードです。種子の外皮を除いてすりつぶし、ワインやビネガーと練り合わせて作られ、明るい色とまろやかな風味が特徴です。
製法には細かい基準が決められており、この基準を満たしたものだけが、“ディジョンマスタード”と呼ばれます。

適した料理

マリネ、ピクルス、カレー、からし漬け、おでん、サンドイッチなど

ホールはマリネやピクルスといった漬け込む料理や、炒め油に香りを移すスタータースパイスとして。パウダーはからし漬けや汁物に。ペーストはおでんや納豆、揚げ物、サンドイッチなどに利用されます。

    関連商品はこちら