町中華とは、愛され続ける古き良き昭和の味わい

古くから地域に愛され続ける、中華料理中心の大衆食堂。それらを総称して「町中華」と呼ぶ。本格的な中華ではなく、千円以下で満腹になれるボリューム満点のラーメンやチャーハン、餃子。店によっては丼もの、洋食なども。扱うメニューは店主の裁量に委ねられる。そのゆるさもまた、町中華が愛される理由のひとつである。

肉野菜炒めの老舗「鶴の恩がえし」

肉野菜炒めの老舗「鶴の恩がえし」店内

東京 神田の名店

飲食店激戦区の神田で豊富なメニューと確かな味で老若男女から愛された町中華の王道店。メニューだけでなく、ユニークな店名や遊び心満点のメニュー表なども目を引き、町中華好きに親しまれた。
※2020年11月30日(月)に閉店いたしました。

肉野菜炒めの名店「鶴の恩がえし」のご主人

肉野菜炒めの名店「鶴の恩がえし」のご主人に町中華 肉野菜炒めの素を試してもらいました!

肉野菜炒めの名店「鶴の恩がえし」のご主人に町中華 肉野菜炒めの素を試してもらいました!

町中華探検隊の北尾トロです。
肉野菜炒めって、家庭で作る中華メニューの定番ですよね。だけど、作ってみると醤油の尖った風味が前に出過ぎてしまい、お店で食べるものとは似て非なる味になりがちなのが悩ましくもあります。定番だからこそ、もっとおいしく食べたいですよね。肉野菜炒めが町中華シリーズ第1弾のラインナップに挙がったのは当然だったと思います。

では、どのお店の登場していただくのがいいかと考えたとき、「あそこだろう」とひらめいたのが、飲食店がひしめく神田でサラリーマンに長年愛され続けてきた『鶴の恩がえし』の肉野菜炒めだったんです。

「鶴の恩がえし」の外観

町中華探検隊の若手メンバーが気に入って、取材に伺ったのが最初でした。何を食べてもおいしいんだけど、お客さんの健康を気遣って野菜をふんだんに使っているのが印象に残りましたね。以後、探検隊では『ツルオン』と略した呼び方をしています。

「鶴の恩がえし」の肉野菜炒め

味は…なんていうのかなぁ、おいしいお店はたくさんあるけれど、やみつきになる旨さなんですよ。パンチがあるのにあっさりしていて、くどさやコッテリ感がなく飽きにくい。 これが家庭で再現出来たら、お父さんからお子さんまで喜んでもらえるに違いない。そう思ってお願いしたところ、店主の鈴木正毅(すずき・まさき)さんに「いいよ」と即答していただくことができました。お世話になった方々に恩返しするつもりでがんばろうという気持ちから、店名を『鶴の恩がえし』にした鈴木さんらしい素早い決断です。

ご店主直伝!家庭でできる肉野菜炒めのコツ

鈴木正毅(すずき・まさき)さん
肉野菜炒め(2人前)の材料

※肉野菜炒めの素:取材当時のパッケージです。

肉野菜炒め(2人前)の材料

肉野菜炒め(2人前)の材料
町中華 肉野菜炒めの素 1回分
豚バラ肉(5cm幅に切る) 100g
カット野菜 1袋(約200g~250g)
サラダ油 大さじ1

それではつくっていきましょう。

下準備はサボらずに

豚バラ肉は均等サイズに切る。5cmサイズに揃えることで食感が良くなります。

鈴木さん:そのままでも良いですが、生のまま炒めると肉が固くなりやすいので、サッと湯通ししてから使うのがコツです。やりすぎると肉の油が抜けて、やはり固くなるので、あくまでサッとですよ。
野菜は、時間に余裕があれば、モヤシを水洗いしておくとしゃきっとした食感が保てます(水切りはしっかりと)。逆に、モヤシを湯通しするのは絶対ダメ。びちゃッとした食感になっちゃいます。

秘訣その1

豚バラはできれば湯通しして使う。
モヤシは水洗いしたものを使うとしゃきしゃき感が楽しめる。

中華鍋をよく温める

下準備はサボラらずに

鈴木さん:中華全般に言えることですが、鍋をしっかり温めることで、調理のしやすさも、出来栄えも変わってきます。鍋から湯気が立つくらいで油を入れたら、さらに、油が燃えてきそうなくらいまで熱してください。

時間をかけずに一気に炒める

肉に火が通ったら、具材を入れて短時間で仕上げていきます。

鈴木さん:家庭用のコンロは火力が弱い、それは確かですが、炒め過ぎはよくありません。火が通ったくらいでちょうどいいんです。

具材を入れる順番で気をつけることはありますか?

鈴木さん:今日は市販のカット野菜で作りましたが、ご家庭にある野菜で作るとき、モヤシやニラを使う場合は、モヤシが先、ニラが最後と覚えておきましょう。そして、ニラを入れたらもう火を止めていい。余熱で十分に火が通りますから。

秘訣その2

具材を入れるタイミングは最後から2番目がモヤシ、最後がニラの順!
ニラを投入後すぐに火を止める。

肉野菜炒めの素で仕上げる

火を止めたら、肉野菜炒めの素を加え、味をなじませて完成です。

鈴木さん:ここまできたら慌てる必要はないですから(笑)。ペースト状なので、全体になじませるのもラクなはずです。

肉野菜炒めをフライパンに並べる

素の中に『鶴の恩がえし』秘伝のタレが凝縮されているのですね。

鈴木さん:はい。開業以来、継ぎ足して使っているオリジナルのタレを再現してもらいました。このままでもいいですが、さらに、料理酒を少々加えるのもおすすめです。味の深みが増しますよ。

秘訣その3

隠し味に料理酒を入れると、深みアップ!
より一層本格的な味わいに。

フタをとって待つ

野菜が生き生きとしてますね。
それでは、実食!

出来上がりを確かめましょう!

鈴木正毅(すずき・まさき)さんによる実食

では、鈴木さんに実食していただきましょう。

鈴木正毅(すずき・まさき)さんによる実食

いかがですか?

鈴木さん:これ…我ながらおいしいね。カセットコンロで作ったことはなかったけど、ここまで再現できるとは思わなかった。もしかすると、店で食べるより旨いんじゃない、ははは。

そこまで高評価だとは。では、僕も食べてみます。

北尾トロさんによる実食

ん、やっぱり野菜の歯ごたえがあるのがいいですね。何も難しいことはしていないのに、それぞれの野菜が引き立つのは、炒め過ぎないからでしょう。もう少し、と思うところで火を止めるのが大事だと思いました。
帰宅後、自分で作って家族に食べてもらったらやっぱり好評。「これから肉野菜炒めは任せる」と家族に言ってもらえました。

ライター/町中華探検隊隊長
北尾トロ(きたお・とろ)

1958年、福岡県福岡市生まれ。法政大学卒業後、フリーライターに。『夕陽に赤い町中華』(集英社インターナショナル)、『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(北尾トロ、竜超との共著 角川文庫)など著書多数。

ブログはこちら

トップへ