町中華とは、愛され続ける古き良き昭和の味わい

古くから地域に愛され続ける、中華料理中心の大衆食堂。それらを総称して「町中華」と呼ぶ。本格的な中華ではなく、千円以下で満腹になれるボリューム満点のラーメンやチャーハン、餃子。店によっては丼もの、洋食なども。扱うメニューは店主の裁量に委ねられる。そのゆるさもまた、町中華が愛される理由のひとつである。

餃子の老舗「おけ以」

餃子の老舗「おけ以」店内

東京 飯田橋の名店

東京を代表する餃子の老舗。1954年の創業以来、餡(あん)も皮もすべて手作りで行い、秘伝のレシピを守り続けており、その味わいはファンを魅了し続けている。

餃子の名店「おけ以」のご主人

餃子の名店「おけ以」のご主人に町中華 手作り餃子の素を試してもらいました!

餃子の名店「おけ以」のご主人に町中華 手作り餃子の素を試してもらいました!

みなさん、こんにちは。町中華探検隊の下関マグロです。ちょっと昔話をさせてください。まだ、駆け出しのライターだったころ、先輩ライターに連れられて神保町にあった「おけ以」という店に行ったことがあります。1980年代半ばのことです。その時食べた餃子は、今では餃子のおいしさとしてよく語られる「皮がパリッと焼かれていて、餡がジューシー」という表現がぴったりで、なんとも忘れられない味でした。しばらくして、1人で行ってみたら、お店はなくなっていたのです。なんとも残念。

それから何年かして、偶然、飯田橋にあるこちらの店を発見しました。

「おけ以」の外観

見覚えのある暖簾です。入店して餃子を注文したら、ああ、やはり神保町にあった「おけ以」と同じ味です。お店の方にここは神保町の「おけ以」と関係があるのかと聞けば、神保町からここへ移転してきたとのこと。まだネットなどもない時代、このお店にたどり着いたときの喜びは今ではちょっと説明できないほどです。

「おけ以」の餃子

もちろん、以後、お店に足を運ぶことになりました。雑誌やネットの記事などで何度か取材もさせていただきました。
そんな経緯もあって、僕はこちらの餃子が簡単に家でできればと「町中華 手作り餃子の素」での再現を願いしたところ、店主の馬道仁(うまみち・ひとし)さんは快諾してくださいました。

ご店主直伝!家庭でできる餃子のコツ

というわけで、今回はその出来栄えを確認していただくためにお店にうかがいました。

馬道仁(うまみち・ひとし)さん

こちらが、店主の馬道仁(うまみち・ひとし)さんです。

餃子25個分の材料

※手作り餃子の素:取材当時のパッケージです。

25個分の餃子の材料です。

25個分の餃子の材料です。
町中華 手作り餃子の素 1回分
豚ひき肉 100g
白菜 中1/8株
ニラ 1/2束
餃子の皮 1袋(25枚)
サラダ油 大さじ1
水 100ml

それではつくっていきましょう。

餃子の要!餡づくり

餡を粘りが出るまでよく混ぜる

まず、ひき肉に「町中華 手作り餃子の素」を入れて粘りが出るまでよく混ぜます。

馬道さん:よく握る人がいるでしょ、あれだと指から逃げてしまう肉もあるので、均等に混ざりにくいのです。それで、私は手の指の外側を押し付けるようにして混ぜます。こうすることで均等に混ぜられますよ。

粘りが出るまでよく混ぜます。次に3分間茹でてみじん切りにし、よく水気を切った白菜、2~3mm幅に切ったニラを加えます。

粘りがでた餡にニラを加える

馬道さん:ここでは、軽く混ぜてください。しっかり混ぜると野菜から水分が出てしまうので気をつけましょう。

秘訣その1

ひき肉は握らず、指で押し混ぜる。
野菜は水分が出ないよう軽く混ぜ合わせる。

簡単!包み方のポイント

さて、餃子を包んでいきましょう。スプーンですくって、皮の上に餡をのせます。

馬道さん:気持ち少な目にするのがポイントです。それから、指に水を少しつけて皮の周辺を濡らします。

皮で餡を包む

包む時のポイントを教えていただきました。

馬道さん:できる人はひだをつくって包んでいいのですが、苦手な人はまず真ん中だけ止めてください。あとは、両端を押さえて閉じてください。ちゃんと閉じていれば、無理にひだをつくらなくていいですよ。

なるほど、この方法なら簡単ですね。

馬道さん:ただ、両サイドは必ずよくくっつけてください。隙間があるとそこから油や具材が流れ出てきてフライパンにくっつく原因になるのです。

なるほど、両サイドはきっちりとくっつけましょう。焼く前にもう一度両サイドがくっついているかチェックしたほうがいいですね。
ところで、餡があまってしまうことがあるのですが、どうすればいいですかね。

馬道さん:フライパンで卵と一緒に焼くといいですよ。

あー、なるほど。オムレツみたいにしてもおいしそうですね。

秘訣その2

皮はしっかり閉じるべし!
余った案は卵と焼くとGOOD!

もっちりパリッと!焼きのコツ

さあ、包んだら焼いていきましょう。
まずは、フライパンにサラダ油を入れて火をつけます。フライパンが温まってきたら、餃子を並べます。

餃子をフライパンに並べる

水を入れますが、ここにもポイントがあるようです。

水を入れる

馬道さん:水は餃子の上からかけてください。そのほうが、皮がもっちり仕上がりますよ。

なるほど、ついついフライパンの鍋肌から水を入れていましたが、餃子にかけるようにして水を注ぐのですね。
フタをして5分ほど蒸し焼きにします。

馬道さん:気になってもフタをしたままにしましょう。開けると温度が下がってしまいますからね。

5分ほどで水分がなくなったら、フタを取ってください。

フタをとる

馬道さん:ここを見てください、餃子とフライパンが接しているところ、小さな泡が出てチリチリしているでしょ。これは、中から沁み出てきた油なのですね、こうなっていたら中に火が通っている証拠なのです。

秘訣その3

水は鍋肌ではなく餃子にかける。フタをしたら辛抱強く待つべし!

フタをとって待つ

火を止めて、馬道さんはゆっくり、様子を見ながら餃子を取り出して、お皿へ。焼き色のついた面を上にします。
ここで、馬道さんに質問なのですが、素人がやってしまう失敗でいちばん多いのが焼きあがった後、フライパンに餃子の皮が貼り付いてしまうことですが、どうすれば防げるのでしょうか?

馬道さん:あわてないことですね。ゆっくりとフライ返しを餃子の皮とフライパンの間をに入れて、少しずつ剥がしながら。フライパンの上で餃子が動くようにしてやることです。失敗の原因はフライ返しでいっぺんに取ろうとするからなのですね、ベロベロベローって、全部皮が取れちゃうわけですよ

なるほど、素人はついついあわててこそげ取ろうとしますよね。

馬道さん:あわてないと言っても、温度が下がり過ぎてしまってはくっついたままになって、取れないので、まだ火がついているうちか、火を落としてすぐの温度が高いうちに剥がすほうがいいですね。

秘訣その4

皮がフライパンに貼り付いたら、冷めないうちに、慌てず少しずつ剥がす。

焼き上がった餃子

いやぁ、これはおいしそうです。
それでは、実食!

出来上がりを確かめましょう!

馬道さんによる実食

では、馬道さんに実食していただきましょう。

馬道さんによる実食

いかがですか?

馬道さん:おいしいですよ。市販の皮を使ってここまでいけば、合格点ですよ。しかも、1時間もかかってないですよね。

「おけ以」の餃子は自家製の皮も餡も3日ほどかけてつくられるので、それと比べれば、かなり時間短縮で本物の味に近づけていると言えるでしょう。
どれどれ、僕もいただいてみましょう。

下関マグロさんによる実食

いやぁ、これはおいしい。というか、自分でつくったよりもかなりおいしいですね。さすがに店主の腕にかかると同じ具材でもここまでおいしくなるのですね。
市販の皮は薄いので、これ自分で厚めの皮をつくると、さらに「おけ以」の餃子に近づきますね。
というわけで、自宅でも「町中華 手作り餃子の素」を使って、馬道さんからうかがったアドバイスを参考に餃子をつくってみました。ちなみに冷蔵庫にはキャベツがあったので、白菜ではなくキャベツでつくってみました。いやぁ、おいしくできましたよ。これが家でできるのは、ありがたいですね。

ライター / 町中華探検隊 副隊長
下関マグロ(しものせき・まぐろ)

1958年、山口県下関市生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社勤務を経てフリーに。北尾トロ、竜超と共著で『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(角川文庫)。CSテレ朝チャンネル『ぶらぶら町中華』にトロと出演中。

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