町中華とは、愛され続ける古き良き昭和の味わい

古くから地域に愛され続ける、中華料理中心の大衆食堂。それらを総称して「町中華」と呼ぶ。本格的な中華ではなく、千円以下で満腹になれるボリューム満点のラーメンやチャーハン、餃子。店によっては丼もの、洋食なども。扱うメニューは店主の裁量に委ねられる。そのゆるさもまた、町中華が愛される理由のひとつである。

台湾もやし炒めの素の老舗「人生餃子」

台湾もやし炒めの素の老舗「人生餃子」店内

ご当地グルメの宝庫・名古屋の行列店

台湾ラーメンの有名店で経験を積んだご主人が作り出した、唯一無二の看板メニュー「皿台湾」がファンを虜にしている。

台湾もやし炒めの名店「人生餃子」のご主人

台湾もやし炒めの名店「人生餃子」のご主人に町中華 台湾もやし炒めの素を試してもらいました!

台湾もやし炒めの名店「人生餃子」のご主人に町中華 台湾もやし炒めの素を試してもらいました!

町中華にはそのお店でしか味わえない名物料理が数多く存在します。
新幹線の名古屋駅から電車を乗り継いだ中川区八剱町(はちけんちょう)にある「人生餃子」も有名な名物料理があるお店です。

店名は「人生餃子」なのですが、人気メニューは「皿台湾」というものです。ちょっと不思議なネーミングですね。

こちらが「皿台湾」です。

注文するときに辛さやニンニクの量を聞かれます。ニンニクは少しは入れたほうがおいしいとのこと。ニンニクも辛みも普通にしていただきました。

たっぷりのもやしにニラ、その下に麺があります。いただいてみると、独特の味わいです。パンチがあっておいしいですねぇ。これはクセになる味ですよ。今や名古屋めしの代表ということで、名古屋の人はもちろん、名古屋に出張にきたサラリーマンなどもよく食べに来るそうです。

お話を聞かせてくれたのはお店を切り盛りしていらっしゃるご夫婦です。

左がご主人の水谷伸二(みずたに・しんじ)さん、右が奥様の久美子(くみこ)さん。

まかないから生まれた皿台湾

ご主人、皿台湾という人気メニューが誕生したきっかけを教えていただけますか?

伸二さん:以前私が働いていた店は台湾ラーメンが有名なお店だったんですよ。
で、支店をまかされるようになって、ある日、今日のまかないは台湾ラーメンにしようと思っていたのです。ところが、スープが売り切れてしまっていたのですね。でもモードは台湾ラーメンだったので、それで汁なしの台湾ラーメンを作ったのです。これがけっこうおいしくて、まかないの定番になっていったわけです。

生まれたのはずいぶん前なのですね。その後、こちらにご自分のお店を出されたわけですが、開店当時から皿台湾はあったのですか。

伸二さん:いえ、開店当初、皿台湾はありませんでした。独立したのは今から14年前。ここは私の実家がある場所なのです。店名の人生餃子というのは、最初、餃子で勝負しようとこの名前にしたのです。

それが、どうしてメニューになったのでしょう?

伸二さん:店名は人生餃子でしたが、台湾ラーメンがとにかく人気で、ありがたいことにスープが売り切れることがよくあったのですね。

あ、なんだかわかってきましたよ。

伸二さん:そうなのです。スープが無くてもできる、まかないで食べていた汁なしの台湾ラーメンをやろうと思ったのですね。それが開店してから1か月半くらいでしたかね。

すぐに人気メニューになったのですか?

伸二さん:いやぁ、最初はなかなか浸透しなかったですね。今のようにお客さんのほとんどが皿台湾を注文するようになるには2年くらいかかりましたね。

最初は餃子で勝負しようと思ったら、台湾ラーメンが人気になり、それから皿台湾が人気になったわけですね。

久美子さん:そうですよ、常連のお客さんでもうちの餃子を食べたことない人けっこういますから。

餃子もいただきましたが、おいしかったですよ。
それにしても「皿台湾」というネーミングが素敵ですね。

伸二さん:そうですね、汁なし台湾ラーメンというと、たいてい丼に入っているのですが、それだと熱くってなかなか食べられないわけです。まかないで、さっと食べるために皿に入れたのです。

ご店主直伝!家庭でできる台湾もやし炒めの素のコツ

さて、今回、エスビー食品さんから発売されたのは「台湾もやし炒めの素」。これは人生餃子さんの皿台湾の麺が入っていないものになります。つまり、町中華などでもよく使われる麺やご飯を抜いた料理「アタマ」といわれるものですね。
それでは、エスビー食品の町中華の中華合わせ調味料で台湾もやし炒めをつくっていただきましょう。
材料はこちらです。

台湾もやし炒め2人分の材料

※台湾もやし炒めの素:取材当時のパッケージです。

台湾もやし炒め2人分の材料です。

台湾もやし炒め2人分の材料です。
町中華 台湾もやし炒めの素 1回分

もやし 1袋(約200g)
ニラ 1/2束(約50g)※8cm幅に切る
豚ひき肉 約60g
サラダ油 大さじ1

ご家庭でつくる場合のアドバイスはありますか?

久美子さん:勇気を出して、火力マックス!

なるほど、火力めいっぱいですね!
ちなみに今回はお店の火力ではなく、家庭用のカセットコロンを使っていただきます。
まずは、フライパンに火をつけてサラダ油を入れて、少し待ちます。

伸二さん:いきなり炒めるのではなく、フライパンが温まるのを待ったほうがいいですね。

秘訣その1

フライパンをよく温めて、強い火力で一気に炒める!

ひき肉を炒め、ソースをからめる

まず、豚ひき肉を炒めます。

ひき肉が炒められたら、もやしを入れます。

それから、ニラを投入します。炒め時間は1分30秒。

伸二さん:ここで炒め過ぎないこと。とくにニラは火が通りやすいので、時間通りに火を止めてください。

火を止めたら、具材をよせて、「台湾もやし炒めの素」をフライパンに入れます。

ここで、久美子さん、伸二さんが置いた「台湾もやし炒めの素」の袋をふたたび手に取り、タレを指で絞り出しています。

久美子さん:ほら、まだ入っているでしょ。男の人はこれやらないんですよ。エスビー食品さんがちゃんと分量を決めてくださっているので、全部入れないと。

とのこと。あー、なるほど。

秘訣その2

ソースは最後まで使い切る

再びサッと炒める

よくタレと混ぜたら、再び火をつけて30秒ほど炒めます。

伸二さん:ここではまだ野菜には90%くらいしか火が入っていないのです。

秘訣その3

野菜は炒めすぎず、少し早いかなと思うくらいがベスト

火を止めてお皿へ。

出来上がりましたね。

では、ご夫婦に食べていただきましょう。

ポイントは炒めすぎないこと

いかがでしょう?

伸二さん:よくぞここまでという感じに仕上がっています。

久美子さん:おいしいですよね。これ時間が経つと余熱で野菜がしんなりしてくるので、早く食べたほうがいいですね。

伸二さん:炒め過ぎると野菜から水が出てきておいしく仕上がらないので、とにかく炒め過ぎないことでしょう。

あー、素人がやってしまいがちのミスですね。
どれどれ、いただいてみましょうか。

ああ、皿台湾の味にかなり近いですね。これはおいしいですね。麺がないぶん、おかずよりです。ただし、お店の普通の辛さやニンニクよりも少し抑え目ですかね。お子さんでもいただける感じ。とにかくご飯に絶対合いますよね。ご飯ください!

取材に同行していた、町中華探検隊 隊長の北尾トロにも食べてもらいました。

北尾トロ:ああ、これはかなり再現されているね。

ご飯にも合うけれど、パッケージにも書かれていますが、中華麺の上にこれをのせると皿台湾になりますね。インスタントラーメンの上にのせてもいいかも。

伸二さん:それだとまさに台湾ラーメンですね。

何味のラーメンに合いますかね?

久美子さん:私は醤油ラーメン派ですね。

北尾トロ:オレは塩が合うと思うね。

アレンジもいろいろできそうです。
ところでご主人、改めてパッケージを見てみますと、店名の前に「八剱ROCK」ってありますけど、これはどういう意味なんでしょうか。

伸二さん:八剱はここの町名の八剱町の八剱です。rockはロックン・ロールのロックです。僕はダレに何を言われようが自分の思いを貫き通すのがロックン・ロールだと思っていますのでその精神でお店をはじめました。実際こんな場所で飲食店やっても駄目だとかその屋号はなんだとか、皿台湾なんて美味しく無いとか散々言われましたが、信念曲げずここまで来ました。よかったと思います。

なるほど、そんなご主人のロックン・ロールな思いがパッケージに込められているのですね。

東京に住んでいる身としてはなかなか名古屋まで食べに行けないけれど、この「台湾もやし炒めの素」さえあれば、人生餃子さんの皿台湾、いつでも食べられますね。
ありがとうございました!

ライター / 町中華探検隊 副隊長
下関マグロ(しものせき・まぐろ)

1958年、山口県下関市生まれ。桃山学院大学卒業後、出版社勤務を経てフリーに。北尾トロ、竜超と共著で『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(角川文庫)。CSテレ朝チャンネル『ぶらぶら町中華』にトロと出演中。

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