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#04 Curry & Creativity
ミュージシャン
曽我部恵一
作家・詩人・作詞家
高橋久美子

生きているだけで、誰もが“創作”している。
カレーとクリエイティブと暮らしの話。

ミュージシャン
曽我部恵一
作家・詩人・作詞家
高橋久美子
カレーづくりに正解はない。カレーに必要なのは、自由な発想とクラフトを楽しむ心──。それってもしかしたら、さまざまな創作活動にも通ずるところがあるのかも? 今回は、カレーとクリエイティブとの共通点、さらには普段の暮らしの見つめ方についてお話を伺うべく、音楽をはじめとした幅広い創作活動をされている曽我部恵一さんと、作家、詩人、作詞家の高橋久美子さんに対談していただきました。おふたりの「カレーとクリエイティブと暮らし」のお話、たっぷりとお楽しみください!*クラフト(craft)=手作りの意

音楽をはじめたきっかけは?それぞれの、創作活動の原点。

グリーンカレー

『S&B CRAFT STYLE』に新たに加わった『S&B CRAFT STYLE グリーンカレー』。今回は、発売を記念して2022年3月に配信イベントを開催しました。

曽我部さんは中学生の頃からバンド活動をされていますが、音楽をはじめたきっかけは何だったのでしょうか?

曽我部さん
中学生のときにはじめて洋楽のロックを聴いて、「ロックミュージシャンってカッコいい」と思ったんです。中学生くらいになると、将来の夢や目標を聞かれるようになるじゃないですか。僕はとにかく楽しそうなことをしている人になりたくて、「ミュージシャンになりたい」ってずっと言っていました。それでギターをはじめたのが最初ですね。
高橋さん
当時は、今のようにインターネットやYouTubeがなかったと思いますが、どうやってギターを学ばれたんですか?
曽我部さん
とにかくパンクロックを聴いていました。そしたら意外と簡単なことをやっているように思えて、「これだったらできるんじゃないかな」と実際にコピーしてみたら案外できた。それで中学2年生の時にクラスメイトとコピーバンドを組んだんです。とにかく実践あるのみでした。
曽我部さんと高橋さん

この日、初対面だったという曽我部さんと高橋さんは、終始なごやかなムード。

作詞や作曲をはじめられたのはいつ頃ですか?

曽我部さん
大人になって東京に出てきてからです。自分の世界を、自分の言葉で歌にしなきゃプロになれないと気づきまして。「自分の世界ってどこにあるんだろう?」と探しはじめて作るようになり、今に至るという感じです。

高橋さんが音楽をはじめられたきっかけについても教えてください。

高橋さん
私は音楽よりも先に詩があります。中学生の頃、あまりクラスに友達がいなくて、教室の端っこでずっと詩を書いていたんですよ。「作りたいから作る」というよりは、書くことに助けられている感じです。
曽我部さん
もともと詩がお好きだったんですか?
高橋さん
中学校で好きになりましたね。きっかけは、当時の国語の先生が「あなたたち、もう漢字練習帳なんて捨てましょう。おもしろくないでしょ。そんなことより詩を書きましょう」って言ってくれたことでした。
曽我部さん
すばらしい先生ですね。
高橋さん
そうなんです。それからは、ずっと詩が身近にありました。音楽に関しては、中学校のときに吹奏楽部でクラリネットをやっていて、高校でパーカッションに変更し、大学の軽音楽部でドラムをはじめ、バンドのオリジナル曲の作詞もするようになって…という流れですね。

生きているだけで、誰しもが創作をしている

曽我部さんと高橋さん

私物のサニーデイ・サービス『いいね!』のレコードをご持参された高橋さん。

おふたりは、音楽以外にもお店づくりや小説・エッセイの執筆など、さまざまな創作活動をされています。創作の種類によって、気持ちやモチベーションに違いはあるのでしょうか?

曽我部さん
僕は、音楽を作ることや、こうやってお話すること、お店をやることも、すべて自分が日々感じたことを表現したり記録したりする手段のひとつだと考えていますね。「こっちはプロとして、こっちは遊びとして」というふうには分けていないんです。全部、音楽の創作とあまり気持ちは変わらない。
高橋さん
私も同じです。すべて生活と地続きな気がしています。たとえば依頼されて書く歌詞だとしても、あんまり「お仕事」と思ったことがないですね。自分が感じたことしか書けないから。充実していたり、逆にハラハラしたりと、生活の中でのいろんな感情が、すべての創作につながっているのだと思います。
曽我部さんと高橋さん

高橋さんは、愛媛と東京で二拠点生活をされていますよね。暮らす場所によって、創作に違いが出たりはしますか?

高橋さん
愛媛にいるときはずっと農業をしていて、東京にいるときはずっと文章を書いているので、生活スタイルがまったく違うんですけど、「何かを感じる力」に差はないような気がします。場所が変わっても、自分の半径5mは何も変わらない。どこにいても、何かを拾ったり、見つけたりしながら表現していくのかなって思います。
曽我部さん
創作って「普通に生きること」の延長にあるものなんですよね。だから、この世に生きるみんながアーティストだと僕は思うんです。そしてそれぞれに得意分野がある。僕は歌うことで、高橋さんは文章を書くことだとしたら、誰かにとっては洋服を縫うことかもしれないし、カレーを作ることかもしれない。どういう形で表れるかの違いだけだと思うんですよ。そこに差は少しもない。
高橋さん
生きることは、日々を作ることですもんね。1日の中にも決断することっていっぱいある。「何時に起きるか」「何を食べるか」といった選択のひとつずつが1日を作って、それが1年、10年になっていく。だからきっと、誰もが創作をしているんでしょうね。

グリーンカレーは、個性豊かなトッピングを楽しんで

高橋さん
グリーンカレー

おふたりにご提案いただいたトッピングをのせて、いただきました。

お話も盛り上がってきたところで、『S&B CRAFT STYLE グリーンカレー』をおふたりに試食いただきたいと思います。今回おふたりには、事前にご自宅で作っていただき、カレーに合うトッピングもご提案いただきました。

曽我部さん
僕のトッピングは、パイナップルと白身魚。意外にフルーツが合うんじゃないかなと思ってパイナップルを選びました。まだ試していないんですけど。
高橋さん
パイナップル、絶対合うと思います。
曽我部さん
合うかな?
高橋さん
私も愛媛の八朔とかが合いそうだなと思って提案しようかと思っていたんです。

私は自家製の赤キャベツのザワークラウトと、焼きカボチャ。そして旬の菜の花、炒めたきのこを提案しました。ザワークラウトは酸味があるので合うと思います。菜の花は愛媛の畑で採りたてのものを塩茹でにして合わせたらおいしかったので、ご提案させていただきました。苦みがまた合うんですよ。
対談の様子

トッピングにも個性が出ていておもしろいですね。全部おいしそうです。それではどうぞ、お召し上がりください!

曽我部さん
おいしい! ザワークラウト、これは間違いないですね。塩のコクがとっても効いてる。
高橋さん
うれしい。白身魚もおいしいです。パイナップル、ルウにたっぷりつけると最高ですね! 一番お気に入りかもしれないです。
曽我部さん
ちゃんと合ってくれたね。僕は、菜の花が一番お気に入りです。
高橋さん
何と言いますか、このカレーは味わいに深みがありますよね。スパイスが効いてるんだけど、旨味があるからすべてを受け入れてくれる
曽我部さん
事前にこのキットで作ってみたんですが、30分くらいでできるんですよね。僕は下北沢で『カレーの店・八月』という店をやっているのですが、そこでは10時間以上かけて作ってるんですよ。だからこの手軽さでこのおいしさは…いい意味で少しショックでした(笑)。

S&B CRAFT STYLE グリーンカレー』は「辛味スパイス」が入っていて好みの辛さに調整できるようになっているのですが、曽我部さんと高橋さんはどれぐらいの辛さがお好みですか?

グリーンカレー
曽我部さん
僕はめちゃくちゃ辛いのが好きなんで、ちょっとやりすぎなんですけど、1皿に対して辛味スパイスを半分ぐらい入れます。子どもたちの分はゼロにするのでちょうどいいんです。
高橋さん
すごい!私は全部で3分の1くらいしか入れませんでした。それでも結構辛かったですよ。

カレーも音楽も文章も、ぜんぶ「嘘はつけない」。

曽我部さんと高橋さん
カレーの店・八月のTシャツ

『カレーの店・八月』のオリジナルTシャツ。

先ほども少しお話に出ましたが、曽我部さんが下北沢で開かれている『カレーの店・八月』について、お店のコンセプトやこだわりを教えてください。

曽我部さん
下北沢にあるので、敷居の高くない「街のカレー屋さん」を目指しています。店の仲間はみんなスパイスが好きなので、欧風カレーよりはもうちょっとスープ寄りというか、サラサラとしてスパイスの効いたカレーを出しています。味を決めるのにはものすごく時間がかかりましたね。みんなで毎日カレーばっかり食べて研究しました。
高橋さん
私も『カレーの店・八月』のカレーが大好きで何度も食べたことがあります。すごく手間がかかっていて、一見優しい味なんだけど、隠れて尖ったやつがいるぞってことが伝わってきます。
曽我部さん
曽我部さん
ありがとうございます。やっぱり音楽でも文章でも全部そうだけど、本当に心を込めて一生懸命作ったものしかお客さんには伝わらないじゃないですか。だから嘘は絶対につけないと思って、店長を中心に本気で作っていますね。儲けようとか、そういう発想は通用しない。食の世界って一番それが顕著というか、わかりやすいと思うので。

そして下北沢には若者が多いから、若い人たちが無理せず食べれる値段にしたいと思っています。僕の音楽もそうだけど、難しいことをして知識がある人だけに聞いてもらうんじゃなくて、自分がパンクロックを聞いて感動したときのように、まっさらな気持ちでも入っていけるようなカレーにしたい。そんな思いでやっています。

音楽とカレーで共通する部分があるんですね。高橋さんは、カレーと普段の創作で共通していると思う部分はありますか?

高橋さん
「アレンジ次第で完成するものが変わる」というところは、いろんな創作にも共通しているなと思います。カレーって正解がないじゃないですか。シャバシャバでもドロドロでもいいし、スパイスの組み合わせも無限大で、本当に自由な世界。その分、性格や思想が反映されていく。それは他の創作でも一緒かな。

どうやって完成させる? 創作の「終わり」についての考え方

対談の様子

いま「正解がない」という話がありましたが、カレーも創作も、正解がないためにどうやって「完成」とするかがすごく難しいなと思います。おふたりは、どんなタイミングで創作の終わりを決められますか?

高橋さん
ピリオドがないですもんね。小説も詩もカレーも、直そうと思ったらエンドレスに直せる。だから私は、締め切りがあるとか、ご飯の時間があるとか、そういうものに救われるときはあると思います。「ここまでで一度手放して終わらせる」という締め切りの区切りで、作品を一回昇華させているのかなと。
曽我部さん
本当の締め切りみたいなものがあれば、それを頼りにできることもあるんですけど、僕の場合はいかんせん自分で勝手にやっていることなので、締め切りがないんですよ。だから、たとえばアルバム制作で10曲くらい曲を作ったとしても「やっぱり違うな」と思ったら全部ボツにして、もう一回ゼロから作りはじめることもあります。
高橋さん
それはすごいですね…。1曲とかじゃなく、全部ですか?そこからもう1回立ち上がるのって、ほんとうに大変なことじゃないですか?
曽我部さん
いろんな人の力を借りて、自分でも精一杯やってここまで作ったのに、それを全部なかったことにするのは本当に悲しいしつらい。でも、なんとなく違うなと思ったらもう捨てるしかないので、またそれで新しくはじめますね。だから、「終わりってどこにあるんだろう」という問いは難しい。
曽我部さん
曽我部さん
先日とあるドキュメンタリーの監督の方と話していたのですが、その方は、6時間の映画を15年かけて作ったそうなんです。それで「どうやって終わりを決めたんですか?」と聞いたら、「もうここで終わりだ、と思える瞬間が必ずやってくる」「もうこれ以上何も付け加えることがないと思える、終わりの地点があるんですよ」とおっしゃってました。その言葉にはすごく救われましたね。
高橋さん
経験値が積み上がって到達できる場所だったりするのでしょうか。実は、私ももう10年ぐらいずっと書いてる小説があるんですけど、まだ終われないんですよ。一応最後まで完成してるんだけど、なかなか出せない。「やっぱりこれじゃないな」と思う気持ちがあるから出せなくて、少しずつ書き直しているうちに、もう10年が経ってしまいました。
曽我部さん
作り手って「終わり」をどこかで設定しないと終われないんじゃないかって不安になりますよね。いつまで経っても終わらないことが多いから。

でも、終わりっていうのは自分の気の迷いではなくちゃんと存在しているのだと思います。だからきっと高橋さんのその小説も、いつか終わりますよ。

暮らしの中で、大切にしたいこと

日々の暮らしの延長線上に創作がある。自分の日々の暮らしをもっと大切にしていこうと思えるお話ばかりでした。

最後に、おふたりが暮らしの中で大事にされていることがあればお伺いしたいです。

曽我部さんと高橋さん
曽我部さん
言葉にしなくてもいいんだけど、何かひとつでも強く心に残る瞬間があれば明日もまた大丈夫って思えるから、僕はそういう記憶を大切にしたいですね。

生きていればいろんなことがあるけれど、「みんなで食べたカレーがおいしかったね」とか「そういえばあいつがしょうもないことを言ってめちゃくちゃ笑ったよな」とか、そういうことを大切にしたいなって思います。暮らしの中で光る一瞬があれば、そこだけ覚えて明日に向かっていけると思う。
高橋さん
私はやっぱり、自分の気持ちを止めない」ことを大切にしていきたいです。やりたいと思ったことはやってみた方がいいし、やってみて駄目でもしょうがないなって思えるから、自分の気持ちに嘘はつきたくない。大人になるにつれて、正解だけを追いすぎないようにしないとなってすごく思います。そういう暮らしの先で、詩も小説も書いていきたいですね。
取材・撮影は感染対策を徹底した上で行っております。

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お話を聞いた人

お話に登場したカレー

グリーンカレー
グリーンカレー
ハーブとココナッツミルクが香るタイ風カレー。爽快感のあるスパイスとハーブに、ナンプラーや蝦醤の旨みが合わさった、奥行のある味わい。

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