その創業の理念は「美味求真」。お客様に喜んでいただくために、本物のおいしさを追い求めることです。
この理念を受け継ぐなか、日本人の食のニーズが多様化する時代に生のハーブがもたらす本物のおいしさや香りをお届けしたくて、エスビー食品の「フレッシュハーブ」の事業は始まりました。
当初5品目だったハーブの種類も、今では30品目を超えるほどに拡大しました。
これからもフレッシュハーブの可能性を追求しながら、ハーブのおいしさを様々なカタチでお客様にお届けしてまいります。
ハーブの種類によって成長のスピードは異なり、収穫できるまでの期間もさまざま。
摘み取りは、株を傷つけないよう、一株ずつ丁寧に行います。
全国統一の製品出荷管理マニュアルに基づき、傷ついた葉や細かな葉くずなどが入らないよう選別し、同時に形状や大きさ、長さを揃える管理をしています。
衛生管理に配慮した施設でパック詰め。
鮮度を落とさないように、丁寧かつ迅速に計量・包装します。
パックされた製品は、すみやかに箱詰めされ、温度管理室 で鮮度が落ちないよう保管され、出荷に備えます。
店頭には「定番コーナー」を設置し、ニーズに合わせて選んでいただける、多様な商品ラインナップを取り揃えています。
1年を通して安定的に供給するため、北海道から沖縄まで、日本全国に広がる契約産地でリレー生産を行っています。
2ヶ所のハーブセンターが推進役となり、全国の栽培契約農家との協力体制のもと、お客様へ安全な商品を、安定的に出荷できる体制づくりに取り組んでいます。
新鮮なハーブをおいしく食べていただくため、安全管理を徹底しています。
一例としては、エスビー食品のフレッシュハーブ全商品につけられたロット番号。
商品がどこで収穫・出荷されたものか特定できるトレーサビリティを整え、ハーブ生産・販売システムとともに安全・安心な体制を確立しているのです。
1980年代、すでに香辛料のトップメーカーであったエスビー食品だが、唯一欠けていたのが「生のハーブ」の取り扱いだった。当時、日本では料理向けの生のハーブは普及しておらず、都心の限られた店舗にしか流通していないものだった。
生のハーブならではのさわやかな香り、みずみずしい彩りを毎日の食卓で手軽に楽しんでもらいたい…多様化するであろう日本の食を見据え、いつでもハーブのある豊かな食卓を目指して、フレッシュハーブ事業に取り組むことが決まった。
8品目のハーブを半年後に商品として世に送り出す方針が決まり、専任担当者として、企画・営業担当者、技術担当者各1名が選任され、二人三脚での準備が始まった。
フレッシュハーブについては、社内の知見も少なく、担当者は自ら資料を調べ、足を使って交渉を繰り返す、泥臭い日々の連続。夏は高温多湿、冬は寒冷という日本の気候でハーブは育つのか、そもそもハーブは日本の家庭に受け入れられるのか、課題は山積みだったが、まずは、料理に使うフレッシュハーブを栽培する農家を探すことから取りかかった。
契約農家の候補として名が挙がったのが、当時、日本では珍しい生のハーブ栽培にいち早く着手していた、千葉県の農園だった。
担当者は農園に足繁く通い、ハーブに対する熱い想いを伝えながら、時には生産者と本音の議論を戦わせた。
開発は試行錯誤の連続。目標としていた出荷日に間に合わないハーブも出てきた。
そして、初出荷を計画していた1987年5月。栽培に取り組んだ8品目のハーブのうち、出揃ったのは、スィートバジル、セージ、タイム、イタリアンパセリ、ディルの5種。
初出荷の日は、関係者が農園に集まり、実際の商品を並べて出荷式を行った。最終的な納品先はたった5店のみであったが、その光景に、関係者は皆、感慨深いものがあった。同年6月には当初より栽培検討をしていた3品目も追加された。
店頭には並んだものの、最初はまったく売れなかった。当時、ハーブはトレンドに敏感な一部のお客様が百貨店や専門店で手にする商品。一般のお客様にフレッシュハーブの認知を広げるため、ハーブの使い方や代表的なメニューをパッケージに記載した。これは、当時、青果物としては先進的な取り組みであった。
時には担当者自らが店頭に立って、直接お客様にハーブに関するアンケートを行い、消費者の声を拾うこともあった。そうした努力を重ねながら、フレッシュハーブの浸透を図った。
その後も、品目を増やし、全国に飛び回って産地を開発し、現在の一年中安定しておいしいハーブを供給できる環境が出来上がったのだ。