スパイス&ハーブ、カレーのコーナー

2階はスパイス、ハーブ、カレーの3つのコーナーがあります。またスパイス・ハーブ、カレーの書籍コーナーや、懐かしいレトロなカレーのテレビCM、スパイス・ハーブの基本解説映像を見ることのできる視聴覚コーナーも設置。創業者・山崎峯次郎が晩年社業の拠点とした自宅の部屋、その妻・春栄の執務室が再現された一角も設けられています。

スパイスコーナー

スパイスコーナーは、

  • 各スパイスを種類ごとに説明するエリア
  • スパイスが歴史の中で果たしてきた役割を解説するエリア

で構成され、スパイスを種類ごとに解説するエリアでは、日本で使われる主な36種類のスパイスを現物とパネルで説明しています。

マスタードの花

マスタードの花

正面に目立つのが、菜の花のような黄色い花が一面に咲く広い畑を写した電飾パネルです。この黄色い花はからし菜の花なのです。スパイスとしてのマスタードはこのからし菜の種子です。からし菜は菜の花と同じアブラナ科の植物、花も似ていて当然ですね。
このパネルはカナダのからし菜の畑で一斉に咲いた花を写したものです。毎年5月頃にこのような光景が見られ、この後、種子を収穫しチューブ入りのからしや粉からしに加工されます。

世界4大スパイス

ハーブコーナーの外壁に展示されているのが、世界4大スパイスと言われる、こしょう、ナツメッグ、クローブ、シナモンの各スパイスです。現物とともに、パネルで各々のスパイスの詳しい説明がなされています。
まずは“スパイスの王様”、こしょうから紹介しましょう。

こしょう

こしょうは、世界中で昔から使われてきた人気のスパイスです。しかし中世のヨーロッパでは、一粒が銀貨一枚の価値に相当するほどの価値がある貴重品でした。当時こしょうは、産地のアジアからアラビア商人の手によって取引されヨーロッパに運ばれました。何人もの商人の手を経るうちにこしょうの価格が高騰していったのです。
日本にも古くから入っており、正倉院の御物(ぎょぶつ)の一つになっていることから、8世紀頃には日本に入っていたことになります。

ナツメッグ

ナツメッグとメース

よくハンバーグに入れられるので、日本でもお馴染みのスパイスです。元々は果実の中にある種(正確には仁)を乾燥させたものです。その種の周りに赤い皮がついていますが、これはメースという別のスパイスになります。

クローブ

クローブの蕾

実際に香りを嗅いでもらうのが一番ですが、かなり強い香りのするスパイスです。歯医者さんの香りとか、正露丸の香りを連想されることでしょう。クローブは花の蕾を乾かして、スパイスにする珍しいスパイスです。

シナモン

シナモンも世界4大スパイスのうちの一つです。シナモンは日本でもかなりお馴染みのスパイスです。日本ではニッキと呼ばれたり、中国風にケイヒと呼ぶ場合もあります。シナモンの木の皮を乾燥させて使うスパイスです。

スパイスと人間の歴史-大航海地図

スパイスは世界の歴史に大きく関わってきました。古代エジプトではピラミッドを建設する労働者に、にんにくや玉ねぎを食べ物として与えていたといわれます。

また中世のヨーロッパでは、スパイス等の中継貿易で巨額の富を蓄えた富豪たちが、レオナルド・ダ・ビンチなどの時代を切り開いた芸術家・技術者のパトロンとなり、ルネサンスを起こすきっかけを作りました。こうしたスパイスと人間の関わりがパネルで説明されています。

このスパイスと人間の歴史エリアで一際目立つのが、大航海時代の電飾パネルです。
アジアから陸路・海路を経て運ばれてきたスパイスは、様々な商人の手を経るうちに価格が上昇し、こしょうはヨーロッパでは、銀と同じ価値として扱われるくらい貴重品になっていました。
そこで、海路をたどってアジアのスパイス産地に赴き、直接スパイスを運んでこようという欲求が高まり、コロンブスやマゼランが、スパイスの産地を目指して出帆していったのです。彼ら冒険者達の航路を図にして説明しています。

カレーコーナー カレーのできるまで

インドから日本に入ってきたカレーの歴史とともに、創業者・山崎峯次郎が辛苦の末製造したカレー粉に秘められたノウハウを、パネルで説明しています。また、S&Bが発売してきた貴重なスパイスやカレーの製品や、S&Bの品質のこだわりを象徴したスパイスミルが展示されています。

山崎峯次郎が発見した、カレー粉作りのノウハウ

10代の時にカレーを始めて口にしたS&Bの創業者・山崎峯次郎は、たちまちカレーにとりつかれ、カレーの基本であるカレー粉を自らの手で作り出そうと決心しました。そして1923年、試行錯誤の果てに国産のカレー粉の製造に成功しました。その過程で発見したノウハウは、現在でもカレー粉の製造工程に活かされています。主なポイントを4つ紹介しましょう。

カレーを作るポイント1-使用するスパイスの種類

世界で使われているスパイスの種類は数百とも言われていますが、その中でどのスパイスを使うのかが第一のポイントになります。日本のカレー粉には多いもので30種類以上のスパイスが使われています。香りづけ、辛味づけ、色づけの3つの働きをする各種のスパイスが使われています。

カレーを作るポイント2-ブレンド比率

30数種類のスパイスをブレンドする比率の数は無限のものがあります。その中から峯次郎は大変な苦労をして黄金比率ともいえる比率を発見しました。そして世界に類を見ない調和のとれた馥郁とした香りのミックススパイス、つまりカレー粉という芸術品を創り上げたのです。

カレーを作るポイント3-焙煎

カレー粉はブレンドした後、焙煎つまり“煎る”という工程を通します。この焙煎によって全体として調和のとれた香りにまとめあげることができます。

カレーを作るポイント4-熟成

そのあと、カレー粉は一定期間“寝かせる”工程を経て初めて、さらにまとまりのある、調和のとれた神秘的とも言える芳香が実現するのです。その後も複数の工程を経て、ようやくカレー粉が完成し、皆様のもとへ届けられるのです。

スタンプミル

カレーのパネルの反対側には一見無骨とも思える機械が設置されています。これがスパイスをパウダーにする設備、スタンプミルです。

カレールウ、レトルトカレーも基本はカレー粉です。そのカレー粉は、まず各スパイスを細かなパウダーにすることから始まります。エスビー食品では、この製粉工程に関して、創業以来一貫して<杵と臼>による製粉方法=スタンプミル方式にこだわってきました。<杵と臼>による製粉は、スパイスの生命である香りが、製粉時の摩擦熱によって失われるのを防ぐ最もよい方法なのです。
エスビー食品では効率は悪いのですが、スパイスの持ち味を十分活かし、引き出すベストな方法である杵と臼の方法にこだわってきました。言わば、<杵と臼の精神>と言ってもよいでしょう。

レトロ商品ショーケース

創業者・山崎峯次郎は日本で始めてカレー粉の製造に成功してからも、社業でそのノウハウを活かした製品を少しずつ、世に問うていきました。
日本で初のガラス瓶入り家庭用カレー粉や、赤缶の前身「白缶カレー粉」、最初の本格的な固形即席カレー、即席カレー史上最もユニークな「モナカカレー」、“インド人もびっくり”のキャッチを今に伝える「特製ヱスビーカレー」、ロングセラー「ゴールデンカレー」の発売時のパッケージや、発売時の「コショー」や「ガーリック」など、珍しいパッケージが併せて展示されています。

  • 最初の家庭用ビン入りカレー粉
  • 赤缶の前身、白缶カレー粉
  • 最もユニークなカレールウ、モナカカレー

ハーブコーナー

ハーブコーナーでは、幾つかのテーマ毎にハーブの各種グッズやクラフトを展示し、身近なハーブによる豊かで潤いのある生活を提案しています。コーナーとして、

  • 食するハーブテーブルコーナー
  • ハーブの香るキッチンコーナー
  • ハーブティーラックコーナー
  • アロマテラピーコーナー
  • 香る寝室コーナー
  • ハーブガーデニングコーナー
  • ハーブバスコーナー

で構成されています。主なコーナーを紹介しましょう。

ハーブの香るキッチンコーナー

ハーブの香るキッチンを演出しています。シンク上には、ハーブのビネガー漬けやオイル漬け、スパイスソース、チャイブの花(模造品)などが飾られています。

食するハーブテーブルコーナー(丸テーブル)

ハーブ・スパイスで作ったケーキをハーブティーを飲みながら、ハーブで染めた毛糸で編物をしているシーンを演出しています。
ハーブティー用のドライハーブは4種類、椅子の上の毛糸はラベンダーやカモミール、ターメリックなどで染めたものです。

香る寝室コーナー

アイピローやハーブピロー、ハーブ染め、サッシェなど、衣住に関するハーブグッズが集められています。

書籍コーナーと視聴覚コーナー

書籍コーナーと視聴覚コーナーは少しアカデミックなコーナーです。リラックスできるテーブルと椅子の周囲にレイアウトされています。

視聴覚機材

パソコンに収められた映像・音声データーを、プラズマテレビに映し出して鑑賞することができます。

初期のテレビCM(番組・少年ジェット内の「固形即席カレー」のCM、“インド人もびっくり”のキャッチを流行らせた「特製ヱスビーカレー」のCM、最もユニークな即席カレー「モナカカレー」のCM)と、CS放送で放映されたスパイス&ハーブの啓蒙番組「ワールドデリ」から、4本の番組を視聴できるようになっています。

  • 番組・少年ジェット内の「固形即席カレー」のCMより
  • 「特製ヱスビーカレー」のCMより

デザイナーズフーズのパネル

アメリカでは、「フードフィトケミカルズ」(植物性食品成分)と称せられる野菜・果物・ハーブ&スパイスに含まれる成分を日常の食生活の中で摂取することが疫病の予防に繋がるとし、食事・食習慣の改善をしようという動きが強まっています。
1990年には、アメリカ国立がん研究所(NCI)が中心となって、がん予防の為に食品成分がどのような機能を果たすかの科学的解明をしようという目的で「デザイナーフーズ計画」がスタートしました。 その成果が「がん予防の可能性のある食品ピラミッド」です。

「がん予防の可能性のある食品ピラミッド」は、野菜や果物、スパイスなどが、がん予防の面から重要度の高い順にピラミッド状に並べられた表です。この中には、スパイス・ハーブに分類されるものが多く含まれています。

重要性の増加の度合い/ガーリック キャベツ カンゾウ 大豆 ショウガ セリ科植物[ニンジン、セロリ、パースニップ]/オニオン 茶 ターメリック 全粒小麦 亜麻 玄米 柑橘類[オレンジ、レモン、グレープフルーツ] ナス科[トマト、ナス、ピーマン] 十字花植物[ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ]/マスクメロン バジル タラゴン カラス麦 ミント オレガノ キュウリ アサツキ ローズマリー セージ ジャガイモ 大葉 ベリー