五感で満喫! 南インドの旅

2010年11月末から12月にかけて、初夏の南インドを訪れました。スパイスやハーブに所縁の深い地を巡る中で出会った、心に残る風景や料理をご紹介します。

2010/12/3

歴史や街から感じるスパイス文化 ~コーチン~

■朝からさわやかヨガ体験

宿泊ホテル「ル・メリディアン・コーチン」では、宿泊客向けにヨガのクラスをやっていると聞いたので、昨日のチェックイン時に張り切って申し込もうとしたら、「今ヨガの先生がお休みしているのでクラスは開催されません」とのこと。
ガッカリしていたら、地元でヨガチームを組んで毎朝ヨガを実践しているというガイドさん(ヨガ歴4年)が、一緒にヨガをやってくれることに!
朝7:00から、プールサイドにマットを敷いてヨガに挑戦しました☆

初心者の私(しかも体がかたい・・・)にはきつくてプルプルしてしまうポーズもありましたが、独自の呼吸法で朝のさわやかな空気を体いっぱいに取り込み、最高にさわやかな気分です。

ヨガですっきり目覚めたら、朝ごはんタイム。すっかり朝食の定番となったアルーパラタワダを堪能します。

今日は、コーチンの市内観光。
アラビア海に面したコーチンの街は、古くから交易で栄えた港町。大航海時代に入ると、スパイス類やチーク材、象牙などの貿易の拠点のひとつとして、ヨーロッパ諸国に支配されたという歴史も持っています。貿易品の中でも、特にペッパーは金に値するほどの価値があるということで、“ブラック・ゴールド”と呼ばれたんだとか。

古くから異文化との交流があったせいか、街は開放的な雰囲気で、随所に異国情緒が感じられます。

コーチンの街は、主に4つの地区(フォト・コーチン地区、マッタンチェリー地区、ウィリンドン島、エルナクラム地区)に分かれていますが、まず訪れたのは、フォト・コーチン地区にある“聖フランシス教会”。この教会には、大航海時代のポルトガルの航海士・バスコダガマが没後14年間埋葬されていたそうです。

教会の前には、すごい数の人・人・人!!
どうやら、学校の研修旅行等で訪れている学生さんたちのよう。カメラを持っていると、みんなカメラを指して「写して、写して」と笑顔を向けてきます。目がキラキラしてとってもかわいく、パチリ☆

こちらが聖フランシス教会
クリーム色の明るくすてきな外観です。

中に入るとおごそかな雰囲気。

前方に、ヴァスコダガマの棺が安置されていた場所がありました。設置されているプレートには、「1524年のクリスマスイブにコーチンで亡くなったヴァスコダガマの棺が、ポルトガルに移されるまでの14年間ここに安置されていた」と記されています。写真に撮ると分かりづらいのですが、思いのほか棺のサイズ(囲われているところのサイズ)が小さいな~という印象を受けます。どうやら、ヴァスコダガマは小柄な方だったようです。“海の男”ということで、屈強な大男をイメージしていたので、ちょっと意外でした!

ロマンあふれる歴史に想いを馳せながら教会をあとにし、近くにある広場、ヴァスコダガマスクエアへ。のんびりした雰囲気のこの広場からは、海沿いに並ぶチャイニーズフィッシングネットや、そばに立ち並ぶ魚の市場を見ることができます。

チャイニーズフィッシングネットとは魚をとるための仕掛けで、このネットを海に沈めて引きあげ、そこにかかった魚をとる・・・という、古くに中国から伝わってきた漁法だそうです。独特の大掛かりな仕掛けが並ぶ様子は、なぜか懐かしく、ノスタルジックな雰囲気。

漁の様子を見学していると、「ヘイジャラ~、ヘイジャラ~」という掛け声(逆に力が抜けてしまいそうで笑ってしまいます)とともに、ネットに何匹かピチピチした魚が跳ねているのが遠目に見えました。

ここでとれた魚は、すぐそばでせりにかけられ、立ち並ぶ魚屋さん(市場?)で販売されます。魚のほかにも、イカや、いろんな大きさのエビが並んでいます。特に目に留まったのがロブスター。全体的な色合いがブルーっぽく、目立ちます。“バックウォーターロブスター”といい、名物だそう。どんな味なんだろう…!

一帯を見学後はランチタイム!「Regent」というレストランで、シーフードを頂きます。

まずは、えびの身がたっぷり入ったクリーミーなスープ。これだけでおなかいっぱいになりそう・・・というくらいのボリュームですが、にんにくが効いた味わいが食欲をそそり、スプーンを持つ手が止まりません!

メインには、各種えびの盛り合わせ。
シンプルに塩・こしょうだけでソテーしたものから、スパイシーな衣をつけてフリッター状にしたものまで、味つけもえびに合わせて様々です。

バックウォーターロブスターの姿も発見!
(ブロッコリーの下に写っているむき身です)
早速パクリ・・・。うまみがしっかりしていて期待通りのおいしさです!

コーチンでは魚介類がよくとれるので、地元の方も頻繁に食べているそう。個人差はあるのでしょうが、お話を伺った方は、一日一回は魚料理を食べているとのことでした!港町で育ち、毎日のように魚を食べて育った私は、妙に共感をおぼえました♪

ランチのあとは、マッタンチェリー地区にある“ダッチパレス”へ。
この建物は、もともとコーチン藩王が暮らし、“マッタンチェリーパレス”と呼ばれていたものが、オランダ統治下時代にオランダ総督の住居になったということで、“ダッチパレス”と呼ばれるようになったそうです。

建物の中はというと、博物館になっており、コーチン藩王の肖像画や家族写真、家具や衣類、宝飾品、刀剣などが展示されています。
また、壁の一部には叙事詩「ラーマーヤナ」の物語が細密に描かれているのですが、これが素晴らしいです!迫力があり、見ていて飽きません。
建物内の写真撮影は禁止ということで、しっかりと心に刻みこみました!

続いて向かったのは地元のマーケット。ドライフルーツやバナナチップスなどの店、野菜を売る店、じゃがいもや卵などの食料品が揃う店、傘屋さんなど、専門店がずらりと並んでいます。
カラフルで見ているだけで楽しい雰囲気です。

スパイス専門店も発見!さすがインドだけあって、各種スパイスが山積みです。
店内に入ると、わくわくするくらいいろんな種類のスパイスが!

ホールスパイス、パウダースパイス、そして、お店がオリジナルでミックスした各種料理に合わせたミックススパイス・・・。
種類の豊富さに悩みましたが、お店オリジナルのミックススパイス(チャイ用にブレンドされたもの、ビリヤニ用にブレンドされたもの)と、マスタードシード、それから、レストランで食後に出てきて気に入ったフェンネルの糖衣がけを買いました。日本で使うのが楽しみです!

食器や鍋を売っているお店(金物屋さん?)では、ステンレス製の数段重ねのお弁当箱や、タルカをするのに便利なタルカ用パン、チャイをいれるときに茶葉を濾す茶漉しなど、ほしくなってしまうものがたくさん!

すごく迷いましたが、ずっとほしかったステンレス製のスパイス入れを購入しました!ターメリック、コリアンダー、クミン、チリーペッパーなどを入れて、目分量でその時に最適な量のスパイスをチャチャッと調合できるようになりたいな♪

マーケットの見学後に向かったのは、「Cochin Cultural Center(コーチン カルチャラル センター)」。ここでは、ケララに古くから伝わる古典舞踊、カタカリ・ダンスを見ることができます。

カタカリダンスは、目や眉の動きやしぐさ、指先の繊細な動かし方で、細かい感情を表現する独特の踊りで、役者はすべて男性です。彼らが施す派手なメイクも見どころのひとつ。このメイクをするところも見学することができます。

本日の演目は、「ナラカースラバトム(ヒンドゥーの古代叙事詩バーガヴァタプラナーより)」でしたが、本番の前にカタカリダンスでの感情の表現の仕方などを、実演を交えながら説明してくれました!目の動かし方やちょっとした動きで見事なまでに違う感情が表現されるさまは素晴らしく、すごい迫力です。

実際に演目が始まると目が離せません。
演目の内容については事前に日本語の解説をもらっていたので、そのストーリーの記憶と踊りの動きとを重ね合わせ、存分に楽しむことができました!

写真の左の方が天国の王の息子(プリンス)役、右の女性に扮した方がそのプリンスに恋をした悪女役。あらすじは、美女に姿を変えた悪女がプリンスを誘惑するけれど、プリンスはただの美女ではないと知り、拒絶します。それに怒った悪女は、力づくで王子を誘拐しようとするのですが、王子の刀で切られ、天国から追い出されるという内容。このストーリーでは、“悪はどんな時でも退治される”というモラルを教えているのだそうです。(パンフレットより)

さて、本日の夜ごはんは「MERCY」というホテル内にあるレストランにてチキンビリヤニを頂きます。

ビリヤニは、カルダモンやクローブなどのスパイスと一緒に炊いたお米(バスマティーライスという香りのよい長粒米)と、カレーを別々に準備し、それをカレー・米・カレー・米・・・と重ねて蒸し、混ぜ合わせた料理。

パラパラのご飯に具材のうまみがしっかりとしみ込んでいて、香りも良く、おいしい!!
ただ、このビリヤニ、一人前の量がものすごく、日本の感覚だと軽く2人前はありました。

付け合わせのパパド(豆粉でできたチップス)やライタ(ヨーグルトのサラダ)と合わせて食べたら、「しばらく動きたくない・・・」というくらい満腹に。でもつい全部食べてしまいたくなるくらい、クセになる味わいでした。ごちそうさま!

パパドライタ

楽しかった南インドの旅もいよいよ明日で最終日・・・。ちょっとさみしい気持ちです。

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05 “東洋のヴェニス”をのんびりクルーズ~アレッピー~
06 歴史や街から感じるスパイス文化~コーチン~
07 ケララ料理も食べおさめ…~コーチン~
ハーブが香る 南欧の旅