2010/10/23
ハーブの旅、最後の一日 ~ジェノバ~
この旅最後の日の朝は、目が覚めるとちょっと曇り空。
帰りのフライトまで半日ほど時間があったので、ジェノバ市内をゆっくり観光しました。
まず、ソプラーナ門の近くにあるコロンブス縁の家へ。
西インド諸島やアメリカ大陸を発見したコロンブスは、1451年頃の生まれとされていますが、彼の出自ははっきりしていません。この家は一家が住んでいた跡地に復元されたもので、毛織業を営む父のもと、コロンブスは少年時代をここで過ごしたと言われています。
中にはコロンブスが初めて大西洋を横断した当時乗っていた、サンタマリア号の鐘が展示されていました!今では当たり前のように飛行機や船で移動できるようになっていますが、当時はその先に何があるかも分からない海を進む命がけの航海で、新しい世界を見つけた時にその鐘はどんな音色でコロンブスの心に響いたのでしょう・・・。
周辺にあった古い建物が20世紀初頭に壊され、次々と近代的な建物へ変わっていく中、この家はコロンブスの功績のおかげでそのまま残されたそうです。
コロンブスが航路を切り開き、アメリカ大陸の存在がヨーロッパに知られるようになりました。
そのことは、ヨーロッパにトマトやじゃがいも、唐辛子やバニラなどのスパイスをもたらし、食文化にも大きな影響を与えてきました。
特に唐辛子と言えば、今や世界中で使われているスパイス。もし世界に広まらなかったら私の大好きなぺペロンチーノは今なかったのかしら?
コロンブス縁の家を見学した後は、食材マーケットを見に行こう!ということで、メルカート・オリエンターレへ向かいました。(「メルカート」がマーケットのことです。)
通りを歩いている途中で、美味しそうなお菓子に足が止まってしまいます。
こちらはイタリアの伝統菓子の一つ「パネトーネ」に似た「パンドルチェ」と呼ばれるお菓子です。
パネトーネはドライフルーツ入りのパン生地を焼き上げた背の高いお菓子ですが、ジェノバでは背が低いのが特徴。パネトーネと同様、クリスマスに食べる習慣があります。
さらに進んでメルカート・オリエンターレに到着!
こちらのマーケットは屋内にあり、肉、魚、野菜、果物、乳製品、そしてもちろんスパイスやハーブも含めて、とにかくいろんな食材が並んでいます。
フランスのマルシェとはまた違って、ごみごみした感じとバラエティ豊かな食材が揃う様子から、港町らしさを感じました。
マーケットからフェッラーリ広場のほうに戻り、ガイドさんの案内でルーベンスの絵が見られるというジェズ教会に寄りました。教会内は荘厳な空気に満ち、絵画も素晴らしく、芸術に触れられた嬉しい寄り道をした後は、2006年に世界遺産に登録された「ストラーデ・ヌオーヴォ(新道)とロッリの館群」があるガリバルディ通りへ。
ジェノバでは、16世紀に貴族の館を国家の賓客をもてなすゲストハウスとして利用するため、ロッリと呼ばれるリストが作られました。このリストに収められた邸宅が、ストラーデ・ヌオーヴォ(新道)と呼ばれた通りに並んでいたのですが、その一つがガリバルディ通りです。
通りに並んでいる館は、現在銀行やオフィス、また美術館として使われています。
豪華絢爛な建物は、外から眺めているだけでも見ごたえがありました。
港町のジェノバでは、マリア像が埋め込まれるように施された建物があります。これは航海に出た人たちの無事を祈願したものだそう。
祈るしかなかった時代の名残ですね。
街の中心をいろいろと歩き回り、港の近くに出ると、周囲の建物からひときわ目を引くサンジョルジョ館が見えました。ここは16世紀頃、ヨーロッパの金融を支配した銀行が置かれたところです。
この裏手(上の写真右)は、マルコポーロが捕虜としてとらわれていた牢獄跡があり、ここで、彼はかの「東方見聞録」を著したと言われています。コロンブスは「東方見聞録」に触発され、アジアを目指したと言われますから、ジェノバには歴史を変える不思議な力を宿していたのでしょうか。
そうこうするうちに、13時を回り、最後のランチは、海沿いの見晴らしが楽しめるレストランへ。
シンプルなミックスサラダにトマトソースのシーフードペンネ、チョコレートソース付きのパンナコッタをいただきました。
トマト味に魚介のうまみが加わったシーフードペンネはとても美味しかったです!洗練された味、というわけではないけれど、魚介類の美味しさが素直に活かされていました。
今回のジェノバ滞在では、どれも素材の持ち味を活かして美味しく仕上げた料理ばかりだったなぁ。
ごちそうさまでした!
さて、とうとうハーブの旅も終わりとなりました。
はるか彼方につながる地中海の海と空の青さ、そして白い石灰質の岩肌に自生するハーブの姿が深く心に刻み込まれています。
どこでも温かく迎えてくださった現地の方々の優しさも忘れられません。
この旅で感じたことは、ハーブは何か特別なものやかしこまったものではなく、環境や人々に育まれた生活のエッセンスだということ。南欧の暮らしのすみずみに行き渡るハーブの存在は、この自然と生き、自然の恵を活かしてきた人々の知恵や創意工夫の表れだと思いました。
私も、見聞きしたこと、教えてもらったことをこれからの生活に活かしつつ、自分なりに暮らしを豊かなものにしていきたいと思います!
たくさんの素敵な出会いに感謝を込めて、ハーブの旅の話を終わります。