2010/10/22
本場ジェノバでジェノベーゼ♪ ~ジェノバ~
アルベルトさんの農場とペースト工場でバジルの香りをたっぷり楽しませて頂いた後は、ジェノバ市内にあるサンアンナ教会内のハーブ薬局へ行きました。
イタリアでは、エルボリステリア(erboristeria)と呼ばれるハーブ専門店がどの街にもあり、ハーブを使った食品や化粧品などがたくさん並んでいます。ちょっと体調がすぐれない時にこうした専門店で相談し、日々の体調管理に役立てている人は少なくないそうです。
今回訪れたこちらの薬局では、調剤を行うほか、様々なハーブを使った化粧品やリキュール、キャンディといった食品を販売しています。サンアンナ教会は1584年に建てられ、17世紀にこの薬局の前身であるスパイス店が始まり、ジェノバの港に集まる舶来のスパイスを売っていたということです。まだスパイスの産地をめぐってヨーロッパ諸国が戦争を繰り広げていた当時、スパイスは貴重品として扱われていました。
日本で見る普通の薬局とは全然趣きが違いますね。
教会には中庭もあり、ラベンダーやバラが植えられていました。きっと春にはこの教会を鮮やかな新緑で彩るのでしょう。修道士さんたちの憩いの場にもなっているのかな。
ハーブ薬局からホテルに戻るバスを待っている間、ちょうど夕陽が見えました。
かつては海洋国として栄えたジェノバ共和国。
この港で色々な文化や人の交流があり、地中海が様々な歴史に包まれてきたことに思いを馳せつつ、沈みかかる太陽を見ながら、もうすぐ旅が終わる寂しさも心に浮かんでしまいました。
一度ホテルに戻った後、この旅で最後のディナーへ。
本場のジェノベーゼパスタを食べたい!ということで、やってきたのはリストランテ「Zeffirino」。
かつてローマ法王も訪れた由緒あるこちらのお店ではリグーリア州ならではの味が楽しめます。
さっそく1皿目は、リグーリアでよく食べられている素材やお料理の盛り合わせ。
この中のパニッサは、ひよこ豆を塩や水で練った生地を揚げたもので、リグーリアの伝統の味。やさしい素朴な味わいです。
少しずつなのでもっと食べたくなってしまいますが、目で見ても楽しい盛り合わせに次の料理への期待も高まります。
そして2皿目は、おまちかねのジェノベーゼが登場!
このパスタは、トロフィエという手打ちショートパスタで、リグーリア州の代表的なパスタのひとつ。ジェノベーゼソースはこのトロフィエで頂くのが伝統的なスタイルです。
両手を擦り合せるようにして形作られるこのパスタは、もっちもちの食感がたまりません。
前回の記事でも触れたように、リグーリア州ではナッツをペーストにしたソースが多く、そうした濃厚な味わいにショートパスタがよく合うそうですが、この一皿もクリーミーなソースとパスタが絡み合い、まさに絶品!!
チーズや松の実、オリーブオイルのコクがしっかりしていて、バジルが青臭さを感じさせることなく全体の味をまとめています。おかわりしたくなるほどの美味しさにあっという間に食べ終わってしまいました。
ジェノベーゼの余韻に浸りながら、次の料理を待っていると・・・
スズキのオーブン焼きが運ばれてきました!
シェフが見事な手さばきで取り分けてくれたこちらのオーブン焼きは、じゃがいもとオリーブで作ったコクのあるソースがかかっていて、中には刻んだオレガノやイタリアンパセリが入っています。
「この辺じゃ魚介の料理にはイタリアンパセリがよく入ってるよ。他にも魚介のマリネに刻んだものを混ぜ合わせたり、何にでも加えるんだ。」
とリグーリア州出身のスタッフの方から聞きました。
日本人にとっての刺身とわさびのような関係なのかしら?パセリのほろ苦さとさわやかな風味が魚の味に合うのですね。
イタリアンパセリというと、サラダやソースで使う事が多かったのですが、これからは魚介類のお料理にももっと使ってみようっと。
関連情報
最後はデザートのミルフィーユですっかり満腹に。
ジェノベーゼを始めとするリグーリア州の味はどれも美味しく、シェフやお店の方の気さくなお人柄もこのディナーを楽しいものにしてくれました。
バジルを始めとして地域の素材を活かし、シンプルだけど絶妙なバランスと組み合わせで美味しい料理を生み出してきたリグーリア州の人々の知恵に、おなかも心も満たされたジェノバの一日でした。
名残惜しさがつのりますが、このハーブの旅も残すところあと一日です・・・。