塩漬けレシピ

チェコを代表する作家カレル・チャペックの『園芸家12ヶ月』という本があります。園芸をこよなく愛したチャペックが、庭仕事の12ヶ月を綴った本ですが、絶妙なユーモアとその奥にある真実が、平凡な庭仕事を人生哲学のように感じさせます。私もこの本が大好きで、かなり影響を受けました。
本の最後に、こんな文章があります。

「我々園芸家は未来に生きているのだ。バラが咲くと、来年はもっときれいに咲くだろうと考える。10年経ったら、この小さな唐檜(とうひ)が一本の木になるだろう、と。早くこの10年がたってくれたら!50年後には、このシラカンバがどんなになるか、見たい。本物一番肝心なものは、私たちの未来にある。新しい年を迎えるごとに高さとうつくしさをましていく。ありがたいことに、私たちはまた一年齢(とし)をとる」

今年の京都は年が明けてから寒さが厳しく、1月の中旬に大雪が降りました。雪の降る前日、何の前触れもなく、15年以上庭にあったミモザの木(フサアカシア)が倒れました。50センチぐらいの苗木が今では10メートル近くまで育ち、毎年3月の終わり頃、木全体が黄色く見えるほどたくさんの花を咲かせてくれていたシンボルツリー。満開時には、甘くて少し青臭い香りが辺りに漂って、春が来た喜びを運んでくれていました。
長い間、花穂でリースを作ったり、ポプリにしたり、大きな花瓶に投げ入れしたり、いろいろと楽しませてもらいました。倒れたミモザの枝にはたくさんの蕾がついていて、あと少しで今年の花も咲かせられたのに・・・と、かわいそうに思いました。

そして、私はまた木を植えるのです。50年後の姿を夢見て!

出典:園芸家12カ月 (中公文庫) 
カレル チャペック (著) 小松 太郎 (翻訳)

四角形