2009年から新しくスタートする【今月のおいしいハーブ】では、毎回「食べておいしいハーブ」1種類をピックアップして簡単なレシピから面白情報や育て方までを紹介します。10分でできる簡単でおいしいレシピは思わずハーブクッキングに挑戦したくなります。ちょっと背伸びした《お楽しみ応用レシピ》にもチャレンジして下さいね。育てて、摘んで、作って、ハーブを丸ごと楽しんでしまいましょう!
すがすがしい独特の香りと味わいが病みつきになるディル。ディル一種類だけをハーブとして使うと個性が際立ちますが、他のハーブと混ぜると個性が隠れて脇役に回るなかなかの役者。そんなディルの魅力をもっと知って活用しましょう!
柔らかい葉は口に残らずお料理の中にとけ込んでしまうのも嬉しい。
学名:Anethum graveolens / 分類:セリ科・イノンド属 / 高さ:草丈80〜120cm / 一年草 / 開花期:5月〜7月 / 性質:半耐寒性
ディルの青みがかった繊細な羽毛状の葉には、独特の香りとさわやかな辛み、かすかな酸味があります。
生葉は料理用ハーブとしてヨーロッパ、中近東などで盛んに使われます。特にスカンジナビア料理ではサーモンのマリネ(グラヴァドラクス)や魚の酢漬けに欠かせません。魚介類、ジャガイモ、卵と特に相性がぴったりです。
全草に消化促進、鎮静作用などがありますが、夏に咲く傘状の黄色い花の後に実る種子は、古くから薬用に使われてきました。この種子はディルシードと呼ばれ、スパイスとして料理にも利用します。種子のハーブティーは消化を助け、腸内のガスを減らすとされます。眠りを誘う作用も知られています。
きゅうりに葉と花、種を加えて漬けたピクルスは、きゅうりのディル風味ピクルスとして親しまれています。
以前、イタリンレスランで食べた「サーモンのシェリー酒風味」のカルパッチョが忘れられなくて、いつか作ってみたいと思っていました。お刺身用のサーモンのブロックをディルと玉ねぎ、シェリー酒、オリーブオイルでマリネする簡単レシピですが、驚きのおいしさ!定番メニュー確定です。

材料
※フレッシュ(生)のハーブはS&Bでも取り扱っています。

下味を付ける

シェリー酒、ディル、玉ねぎを加える

オリーブオイルを加え、ジッパー袋の中でひっくり返してなじませる

レモン汁をかける
スプレッドとは、直訳すると「広げる」という意味。パンやクラッカーなどに塗って食べるもの全般をスプレッドと呼ぶようです。
今回作るディルのスプレッドは、おなじみのバジルペーストのディル版。ディルのデリケートな風味を生かすために、にんにくは除きました。

材料
※フレッシュ(生)のハーブはS&Bでも取り扱っています。

粗く刻んでディルを入れる

ビンの中にオリーブオイルを入れて保存する
※生ハム以外にも、ハム、スモークサーモン、チーズ、ゆで卵、スクランブルエッグなど何でも合いそう。いろいろ試してみましょう。ディルの生葉をはさむとおしゃれな印象になります。
※中に入れる魚は、お刺身用にあらかじめカットされているものを使うと調理が簡単。魚に火が通らなくても安心です。
※他のレシピ:「ディルのクリームチーズロール」
スモークサーモンのオレンジにディルのグリーンがきれい!ワインやビールによく合う。朝食にも。


英語名のディルという呼び名は、古代ノルウエー語(スカンジナビア語)の「なだめる、和らげる」を意味する”ジーラ(Dilla)”が語源で、“to lull”(なだめる)という意味が含まれています。その名の通りディルには鎮静作用があり、胃腸の不快感を和らげ腸内ガスを軽減するとされます。
なんと古代エジプトですでにディルの種子が消化薬的に使われていたそうです。
英国などヨーロッパでも古くから利用され、“Grip water”(グリップウオーター)と呼ばれる小児用の腹痛止め水薬にも、他のハーブと共に配合されています。また家庭薬としては、ディルの種子を水に漬けた液、「ディルウオーター」が消化不良や腹痛止めに用いられてきました。
ここでは、その伝統的なレシピを紹介し、それをアレンジしたディルウオーターを作ります。
「1オンス(28.3495g)のディルシードをすりつぶし、1パイント(568ml)の水に6時間漬けておいた上澄み。」
これが伝統的なディルウォーターの作り方です。ご覧の通り日本とは計量の単位が違ってわかりにくいため、下のアレンジレシピで作りました。
ディルシードをすりつぶし、水に漬けておいた上澄み液を取ります。
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ディルシードの浸出液は爪を丈夫にするとされていて、ホームメードコスメとして使われてきました。ぜひ試したいと思いオリジナルレシピを考案しました。爪と指先がしっとりとして、いい感じです。
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世界中で愛されているきゅうりのディル風味ピクルス。アメリカのハンバーガーにもつきものですね。さまざまなレシピがあるようですが、欠かせないのはきゅうりとディルシードです。
写真は、人気のあるドイツのKNAXのディルピクルスです。ディルの枝葉、ディルシード、マスタードシードなどがたくさん漬け込まれています。
「ホームメードディルピクルス」の作り方はこちら。→ ホームメードディルピクルス
春または秋に、よく耕して元肥を施した土にすじまきをします。秋まきの方が長く収穫を楽しめます。土には腐葉土や堆肥をすき混み、柔らかく湿り気を含んだ土が最適です。時期をずらして種まきをすると、柔らかい若葉を常に利用できます。
移植を嫌うので、ガーデンやプランターに直まきを。種子を多目にまいて発芽したら間引きながら育てますが、間引いた小苗も食べられます。密植にならないように間引いて育てます。
植える場所は、 寒い時期は日当たりのよいあたたかい場所がいいですが、暑い時期は半日陰でも大丈夫。とう立ちしてくると葉が固くなってくるので、しばらくは花芽を摘み取り続けましょう。
背が高く育ち倒れやすいので、20cm程度に育ったら早めに支柱を立てて支えましょう。
【文・スタイリング・制作】榊田千佳子【撮影】タケダトオル、榊田千佳子 【制作協力】吉田雅紀子