Gardening Herb

園芸好き必見!毎月ハーブをピックアップして、育て方と活用法を中心に解説する《育てるハーブ》と、<その月のハーブの世話><ハーブを使った楽しいアイディア>をご紹介する《今月のハーブな暮らし》がメインメニュー。ハーブのかわいい寄せ植え講座、《ハーブギャザリング》もスタート。《ハーブのギフトカード》では、今月の榊田ガーデンの様子をお伝えします。

柔らかなハーブの香りに包まれて

5月に入ると、ガーデンの様子が日に日に変わってきます。先週までは土の部分がたくさんあったのに、今ではすっかりグリーンのグラデーションでカバーされました。カモマイルの花は満開!もう少しでバラが咲き出します。草取りもハーブの香りに包まれて。

ハーブガーデン便り

育てるハーブ

バラ(ローズ)

バラには多くの種類があるが、香りと薬効が高いのは、原種に近い種類やオールドローズ。
R.gallica officinalis(アポセカリ・ローズ)は古代から薬として使われている種類。 R.damascena(ダマスク・ローズ)は美しく素晴らしい香り。花弁が多く芳香が強いR.centifolia(キャべジ・ローズ)は香料生産に向く。またR.canina(ドッグ・ローズ)と、葉が香るR.rubiginosa(スイートブライヤー、エグランタイン)の果実はローズヒップと呼ばれ、ビタミンCたっぷりのティーにできる。その他の種類でも、花の香りが良くて無農薬で育てたものならハーブとしていろいろに利用可能。もちろん、ただ香りと姿を愛でるだけでも十分。
花弁には収れん、消炎、強壮作用があり、ハーブティーやローションにされる。また花弁から採られる精油はすばらしい香りで、高級香水に使われる。アロマセラピーでも重要な精油である。精油を水蒸気蒸留するときに得られる「ローズウォーター」は、最高の化粧水といわれる。

バラ(ローズ)

育て方

種まき・苗の植え付け
原則、苗を植えつける。新苗(1年生)が4〜5月に、大苗(2年生)は11月に出回る。新苗は4月〜5月頃植え付ける。大苗は11月〜2月頃植え付ける。
植え付ける場所をなるべく深く柔らかく耕し、堆肥や腐葉土をすきこみ、元肥も十分に施す。
育て方
  • 日当たりと風通しの良い場所で育てる。
  • バラは意外に強く、めったに枯れたりしない。日当たりの良い場所で、肥料をしっかりやって育てるのが基本。
  • ハーブとして利用したいなら、原種に近いバラやオールドローズなど、香りのいいバラの苗を手に入れて植え付けよう。そのようなバラは、虫や病気の被害も比較的受けにくい。
  • チュウレンジバチの幼虫やアブラムシなどの虫が付きやすいのが問題点。虫は小さいうちに、ついている葉ごと取り除く。または、パイベニカなど、毒性の低いスプレー剤を局所的にまいて早期に駆除する。
    毒性の強い薬やオルトランなど、地中から植物の中に殺虫成分を吸い上げるタイプのものは、ハーブを食用に適さなくしてしまうので避ける。うどん粉病、黒星病にかかりやすいが、日当たりと風通しのいい場所で育てると病気にかかりにくくなる。

収穫・保存

収穫
飾って楽しむ場合は、2〜3割開花した花や、柔らかく開いてきたつぼみを。
ティーやジャム、ローションには、お天気のいい日の午前中に6〜8割開いた花を切り取る。
バラの果実(ローズヒップ)は、秋に赤く色づいた順に穫って、実の中に入っている種と毛を取り除いてから乾燥させる。
保存
バラの花びらはペーパータオルで包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で数日間保存できる。香りが失われてしまうので、なるべく早く使うように。
ローズヒップはすっかり乾燥させて、ガラスビンに入れて保存。

利用法

薬効を考え、なるべく原種に近い香りの良いバラを無農薬で育てたものを使いましょう。

ハーブティーに
素晴らしい香りで豊かな気分になり、神経を休め、リラックスさせてくれるバラのハーブティーには、花びらを利用する。
1カップにつき大さじ1ぐらいの花びら(なるべく摘み立て)をポットに入れて、沸騰したお湯を注いでふたをし、3〜5分待って出来上がり。ローズヒップティーはポットカバーをして、10分程おいた方がおいしい。または小鍋で5分ほど弱火で煮だす。
ケーキ、クッキーに
花びらは料理にも。花びらを煮たジャム、サラダやお菓子に添える他、ケーキやクッキーに焼き込む。
バラの花風呂、ローションに
クレオパトラ気分で花をお風呂に浮かべ、ゴージャスなハーブバスに。
ティーはフェイスローションにもなる。肌のきめを整えて活力を与え、保湿作用も。ローションは、冷蔵庫で保存して2〜3日で使い切る。または製氷皿などで冷凍しておき、解凍して使う。

ワンポイント利用法

バラのジャム

バラのジャムはなんといっても、作っている時の香りが命です。摘みたてのバラを鍋で煮ている間中、家の中はエデンの園のような香りに包まれます。もちろん出来上がったジャムの味もパラダイスの味。毎年1瓶か2瓶しか作れませんが、バラに感謝しつつ、またこんな素晴らしい植物が存在することに感謝しながら。

【材料(ジャムの空き瓶約1個分)】
  • バラの花弁 ・・・軽く3カップ
  • グラニュー糖 ・・・約2カップ
  • 水 ・・・バラの花弁が半分ぐらい浸かるぐらいの量
  • レモン汁 ・・・1/2個分
【作り方】
  1. バラの花は、花弁だけをはずして使う。ボウルに張った水でやさしく洗って水気を切る。ジャムを入れる瓶はよく洗って、熱湯消毒しておく。
  2. ホーローまたはガラス製の小鍋にバラの花びらを入れ、花びらが半分くらい浸かるぐらいの水を入れる。
  3. 2を中火にかけ、煮たったら弱火にし軽くふたをして柔らかくなるまで5分間ほど煮る。
  4. 3にグラニュー糖とレモン汁を加え、時々かき混ぜながら中火〜弱火で10分程度、少しとろみがつくまで煮る。
  5. できあがったらガラス瓶に入れ、冷めたらふたをして冷蔵庫で保存。
■ レシピメモ
  • バラは晴れた日の午前中に6〜8割咲きのものを摘み取る。数日かけて集めるといいでしょう。
  • ジャムは冷蔵庫で2週間ほど保存できるが、水分が多くカビが生えやすいので、早めに食べましょう。
  • 紅茶に入れたり、スコーンに塗ったり、アイスクリームに添えたりして食べるとおいしい!

ハーブな暮らし

THEME1−カモマイルの花摘み

カモマイルの花が真っ盛りのこの季節。ただ見ているだけでもかわいいのですが、カモマイルの花は、ハーブティー、フェイシャルローション、ヘアリンスと利用価値が高いので、ぜひ摘み取って使いましょう。
特に生のカモマイルハーブティーは、乾燥したものとは比べ物にならないおいしさです。青リンゴのようないい香り。ビューティーへの活用もお薦めです。

また、ホームメイドで乾燥させたカモマイルの花は、お店で買ったものとは全く違うもののよう。香りも風味も格別です。摘み取って乾かすのは手間がかかりますが、ぜひ、お試しを。
アーカイブにカモマイルの活用法が載っています。参考にして下さい。

カモマイルの摘み取りから乾燥まで

○摘むタイミング

  • カモマイルを摘み取る時間帯は、晴れた日の午前中がベスト。花に含まれる精油成分が一番多くなるという。
  • 開花したてより、3〜4日経ってある程度生長した花を摘もう。ただし、花びらが反り返ってしまっている花は成長し過ぎ。ぴらっときれいに開いているぐらいがベスト。

○摘む部分

  • 頭花(とうか)と呼ばれる花の頭の部分を摘み取る。茎が硬くて手では摘み取れないので、はさみで。アブラムシがたくさんついている場合は、同時に摘み取って捨てる(乾燥用には使わないほうがいい)。
  • 頭花を切り取ったあと花茎が軸のように残る。残しておいてもかまわないが、カモマイルの株の姿が悪くなるので、切り取った時についでに花茎の残りも切り取っておこう。

カモマイルは頭花だけを摘み取る

残った花茎も切り取る

ペーパータオルの上で乾燥させる。

○乾燥までのプロセス

  1. 摘み取った花は目の粗いざるに入れて、水を張ったボウルで振り洗いをする。振り洗いをしたあと、水を換えて5分ほど水につけておくと、ゴミや虫がとれやすい。そのあと、もう一度振り洗いしてすすぐ。やさしく扱うことを忘れずに。
  2. 1の花をペーパータオルの上に広げ、水を吸わせる。そのあとペーパータオルを新しいものに替えて、紙箱やザルなど通気性のいい容器の上にペーパーごと置いて乾燥させる。風通しのいい場所でなるべく早く乾燥させるとクオリティーの高いドライハーブになる(レンジなどを使うと精油分が失われてしまうので、自然乾燥を)。
  3. すっかり乾燥してカリカリになったら、乾燥剤を入れたふた付きのガラス瓶に入れ、冷蔵庫で保存。こうしておけば1年近く品質が保てる。

ハーブギャザリング

「ギャザリング=gathering 」 は「寄せ植え」のこと。鉢に一種類の植物を植えるのではなく、数種類の植物を寄せ植えすることです。ハーブの寄せ植えを「ハーブギャザリング」と名付けました。これから数回にわたって、ギャザリングの基本とサンプルをご紹介します。

■ギャザリングの基本2

ギャザリングでハンギング(釣り鉢)栽培をしてみましょう。

○ハンギング(つり鉢)とは?

地面の上に置くのではなく、どこかからつり下げる形態の鉢やプランターなどを、まとめてハンギングと呼びます。スタンドを使って地面より高い位置におくものも、広い意味でハンギングと言えるでしょう。


○ハンギングで、ギャザリングするときのメリット
  • ナスタチウムやほふく性のタイムやローズマリーなど、成長に従って枝が垂れ下がる性質の植物を植えると、その植物の魅力をより生かすことができます。
  • より視線に近いところに植物がくるので、見やすくまたインパクトもあります。スタンドの高低を生かして、立体的に飾ることができるのも利点。
  • 自然と風通しがよくなるので、タイムやラベンダーなど、湿気に弱いハーブは健康に育つようです。
○ハンギングでギャザリングするときのデメリット
  • つり下げるために重さに制限があり、あまり大きい鉢は使えないので、株が大きく育ち、根張りが深く広くなるものは適しません。基本的に土の容量が通常の鉢植えよりも少なくなります。
  • 背が高くなる植物も、バランスが悪くなるので適しません。
  • 風通しがよくなるということは、同時に鉢が乾燥しやすいということ。たっぷりの水やりが欠かせません。
○ハンギング+ギャザリングを成功させるコツ
  • なるべく乾燥に強いハーブを選びましょう。乾燥に強くない場合でも生育環境が似ているものなら水やりを増やすなどすれば、うまく育てることができます。
  • 花がら摘みをまめにし、ギャザリングの形が崩れてきたら剪定するなどして、コンパクトに育てるように務めるといいでしょう。
  • ひんぱんな水やりで肥料分が流出しやすいので、時々液肥を与えると元気に育ちます。
  • 一般のギャザリングよりも、さらに早めの植え替えが必要。花や葉がきれいなシーズンが終わり、株の形も乱れてきたら植え替えを。ギャザリングをバラして、一種類ずつ普通の鉢や地植にしましょう。

◎ ギャザリングを成功させるポイント

次にギャザリングを成功させるコツを押さえましょう。

●寄せ植えにするハーブは、好みの生育環境の似たものを選びましょう。
例1)ローズマリー、セージ、タイム、ラベンダーなどは、日当たりが良く、水は控えめが◎ 肥料も少な目に。
例2)チャイブ、チャービル、ディル、ロケットなどは、日当たりは多少半日陰でもOK。 水やりは十分に。一年草で野菜のように育てるので、肥料も適宜与えましょう。

●用途別に植える場合、料理や、ハーブティーなど食用にする場合は、食べられるハーブのみで寄せ植えしましょう。間違って利用する危険が防げます。

●基本的に寄せ植えはハーブの生育にはプラスにならないので、秋または春に寄せ植えをばらして、伸び伸びさせてあげましょう。


サンプルギャザリング

ハンギングでギャザリング

○使ったハーブ

ナスタチウム、ジャーマンカモマイル、ペパーミント

○このギャザリングの特徴
  • 鮮やかなオレンジ色の花に、斑入りの葉がさわやかなコントラストのナスタチウムを中心に、株一杯に花を咲かせる(この時はまだ蕾)カモマイルと、赤みがかった茎と濃い緑の葉が全体の印象を引き締めるペパーミントを寄せ植えしました。
  • ナスタチウムは、葉と花をサラダに。ミントと、カモマイルの花はハーブティーに利用しながら観賞するハンギングです。
  • 使った容器は、ヤシの繊維で作ったものをスチール製のハンギングバスケットにはめ込んだもの。軽く、通気性はバツグンですが、保水力がないのが惜しいところ。
○寄せ植えするときの注意点
  • ヤシの容器は、必ず毎日の水やりが必要です。生活パターン的に無理な場合は、スタンドに素焼き鉢またはプラスチック鉢をセットする栽培方法の方がいいでしょう。
○手入れ
  • カモマイルは背が高くなりがち、剪定を繰り返してコンパクトに育てましょう。
  • ミントも旺盛に育つので、収穫を兼ねてこまめに剪定を。
  • ナスタチウムは種を付けると花数が少なくなりがち。花がら摘みを徹底させて。
  • 2週間に一度程度、薄めた液肥を追肥として与えましょう。
  • 水やりは土の表面が乾いてから、鉢底から水がしみ出てくるくらいまで、たっぷりと。
○収穫

サラダやハーブティーなど、生のハーブが必要なときに、適宜摘み取って使う。

○シーズン後の世話

すべてのハーブをバラバラにして、他の鉢に一種類ずつ植え替えてのびのびさせましょう。カモマイルは一年草なので、すっかり花を咲かせ終わり、種を結んだら枯れてしまいます。

鉢寄せでギャザリング

○使ったハーブ

ナスタチウム数種類、ローズゼラニウム、手前に黄色とシルバーのハーブのギャザリング (ツリージャーマンダー、ウーリーヤロウ、ゴールデンフィーバーフュー、サントリナ)

○このギャザリングの特徴
  • 手前の黄色とシルバーのハーブのギャザリングは、通常のものですが、ここで紹介したいのは一種類ずつのハーブを置き合わせてギャザリングのように楽しむ方法。
  • さまざまな高さのスタンドを使い、数種類の色の違うナスタチウムの鉢を寄せ鉢しました。後ろに見える背の高いハーブは、ピンクのかわいい花が咲いているローズゼラニウムです。高低のバランスをとるのがコツです。

【文・スタイリング・制作】榊田千佳子 【撮影】タケダトオル、榊田千佳子

  スパイスとハーブはS&B