早春号に登場していただくのは、自宅でユニークなCafeをオープンされている長谷川祐子さん
自由でありながらも、自分に正直な姿が、風にそよめくハーブとどこか重なります。


 

 思い出の糸をたどっていくと、それは"ハーブ"や"アロマ""ポプリ"といった言葉がまだまだ耳に馴染まなかった頃のこと。結婚式で両親に大きなバラの花束を贈呈した時、その思い出と感動を留めておきたいという母が、その頃世間に出始めたポプリにしたのを見たことがきっかけかしら?…と懐かしそうに話してくれる長谷川さん。
 富良野のラベンダー畑のポスターが話題になり、ポプリキットに女の子たちは興味深々、近所にポプリ教室ができ…と、まさに新しい香りの文化の始まりと重なり合うように、長谷川さんのハーブと寄り添う暮らしが始まりました。

 ポプリ教室でまだ珍しかったハーブの苗をもらい、それを育ててみる。育てやすいもの、育てにくいもの、食べておいしいもの、クラフトに向くものと、その用途の広さに親しみと興味を覚え、スクールに通い、資格も習得。そして立場は変わって、通信講座やコミュニティースクールで講師を務め、自宅でも教室を開くようになりました。



  その頃の"ハーブ教室"というとクラフトも料理もアロマも混在し、スクールの中ではそれぞれに担当が決められ、長谷川さんはハーブやスパイスを使った料理の担当になりました。今思うと、その経験が、のちに自然や環境、体によい食材などにも興味が広がっていく一因になったのかも…と、懐かしそうに当時を振り返ります。

 
"ハーブてんこ盛り"のサラダや香りばかりが強烈な料理、もしくはちょこんと葉を1、2枚飾ったお飾りのものが日本における"ハーブ料理"の定番だった頃、普段作っている料理に、食べやすいハーブの量をプラスして、自分が美味しいと思うハーブの風味にすればいいんだよ、'ハーブ料理'ではなくて、'ハーブを使った料理'なんだよ…と、毎日実践できる身近なハーバルライフを提案し続けました。
 そしてそれぞれの気候風土・歴史の中で当たり前に料理やお菓子に使われているハーブに出会いたい、伝えたいと思うようになりました。それが実際海外に行って料理を習ったり、カフェをはじめるきっかけへとつながります。
 
 



 多くの人たちの、ハーブティーやハーブを使ったお菓子や料理の反応を垣間見てきた長谷川さんが「ハーブティーって美味しいよ、ケーキだって上手に使えばハーブを入れることで、グッと風味が豊かになるんだよ」と伝えたくて始めたCafe クレセント・シュマリ。今では本場仕込みのベトナム料理やハーブを使った創作料理も人気。ゆったりとランチやティータイムを楽しむお客様で、店内は穏やかな空気に包まれています。

 使う食材へのこだわり、コツコツと買い集めた自分が好きなインテリアや食器、そして完全予約営業や1組限定のディナーなど等、一見頑固にこだわっているようにみえるユニークな営業スタイル。
 「私はハーブのことも料理も独学。普通なら営業利益やお客様の要望を追求しなければならないのでしょうけれど、修行の経験や先生についたことがないので、私には"こうあらねばならない"がないんですね。その分、体にいいお茶や食材の買い付け、お店に出すお菓子や料理、教室の諸
々のこと、できることは全て自分でやっています。お客様に元気を差し上げる料理、元気になってもらえる空間の提供を考えたらこのスタイルになっていたんです。私の場合、自分のこだわりを変えてしまう方が、精神的な疲れになってしまうんですね。」と笑う長谷川さんはようやく自分のスタイルが出来つつあると言います。

 ハーブがあって当たり前の暮らしが20年以上にもなる長谷川さん。"長谷川さんにとってハーブとは何ですか?"と聞いてみると、「体にいいこと、心にいいことを運んでくれたのはもちろんですが、植物って無理をしていないでしょう。風にそよいでいろんな方向に吹かれているようでいて、しっかりと大地に根を降ろしている姿。自分が学び、伝えたことが、誰かの手に渡って種のように運ばれて広がっている…そうなれたらいいなぁって思うんですよ。」
 そんな愛情がたっぷりつまったCafe クレセント・シュマリも、今年4月で5年目を迎え、ますます充実した毎日を送る長谷川さんです。




  ソルトバス…ドライハーブと岩塩の層になっているソルトバスは見た目にもきれいでオススメなのですが、でもいざお風呂で使うとガーゼに包んだり、後片付にひと苦労。そこで、自然塩に好きなエッセンシャルオイルをまぜるだけの簡単バスソルトがオススメ!冬から春にかけてなら、ベルガモット、オレンジ、グレープフルーツなどのエッセンシャルオイルなどいかがでしょう。夏はミントなどすっきり系のオイルなどがオススメ。全身はもちろん、手浴、足浴でも、気分をリフレッシュ! 
   


 
長谷川祐子
東京都出身、ハーブコミュニケーター(ハーブを通して、多くの人とコミュニケーション
をはかるということから)。
ハーブスクールの講師として、カルチャ−センター、公民館などを中心に講習をする。
主婦の友文化センター、NHK学園のハーブインストラクター養成講座担当。
通信講座のテキスト執筆。雑誌の取材協力、ハーブの原稿など数々。
98年より、ベトナムに通い料理修業。
現在はハーブとベトナム料理の店『クレセント・シュマリ』のオーナー。
ハーブでスローライフを提唱、スローライフコミュニティーという手作り教室を月1回
開く。

【ショップガイド】

「Cafe クレセント・シュマリ」
〒344-0007春日部市小渕1488-3
TEL048-761-7691、FAX048-761-7677
ホームページ:http://www.siumari.com/
※予約制ですので、必ずお電話をしてからお越しください。



 
  文:office Yum & Bloom 井出希、撮影:阿内敏之