近年「和風」に注目が集まっています。高度経済成長期には、欧米の文化をまねして「洋風」を取り入れるのが先端とされましたが、最近では日本古来から伝わる風土にあった文化が、年長者だけでなく、若者にも好まれてきています。
 この「和風」ですが、昔ながらの風習を復活させるだけが現代の和風ではなさそうです。例えば京都では、最近町屋を再生してレストランやブティック、美容室などの店舗にするのが大流行です。
 何しろ中には築100年近い建物もあるので、そのままの形で維持・保存しながら新しく利用することは不可能に近く、利便性のために改造したり、インテリアも目新しくするためにアジアンなものと融合させたりと、いろいろな工夫が必要になって来るのです。
 そういった改造町屋に入ると、時折違和感を覚えます。なぜもっと本来の日本の美をそのままにしておかないのだろうと・・・。でも、また一方で思うのです。日本も京都も生きて育っているのだから、守るだけでは行き詰まってしまうのだろうと。
 このように「和風」について思いを巡らせつつ《和風に生かすハーブ、第1回》は、西洋のハーブが現在どのように、食の分野で「和風」に生かされているか、日本の「和風」の聖地(?)京都に住むハーブの専門家として、いろいろ考えてみたいと思います。

 世界中あらゆる場所で人の役に立っているさまざまな植物を、総称してハーブと呼びます。アフリカにはアフリカの、ヨーロッパにはヨーロッパの、そして日本には日本のハーブがあるのです。日本のハーブでおなじみなのは、料理に使われるシソやミョウガ、山椒、三つ葉、セリなど。
 前にハーブエピソードでも取りあげましたが、水菜はなぜかアメリカやイギリスで日本のハーブとして通っているようです。上記の植物は日本原産のものばかりではありませんが、生育条件が日本の気候風土に適しているため、自生しているものです。
 食卓だけでなく、薬草や民間薬として利用されているもの、染め物に使われるもの、祭礼や宗教儀式に用いられるものなどさまざまです。

 先ほどの町屋の例でも見られるように、西洋だろうが東洋だろうがインド風だろうが、無理なくなじんで、素敵になるのならば組み合わせてみるのはかまわないはずです。
 そういえば、日本の誇る茶道には、「見立て」という考え方があります。例えば、ペルシャの平たい壺を建水に見立てたり、ベネチアンガラスのサラダボウルを水差しに見立てたりと、本来の用途とは異なる使用法を、センス良くするのが「見立て」です。
ですから、西洋のハーブもうまく見立てられるなら、和風に使うのはむしろ格好いいかも知れません。

文:榊田千佳子.撮影:榊田千佳子他.イラスト:いまいかずよ
Copyright 1997-2002 S&B FOODS INC. All rights reserved.