最後に、女性には大敵であるこのニンニクの臭い、というより実際には食後に胃の底から沸いてくる、あの臭いを防ぐ手だては無いものでしょうか。最近は多くの口臭防止商品などが出ているので、食後すぐの口臭を消すには大変効果的です。

 しかし、本当の苦悩は食後しばらくして、また翌日にまで呼気や体臭として臭うことです。ふいに、「昨日、ニンニクかギョーザ食べた?」と回りから言われるのは気にしなければ気にしないでいいことなのですが…。

 昨年の春に韓国の釜山へ出掛けたとき、韓国が中国同様ニンニクの消費大国であること思い知らされました。港町釜山では、美味しくて新鮮な刺身と、ニンニクの厚切りスライスを一緒に食べるのがここでの食べ方と言われ、招待された手前どんどん食べてしまいました。ニンニクの厚切りスライス自身は全く臭わなかったくせに、翌朝、ホテルで目覚めたときは部屋じゅうの空気が自分の呼気から出たニンニク臭(硫黄臭?)で満ちていました(苦笑)。

 これは、酵素で分解されなかったニンニク中のアリインが、腸内細菌の作用(アリイナーゼと同様の働きをする酵素)で分解され、結果的には吸収・代謝されアリルメチルスルフィドなどの含硫化合物として呼気から排出されたのでしょう(図参照)。日大の熊谷先生らは動物実験でこのことを実証済みであり、呼気に出てくる臭い成分の分析も米国のローゼンらによって進められています。

 やはり、前処理でどんなに臭わないニンニクを準備しても、翌日の結果は同じなのです。ということで決定的な臭いの対処法は現在のところ無いのです!いっそのこと、ニンニクの生理機能を期待するならば後のことは諦めて、美味しく、そして後の臭いも楽しんじゃうぐらいの気持ちで食べてもらいたいと思っています。

 今回の原稿は、お茶の水女子大学生活科学部食品化学研究室の森光康次郎先生にお願いしました。 森光先生のプロフィールはこちら。来月号もお楽しみに!

  文:森光康次郎.撮影:榊田千佳子・他.イラスト:いまいかずよ.図表:立原雅子
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