こだわりの職人を尋ねて MEET THE SPECIALIST
1 ピッツア職人 山本尚徳

本格派=庶民的。本場のナポリのピッツアに感動しました。 ~独創性を競う世界大会で、あえてクラシックなナポリのピッツア~

― ピッツア職人になったきっかけはなんですか?
18歳で上京して、2~3年コックをしていたのですが、そのうちに自分が日本で食べたり作ったりしているものを、本当にイタリア人たちが食べているのか、疑問に思えてきました。そこで思い切って、イタリアを回る旅に出ました。そこでナポリのピッツアに出会い、感銘を受けたのがきっかけでした。
― 日本のピッツアとの違いはなんだったのですか?
ナポリのピッツアは1枚200~300円にも関わらず、日本の倍以上の大きさがあって、まずそこに驚きました。こんなに安くて、大きくて、お店には人がひっきりなしに入っていて、子どもからおじいちゃんまでが食べている光景は、日本のピッツアとは全く違いました。しかも、庶民的な食べ物でありながら、本格的でとてもおいしかったんです。
ピッツア職人 山本尚徳 インタビュー1
― 山本さんは世界ピッツア選手権で優勝されていますが、優勝できた理由はなんだと思いますか?
独創性を競う部門で、あえてクラシックなナポリのピッツアを作ったことですかね。
独創性を競う部門なので、エッフェル塔の形をしたピッツアを作るフランス人や、1日20個しかとれないモッツァレラを使うナポリの人などがいる中、僕はクラシックな材料を使って、ナポリの若い職人でも作らないような伝統的なピッツアを作りました。
基本の生地はもちろんのこと、焼きの技術やスピードにもこだわりました。本場のイタリア人に認めてもらうために、必死に練習して基本の技術を磨いた結果が出たのだと思います。
ピッツア職人 山本尚徳 インタビュー2

基本の材料は全てナポリから輸入しています。 ~親方のこだわりを受け継ぐ~

― 山本さんのこだわりと、ピッツアのスタイルはどういうものですか?
僕のスタイルの基本は親方のピッツアです。僕の親方は、「生地がよくなければ何を乗せてもおいしくない」という考え方の人でした。徹底的な基礎を重要視して、生地作りにこだわっている人だったので、僕もそれは受け継いでいます。当時教わった親方の完成された生地とそのこだわりこそが僕のスタイルです。どうやったら僕がナポリで食べたピッツアに近づけるかが、永遠のテーマです。
ピッツア職人 山本尚徳 インタビュー3
― 生地の他にこだわっているのはどこですか?
基本のピッツア、マルゲリータを作る材料はすべてナポリのものを使っています。マルゲリータは粉、モッツァレラチーズ、トマトソース、塩で作っていますが、すべてナポリから輸入しています。
釜も修行先と同じものを使っています。ナポリの石を運んで、修業先の店の釜を作った職人を日本に呼んで作ってもらいました。こだわり、というわけではないですが、そこは最低限だと思っています。
― 山本さんにとって、ピッツアとは?
ピッツアは僕にとって、人生すべてを懸けているものです。僕からピッツアをとったら、ほとんどなにも残らない気がします。ピッツアと出会わなかったら、僕の人生は何もなかったかもしれない。「趣味は?」と聞かれたら、冗談抜きで「仕事」と答えます。そのくらい、ピッツアは僕の人生のすべてだと思っています。
ピッツア職人 山本尚徳 インタビュー4

プライベートでは、シンプルなカレーをよく作ります。 ~ゴールデンカレーはディップにしてもおいしいかも!~

― カレーはお好きですか?
大好きで、プライベートでもよく作っています。僕が作るのは、タマネギと牛肉だけで、ジャガイモやニンジンはあまり入れません。タマネギは荒いみじん切りで、炒めずに入れる。そうすると甘さが出るので、唐辛子を入れて辛さを自分で調整します。お肉は大きいままゴロッと入れて柔らかくなるまで煮込む。これだけで十分おいしいんです。
― ゴールデンカレーの味の印象は?
おいしいです! スパイスがたくさん入っていて味が深い。本格的なものだと感じました。
ピッツア職人 山本尚徳 インタビュー5
― どんな具材が合いそうだと思いますか?
スパイシーなので、お肉多めがよさそうですね。風味が豊かなので、何かにつけるディップのような感じで食べてもおいしいかもしれません。

Profile

山本尚徳Yamamoto Hisanori
山本尚徳Yamamoto Hisanori

1977年静岡県出身。2006年イタリア、ナポリへ渡りピッツア修行を積み、2007年世界ピッツア選手権に出場し、日本人初の総合優勝を成し遂げる。翌年も同大会で2年連続優勝を果たし、2010年に中目黒に自身の店舗「da ISA」をオープンさせる。
http://www.da-isa.jp/