研究開発:新しい価値の創造を通じて、豊かな食文化のお役に立ちたいというマインドに溢れた研究活動の一端を紹介します


スパイス&ハーブの原点に触れる忍野試験農場研修

忍野試験農場では、毎年技術系若手社員を対象とした研修を実施しています。
この研修では、生のスパイスやハーブを間近に見たり触れたりと、体を動かして学ぶことも含まれており、他ではなかなか味わえない内容が特徴です。
2015年度の技術系新人社員研修の様子をご紹介します。

忍野試験農場では、ワサビ、唐辛子、バジルなど様々なスパイスとハーブを栽培しています。
唐辛子には、草姿や果実の形状や辛さが異なる数多くの品種があります。
収穫前の唐辛子の様子を見ながら、農場スタッフが栽培方法や品種の特徴について説明しました。
エスビー食品には辛さを追求した「SBカプマックス」や逆に辛くない「SB陽角」などの品種登録されている唐辛子があります。
収量性や辛味などに特長を持つ品種作出に向けて、実際に栽培している現場を体感してもらいました。

次は、「栽培」の「はじまり」である播種体験です。
今回はスウィ-トバジルの播種を行いました。
育苗用土の入った専用のセルトレイに種子2粒をまき、その後、土が十分に湿るように水を与えます。
スウィ-トバジルの種子は小さいため、先の細くなった専用器と竹串を用いて慎重に行い、30分ほどかけて1枚まき終えました。
暖かいハウスの中で育苗すると、10日程度で発芽します。

忍野試験農場には水ワサビ栽培専用の温室があり、数十種類のワサビが栽培されています。
水ワサビ栽培には、年間を通じて水温に変化がなく、冷涼できれいな流水が不可欠です。
ここ忍野試験農場は、豊富な伏流水に恵まれているため、ワサビを栽培するには最適な環境です。ワサビの育種もここで行われ、エスビー食品で品種登録している「SB忍野1号」は今も忍野試験農場で栽培されています。
研修生達は、様々な品種があるワサビの特徴をつぶさに観察し、どのように栽培されているのか直接手で触れながら確かめていました。

初めてのワサビ収穫。
意外と大きく、なかなか抜けません!
やっと手にしたワサビの株は、ずっしりくるほど重いものでした。

右写真のように、みなさんがよく見る部分は、根に間違われますが、根茎(こんけい)と呼ばれる植物体の茎が肥大したものです。

収穫したての根茎を、おろしがねと鮫皮で摺りおろし、比較試食しました。
おろしがねで摺りおろしたワサビは辛さ、香りともにすぐに弱まり、ざらついた舌触りでした。一方、鮫皮で摺りおろしたワサビは滑らかで、おだやかな中にも「ツーン」とした香りがあり、味も美味しく上品な辛さが口の中に広がりました。
摺りおろす道具や摺りおろし方によって、風味がずいぶん変わることに研修生達は驚いたようです。

ワサビ茎はカット、塩もみして一晩寝かせるとシャキシャキした中にピリッとした辛さが出て、より一層美味しくなります。

「ワサビの茎の浅漬け」作り方
(1) 茎はよく洗い泥を落とします。
(2) 適当な大きさにカットした後、塩でよく揉みたたき、温水で塩を洗い流します。
(3) ガーゼ等に入れて絞り、十分に水を切ってから醤油少々をかけてよく混ぜます。
(4) 冷蔵庫で一晩寝かせたらワサビの茎の浅漬けの出来上がりです。

忍野試験農場には普段目にすることのないような珍しい種類のハーブもあります。

タイムやパセリ、ローズマリー、レモングラスなど、数十種類ハーブに囲まれるなか、農場で栽培しているハーブの紹介です。
触って感触を確かめ、嗅いで香りを感じるなどして、ハーブの特長を観察していきます。
栽培に関する説明を行うと、興味を持ったハーブについてはより細かい質問を投げかけてきました。
ミントやセージにはいくつも品種があり、それぞれ全く違った香りがすることにも興味をひかれた様子でした。

ハーブについて学んだあとは、 オリジナルハーブティー作りに挑戦です。
学んだばかりのハーブの特長から、香りや風味をイメージして組み合わせを考えます。

最後に、農場スタッフが作ったミントやレモングラスをメインにしたハーブティーを試飲して比較したところ、バランスの取れたとても美味しいハーブティーと大好評!
「それぞれの個性を活かしつつ、調和が取れる様にブレンドするのは難しい」のだと、ハーブの奥深さを実感したようです。

研修生達は、スパイスやハーブの種類によって異なる、栽培管理の難しさ、面白さを知って、愛着がさらに増したようです。
この研修を通して得た知識を活かし、これからスパイスやハーブの魅力を追求してほしいと思います。