研究開発:新しい価値の創造を通じて、豊かな食文化のお役に立ちたいというマインドに溢れた研究活動の一端を紹介します

水辺の空間に憩うハーブ

忍野試験農場で使っている水は、すべて地下水です。
何十年もの長い年月を経て濾過された富士山の雪解け水を、地下約60mからポンプで汲み上げています。水道の蛇口をひねれば出てくるため、地下水であるという意識は薄いですが、名水百選に選ばれている「忍野八海」と同じ水系の水は、飲めば納得のおいしさです。この水をワサビの栽培はもちろんの事、スパイスやハーブ栽培での潅水(かんすい)など、主に研究用としての目的で利用しています。

そして、栽培棟など複数の圃場(栽培用の畑)を巡った水は、やがて一か所に集まり排水されていきます。その途中に形成された小さな池に水辺で良く育つセキショウ(石菖)や水生植物などがあり、ちょっとした水辺の空間ができています。

ここでの新顔として、クレソンがあります。
明治時代の初めに日本に入ってきたクレソンは、全国の清流に広がった帰化植物ですが、農場がある忍野村や近くの富士吉田市、道志村などでも生産され、収穫量では山梨県が日本一のポピュラーなハーブです。

そんなクレソンが、以前試験栽培した場所から流れの緩やかなところにヒゲ根を着地させ根付いたようで、今ではかなりのボリュームを占めています。
居心地よさそうに育つ様子は、それだけ忍野の水が良質であることを証明しているようでもあります。

今は、数種類の植物の生態しか見ることはできませんが、やがては、夕暮れ時にホタルが飛ぶ光景が見られるような自然との共生の空間を作り、ビオトープ的な役割のある場所をめざしています。